ボカロの出自が変える音楽シーン – 雄之助、seeeeecun、瀬名航、神山羊(有機酸)

ボカロの出自が変える音楽シーン – 雄之助、seeeeecun、瀬名航、神山羊(有機酸)

米津玄師のブレイクを筆頭にヨルシカ、Eveらを代表とするボカロP出身アーティストが現代の日本の音楽シーンを語るうえでのキーワードとなりつつある。各音楽メディアでも特集が組まれていたり、大手CDショップではボカロPのコーナーまで立ち上がっているほどだ。今や、ネクストブレイクアーティストというキャッチコピーに添えられるのは「ボカロP出身」というワードばかりだ。

元々は、アンダーグラウンドなプラットフォームとしてあったニコニコ動画であるが、それを出自とするアーティスト達がメジャーシーンで活躍するとともに影響を与えているというのは時代が動き出しているということだろう。これはボカロ文化に対する皮肉や偏見などではない。日本独自のカルチャーであり、音楽の更なる可能性を見出し、発展し続けてきたボーカロイドを音楽シーンが評価しだした。そして、次々と輩出されるボカロを出自にする新しい才能をメジャーシーンが認めざる負えなくなったということではないだろうか。

そこで日本の音楽シーンを語るうえで欠かせない存在となりつつある、新世代ボカロP出身クリエイター&アーティスト、現役ボカロPの魅力をお伝えるべく定期コラムをお届けする。今回は、雄之助、seeeeecun、瀬名航、神山羊(有機酸)の4組にフォーカスし、紹介を行う。

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文・編集 / 滝田優樹@takita_funky 


【雄之助】

2014年よりボカロPとして活動を開始した雄之助/Yunosukeは、現在トラックメイカー・作曲家としても活躍する話題の新鋭だ。そんな彼の魅力は、ボカロにEDMを取り入れたユニークな音楽性。ボカロに新たなる可能性を与えたとともにシーンを問わず高い評価を獲得している。

2015年に作詞に牛肉を迎えての1stアルバム 『Unique Antique』のリリースを皮切りに、翌年2016年にはオリジナル曲MV「Pathos」がニコニコ動画にて初の殿堂入りを果たす。その他、2017年には「PaⅢ.SENSATION」がYouTubeで100万再生を達成。2018年には「Feel My Heart」がボカロミュージックを大音量で楽しめるniconico公式クラブイベント「VocaNicoNight-ボカニコ-」の公式アンセムに選出されるなど、これだけでも人気の高さが伺えるだろう。

さらに昨年はCircus-P、tekaluなどのボカロPとのコラボ楽曲を収録した4枚目のアルバム『Fiction』をリリースし、様々な記録を打ち立てるとともに1年に1枚ペースでアルバムを発表するコンスタントな活動も評価すべきだろう。

今回紹介する楽曲は、今年発表の新曲「Sazanka」だ。代名詞であるEDMサウンドを土台に和楽器を導入し、シーンだけでなく時代をも越境した新境地作である。一見、奇抜とも取られるEDM×和楽器サウンドは煌びやかな普遍的なポップサウンドへと昇華されていて、心地よさを演出する。ダンスミュージック由来の打ち込みのビートと和楽器の持つ優雅さを活かした音響面のプロダクションは日本の伝統的な“和”そのもの。和洋折衷のバランス感覚が研ぎ澄まされた「Sazanka」は雄之助のネクスト・フェーズを告げる1曲。

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https://toppamedia.com/interview-2019-5-yunosuke/


【seeeeecun (しーくん)】

雄之助と同じく2014年よりボカロPとしてキャリアをスタートさせたseeeeecun。2016年に公開された「テイクアウト・スーサイド」が10万再生を記録したことにより話題を読んだ彼は、その後公開した「ローファイ・タイムズ」と「雲散霧消」でも10万再生を超え、一気に人気ボカロPとしての地位を確立させた。同年、4月には初のアルバムとなる『ドリトル教授の処方箋』を、2017年12月には1stフルアルバム『BOYS SEE BOYS』をリリースした。

最近では、フェミニンな甘いヴォーカルが魅力な歌い手、宮下遊とのユニットDoctrine Doctrineも結成し、1stアルバム『Darlington』ではインディーズオリコンチャート2位にランクインを果たした。

今年に入り、シンガーソングライターとしての活動開始を告げる楽曲「ケモサビ」を発表。こちらもYouTubeで10万再生を突破している。そして、来たる8月には初の自身歌唱アルバム『Bohemian Bloom』が全国リリースされることも決定している。ネクストブレイク必至のボカロP出身アーティストである。

彼の魅力であり、ボカロPとして脚光を浴びるきっかけとなったのはFranz FerdinandやKasabianらを彷彿とする2000年代UKロックを取り入れた音楽性だ。ブリットポップの影響を感じさせるキャッチーなギターロックを中心に据え、そこにトリッキーでサイケデリックなボーカロイドが加えることにより凶暴性抜群なダンスブルサウンドへと変容。そこに漂うのはミステリアスな雰囲気とほのかな中毒性だ。こういったボカロ側からの革新的なアプローチは、よって不遇の時代を迎えているロックに光を与えたといっていいだろう。

8月にリリースを控えるニューアルバムからYouTubeにて先行公開されている新曲「バスストップギャラリー」でも先述の音楽性を確認することができる。爽やかなクリーンギターに絡みつくリバーブとディレイが幻想的な印象を与える一聴してシンプルだが、ギター・ワークのレイヤーが秀逸な味わい深い楽曲だ。そのプロダクションに呼応するように凛とした強さを感じる歌声も聴きどころだろう。ローもハイも安定感抜群のヴォーカルは曲に躍動感を与える。自らが歌うことにより、自身の音楽性をアップデートさせた。既存のファンにも新規のファンにも刺さるだろう新たなる才能を解放させた1曲だ。

アルバムトレーラーも公開されているのでそちらもチェックしてほしい。

関連 : seeeeecun (しーくん) YouTube Channel
https://www.youtube.com/channel/UCth7Ai8KEXD8iQLDVXb4HUA

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