富士葵、キズナアイ、ときのそら、YuNi – 多様化するVTuber – オリジナル曲を歌うVTuber Vol.6

富士葵、キズナアイ、ときのそら、YuNi – 多様化するVTuber – オリジナル曲を歌うVTuber Vol.6

キズナアイが快挙を果たした。株式会社CCCメディアハウスが販売する雑誌『ニューズウィーク 日本版』での特集「世界が尊敬する日本人100」にて、「注目すべき100人」のひとりに選出されたのだ。彼女が選出された「学者から役者まで、世界が驚いた日本人」の項目には、草間彌生(芸術家)や貞子(怨霊)なども選出されており、VTuberが世界に認知されたことを象徴するできごとだろう。

また、日経BPの「日本イノベーター大賞」では日経クロストレンド賞を、一般社団法人デジタルメディア協会の「第24回 AMD Award ’18」では優秀賞を受賞。

そして、一番喜ばしいトピックとしては『SUMMER SONIC 2019』への出演決定だ。

SUMMER SONIC(サマソニ)といえば、FUJI ROCK FESTIVAL(フジロック)、ROCK IN JAPAN(ロッキン)と並ぶ日本3大音楽フェスであり、洋楽・邦楽問わず著名なアーティストが一同に会す都市型ロック・フェスティバルである。遂に音楽フェス市場においてもVTuberがアーティストとして迎え入れたのだ。このような快挙は、他のVTuberへの可能性を広げ、更なる多様化を期待させる。

世界規模での活躍が期待されるVTuberの飛躍を引き続き見守るとともに、今回「多様化するVTuber オリジナル曲を歌うVTuber Vol.6」としてバーチャルYouTuberシーンを牽引する富士葵、キズナアイ、ときのそら、YuNi4名の楽曲、活動に再びフォーカス。以前当コラムやインタビューでも取り扱った時より、更に活動の幅を広げた彼女達の躍進をお伝えする。

関連 : 多様化するVTuber – オリジナル曲を歌う音楽VTuber 富士葵、キズナアイ、ときのそら

関連 : 多様化するVTuber – オリジナル曲を歌う音楽VTuber Vol.2 YuNi、Alt!!、銀河アリス、AZKi、花譜

関連 : 多様化するVTuber – オリジナル曲を歌う音楽VTuber Vol.3 HIMEHINA(ヒメヒナ/田中ヒメ、鈴木ヒナ)、樋口楓、アズマリム、memex

関連 : 多様化するVTuber オリジナル曲を歌う音楽バーチャルYouTuber Vol.4東雲めぐ(feat.キツネDJ)、蒼月エリ、星街すいせい、星宮とと×TEMPLIME

関連 : 多様化するVTuber – オリジナル曲を歌う音楽バーチャルYouTuber Vol.5 花譜、AZKi、花鋏キョウ、かしこまり

関連 : 多様化するVTuber  楽器を演奏する音楽VTuber 花奏かのん、音葉ねね、柊うるめ、椎名佳奈

文・編集 /  滝田優樹


【富士葵】

『キミの心の応援団長』をコンセプトに掲げ、マルチに活動するタレントVTuber。YouTubeチャンネル「Aoi ch.」にてカバーソングを中心に、「あおい’sきっず」では子供向けの歌動画をアップする富士葵だが、2018年11月にメジャーレコード会社ユニバーサルミュージックからメジャーデビューを果たした。

また、TBS「PLAYLIST」にてVTuberとして初の歌番組出演。デビュー曲「はじまりの音」はデジタルミュージック部門の4部門にて1位を獲得。さらにiTunes総合7位、J-POPジャンル内で6位にランクインするなど、様々な記録を打ち立ててきた。

そんな彼女の魅力は、なんと言ってもしっとりとした唄声を武器に表情豊かに唄いあげる表現力だろう。その円熟な歌唱力について、3月に公開のオリジナル楽曲「ミルクティ」と4月リリースのカバーアルバム『声 〜Cover ch.〜』をもとにお伝えしたいと思う。

