THE BINARY、DUSTCELL、くじら、R Sound Design、syudou – ボカロの出自が変える音楽シーン vol.9

THE BINARY、DUSTCELL、くじら、R Sound Design、syudou – ボカロの出自が変える音楽シーン vol.9

これまで現役ボカロPもとい、ボカロP出身クリエイター&アーティストなどネット発のアーティストたちの活躍を紹介し、音楽シーンの行く先を占ってきた。

2020年に入り、ボカロPを取りまく環境や注目のされ方が大きく変わってきている。

それを象徴するのがYOASOBIやsyudouなどボカロPたちの楽曲がTikTok経由でバズを起こしているということだ。TikTokといえば、ショート動画の共有サービスで10代を中心に流行しているアプリで、自ら動画を撮影して加工や編集をして投稿を行うもの。

これまでニコニコ動画やYouTubeに自らが楽曲を投稿することで楽曲発表を行ってきたが、そんなプラットフォームにおいてボカロの楽曲が動画を彩るBGMとして使用。もしくはその楽曲に合わせて創作ダンスを行うなどしているという。

楽曲の無断転載に関しては断じて許されるものではないが、10代の若者を中心としたコミュニティーから火がつき、音楽チャートにも浮上する構図はボカロの出自における新たな時代の到来といっていいだろう。

そこで今回は、ますます活況に沸くボカロシーンを代表する次世代ボカロPを中心にその血を受け継ぐもの。THE BINARY、DUSTCELL、くじら、R Sound Design、syudouの5組を紹介する。

関連 : ボカロの出自が変える音楽シーン – 雄之助、seeeeecun、瀬名航、神山羊(有機酸)

関連 : ボカロの出自が変える音楽シーン vol.2 – 歩く人/Pedestrian、Sori Sawada(risou/ちんまりP)、ササノマリイ(ねこぼーろ)、上北健(KK)

関連 : ボカロの出自が変える音楽シーン vol.3 – キノシタ、カルロス袴田(サイゼP)、和田たけあき(くらげP)、猫アレルギー(猫田中P)

関連 : YM、キタニタツヤ(こんにちは谷田さん)、ぬゆり、朝日廉(石風呂) – ボカロの出自が変える音楽シーン vol.4

関連 : 須田景凪(バルーン)、笹川真生、春野(豆腐屋)、YUUKI MIYAKE(MI8k) – ボカロの出自が変える音楽シーン vol.5

関連 : みきとP、ピノキオピー、40mP、sasakure.UK(ささくれP) – ボカロの出自が変える音楽シーン vol.6

関連 : ナユタン星人、DECO*27、じん、koyori(電ポルP) – ボカロの出自が変える音楽シーン vol.7

関連 : Misumi、Mitchie M、羽生まゐご、れるりり – ボカロの出自が変える音楽シーン vol.8

文・編集 / 滝田優樹(https://twitter.com/takita_funky)


【THE BINARY】

動的でエモーショナルな歌声と冷静な視点から語られる歌詞が魅力。

mido (緑のほう)とあかまる(赤いほう)による女性デュオ、THE BINARYだ。

彼女たちは、現実と仮想の両方にて活動を行う“2.5Dデュエットアーティスト”である。

2019年にボカロPのユリイ・カノンが制作したデビュー曲「EgoもIdも単純に」が話題となり、同年には3Dアバターを用いたVR空間上でのライブも行う。

そして、2020年6月に待望のフルアルバム『Jiu』をリリースした。収録曲にはユリイ・カノンはもちろん、多数のボカロPが制作した楽曲が集められている。

midoとあかまるによる、ひんやりから温い、明るいから暗い、を表現する歌声を活かすべく、多数のアーティストが集結したデビューアルバムは新人離れの出来栄えだ。

彼女たち自身はボカロの出自ではないが、楽曲はしっかりとその血は受け継がれている。最近ではYouTubeにてスタジオ配信ライブも行うTHE BINARYから今後も目を離してはならない。


【DUSTCELL】

元々歌い手であったEMA(ヴォーカル)とボカロPであったMisumi(コンポーザー)の2人によるユニット、DUSTCELL。

VTuberやボカロPが多く所属するクリエイティブレーベル“KAMITSUBAKI STUDIO”に身を置く。

昨年2019年から活動を始めたDUSTCELLは、オリジナル楽曲「CULT」と「STIGMA」を立て続けに発表し、大きな反響を得る。翌年2020年5月に1st アルバム『SUMMIT』をリリースする。

歌い手とボカロP、それぞれの分野で実力を発揮していた強者同士のタッグだ。もちろん、その楽曲は高水準をいきながら多くの人々を魅了する。

ビートが主体のボーダーレスなダンス・ポップとそのトラックを乗りこなしてしまう爽快感のあるボーカリゼーション。緊張と緩和を感じさせる音楽表現はもはや快感…といった具合だ。

残念ながら7月31日の1stワンマンライブ“SUMMIT”は有人ではなく無人での開催となってしまったが、配信でも彼女たちの魅力は損なわれないはずだ。

    Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.