ボカロの出自が変える音楽シーン vol.2 – 歩く人/Pedestrian、Sori Sawada(risou/ちんまりP)、ササノマリイ(ねこぼーろ)、上北健(KK)

ボカロの出自が変える音楽シーン vol.2 – 歩く人/Pedestrian、Sori Sawada(risou/ちんまりP)、ササノマリイ(ねこぼーろ)、上北健(KK)

日本の音楽シーンを語るうえで欠かせない存在となりつつある新世代ボカロP出身クリエイター&アーティスト、現役ボカロP。彼らの魅力をお伝えるべく立ち上げられた当コラムだが、前回は雄之助、seeeeecun、瀬名航、神山羊の4組を取り上げつつ、邦楽シーンを追うために役立てるものにできたらと考えているとも語らせていただいた。

関連 : ボカロの出自が変える音楽シーン – 雄之助、seeeeecun、瀬名航、神山羊(有機酸)
https://toppamedia.com/column-2019-7-music-scene-from-vocaloid-yunosuke-seeeeecun-sena-wataru-kamiyama-yoh/

こうしている今もボカロの出自に持つアーティスト達が続々と活躍を果たし、メジャーシーンにおいても存在感を高める一方で「ボカロP出身」というキャッチフレーズ=売れる音楽という方程式が確立されつつある音楽業界で消費されてしまうことも危惧しなければならない。また、最近では「ボカロ踏み台論」なる論争もSNSで起きているのも現状だ。

しかし、ここで書き記すのはボカロ文化に対する再評価とボカロをきっかけに消費されることのない新たな才能を開花させたクリエイター/アーティスト達の活躍と魅力だ。決してネガティブなものではないことを改めて宣言しておく。

今回「ボカロの出自が変える音楽シーン」 vol.2では、ボカロPを経てシンガー以外でも活躍する歩く人/Pedestrian、Sori Sawada(risou/ちんまりP)、ササノマリイ(ねこぼーろ)、上北健(KK)の4組にフォーカスして紹介を行う。

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文・編集 / 滝田優樹@takita_funky 


【歩く人/Pedestrian】

2016年より活動する歩く人/Pedestrian は、アンビエント・テクノ~エレクトロニク・ポップ、シンセ・ポップなどダンス・ミュージックを得意とする作曲家・ボカロPである。

近年では、シンガーソングライターましのみの楽曲「タイムリー」の編曲やVTuberアイドルときのそら「ほしのふるにわ」の作詞作曲編曲を担当。さらにはギタリスト166とのインスト・ユニットTHE LIQUID RAYを結成し、フル・アルバム『Melting Point Vol.1』と『Melting Point Vol.2』を立て続けにリリースした。これらの活動では、フォーク・ミュージックやニューエイジ、チルなど、ジャンルの幅とともに活躍の場も広げてきている。

こと歩く人/Pedestrianにおいて特筆すべきは、ジャンルの選択。つまり、シチュエーションに合った音のチョイスセンスが抜群に良い。

ボカロPとしての活動時は上記のダンス・ミュージックにフューチャーポップの要素を取り入れた音楽性で無機質なボーカロイドとの親和を図り、小気味なグルーブ感を演出しつつ、フックとなるサイケデリアなアプローチを同居させた。それにより、ボーカロイドがサウンドに乗っかるのではなく、溶け込むように響くイメージだ。

また、VTuberときのそらの「ほしのふるにわ」では純情可憐な魅力を引き立たせた素朴なカントリー・ミュージックを選択。アコースティックギターにアコーディオン、ヴィブラスラップと、シンプルな構成は春の木漏れ日のような穏やかな風景を。そのサウンドに乗せられるときのそらのピュアな歌声は、赤や黄色のチューリップを想起させる。

最後にインスト・ユニットTHE LIQUID RAY。ギタリスト166のギターを活かした生音アレンジが冴えわたる。洗練されたアンビエントサウンドは音響的なサウンドエスケープで、繊細で温もりの感じるギターサウンドは芳醇に響き渡る。この緻密なプロダクションは、幻想的な描写音楽として人々の心を捉えるだろう。

このようにジャンルレスに臨機応変な音の選択が持ち味な歩く人/Pedestrianは、今後マルチクリエイターとしての活躍が決定していると言っていいだろう。

関連 : 歩く人 / Pedestrian インタビュー
https://toppamedia.com/interview-2019-4-arukuhito-pedestrian/


【Sori Sawada】

元々risouやちんまりP名義でボカロPとして活動していたSori Sawada。cinema staffやハイスイノナサらの影響を感じさせるポスト・ロックを取り入れた音楽性で人気を博していた。その後、Sori Sawada名義で作編曲家・シンガーソングライターとしてデビューし、今年の2月には初の完全全国流通作品『昼日中』をリリースした。この作品では女性シンガーのSayaを招聘し、男女混声での編成でラブソングを表現したという。その他、アニメのジングルやBGMの作曲、VTuberであるAZKiのオリジナル曲「フェリシア」でギターアレンジ&演奏を担当するなど作編曲家としても数々の仕事をこなしている。

そんなSori Sawadaの魅力は、精工や巧妙に形容される美意識に彩られたアレンジ。

オフィシャルサイトにて自ら「バンドサウンドを中心にストリングスやピアノを用いた繊細なバラードやロックが得意です」と語るように、彼の音楽からは歌声から用いられる楽器のどれをとっても人の息遣いを感じることができる。複雑なものは一切なく、シンプルでクリアなサウンドプロダクションが一貫されており、一音一音の濃密さをたっぷりに肌触りまでも感じてしまうほどに生々しく、瑞々しい。構造・構成が丸裸に近い分、アラが目立ちやすいサウンドではあるが、彼の音楽にはそれが一切なく、どこまでも透明で、純度と質が高い。それゆえ、シンプルなサウンドプロダクションながらいくつもの感情や情景を感じ取ることができる巧妙的な音楽といえるだろう。

関連 : Sori Sawada YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCryN5t_RkwYs9RpojvICnfA

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