自身が作詞作曲に挑戦した「ミルクティ」は、ピアノ、ストリングが中心のシンプルなサウンドと情緒豊かなヴォーカルが織りなす至極のラヴバラード。歌詞には、冬空のもとミルクティを片手に好きなあの人を思う健気な女性の気持ちが描かれており、心象風景が見事に反映された楽曲だろう。「はじまりの音」での凛とした明るいモードとは一転、おしとやかで艶のある一面を確認することができる。

カバーアルバム『声 〜Cover ch.〜』は、活動を開始してから100曲近くカバー曲を投稿してきた彼女がファン投票をもとにセレクトした12曲が収録。。椎名林檎から宇多田ヒカル、中島みゆきなど日本を代表する歌姫からUNISON SQUARE GARDEN、RADWIMPSなどのロックバンドの楽曲までジャンル、時代を横断した楽曲が選曲されている。曲ごとに異なるボーカリゼーションを展開する様はカメレオンのようで、どのモード楽曲ともマッチングする包容力には鳥肌ものだ。歌を愛し、歌に愛されたVTuberを代表する歌姫の爆誕といった出来栄えであり、これまでカバー曲を投稿し続けた努力の賜物であることは間違いないだろう。

6月には生誕祭を、そして7月には早くも2ndシングルのリリースも決定している富士葵。圧倒的な歌唱力を武器にVTuberだけではなく、日本の音楽界を代表する歌姫に成長する青写真を描いてしまうのは気が早すぎるだろうか。

関連 : 富士葵 インタビュー 第2弾
https://toppamedia.com/interview-2019-4-fujiaoi/

関連 : TOPPA!! 富士葵 インタビュー(2018年9月9日)
https://toppamedia.com/interview-fujiaoi/


【キズナアイ】

世界No.1のチャンネル登録者数を誇り、先述のサマーソニック出演決定や音楽バラエティ番組『バズリズム02』への出演。昨年末にはバーチャルYouTuberとして世界初・史上最大規模となる単独ライブイベント「Kizuna AI 1st Live “hello, world”」を成功させる、など日本、いや世界を代表するVTuberであり、そのアイコンとしてトップに君臨するキズナアイ。昨年7月に初のオリジナル楽曲「Hello,Morning」を配信リリースからTeddyLoidや☆Taku Takahashi、DE DE MOUSEら日本屈指のプロデューサーを招聘し、9週連続リリースを行うなどシンガーとしての活動もめざましい。

今回紹介するのは、アニメ『バーチャルさんはみている』OPで、中田ヤスタカとのコラボを果たしたことで話題の楽曲「AIAIAI (feat. 中田ヤスタカ)」。

中田ヤスタカといえば、Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅを手掛けたことで知られる音楽プロデューサー。キズナアイでのコラボでもその流れは引き継がれており、代名詞であるテクノポップを土台に原宿系のゆるふわな要素が追加され、両アーティストのいいとこ取りなサウンド。VTuber キズナアイ×中田ヤスタカの化学反応は、まさにPerfume がリリースしたアルバムタイトル“Future Pop”を想起させるような未来のポップミュージックに仕上がっている。さらにヴァーチャルであるキズナアイとリアリティのバックダンサーがダンスコラボ果たすMVにも要チェックだ。こちらの楽曲はリリース直後には、iTunes storeエレクトロニック・チャートで1位を獲得し、幅広い層から支持されていることがわかるだろう。

また、5月には初のアルバム『hello, world』をリリース。限定盤にはCDに加え、2018年12月に開催された「Kizuna AI 1st Live “hello, world”」のライブ映像DVDが付属している。豪華盤は通常CDとDVDに加え、2018年に実施した9週連続リリース楽曲を中心とした今回限りの特別シングルカット盤10枚と盛りだくさんの内容。

hello, world(CD+DVD)

VTuberとしてのキズナアイの功績は大きく、世界中が彼女に注目している。今後の彼女のゆくえは最早、想像できるものではないかもしれない。一、音楽ファンとしてはキズナアイが更なる音楽の発展を起こしてくれることを期待せずにはいられない。

関連 : A.I.Channel
https://www.youtube.com/channel/UC4YaOt1yT-ZeyB0OmxHgolA

    Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.