GEMS COMPANY – 王道と最新型を行く未来のアイドル像を描く

GEMS COMPANY – 王道と最新型を行く未来のアイドル像を描く

「日本武道館やさいたまスーパーアリーナを埋めるライブをすること」。彼女たちのプロデューサーであり、スクウェア・エニックスの取締役でもある齊藤陽介氏はWEBメディアITmediaにおいて、GEMS COMPANYの目標についてそのように言及した。

このコラムを読んでいる音楽ファンたちでも理解していることだろうが、日本武道館やさいたまスーパーアリーナを埋めることは、そう容易ではない。日本のアイドルシーンにおいては歌って、踊れることは最早当たり前であり、もっと言えば可愛い、面白いだけで人気を獲得できる時代でもありはしない。多様化を極め、楽曲クオリティやダンスのレベルも高いのも珍しくなくなった、そんな時代に齊藤陽介氏はそう宣言したのだ。

GEMS COMPANYはYouTubeとニコニコ生放送での配信を通して出会った12人からなるアイドルグループ。スクウェア・エニックスがプロデュースを行い、所属はでんぱ組.incや妄想キャリブレーションでお馴染のディアステージだ。

そんな彼女たちの始まりは、2017年に遡る。同年行われたスクウェア・エニックスとディアステージ共同の次世代の声優を募集するオーディション「声優になりたい女の子募集オーディション」にて初期メンバー11人が選出された。翌年、2018年からはメンバーが順次YouTubeでの活動デビュー、その後ニコニコ生放送『スクエニ新PJ齊藤Pのゲームではないナニカをお披露目する放送。』にて、アイドルグループ「GEMS COMPANY」として活動することが発表された。

その後、新メンバーの追加を挟みながら、帯番組『VRadio』の火曜日を担当。今年の2月には、『JAM GEM JUMP!!! リアルイベント 先輩、勉強させていただきます!』にて、でんぱ組.inc、虹のコンキスタドール、寺嶋由芙、河野万里奈との共演を果たした。そして6月28日からはDMM VR THEATER YOKOHAMAにて3日間の初の単独ライブ『Magic Box』を開催予定である(※現在全公演のチケットは既に完売済み)。

このようにGEMS COMPANYの活動を追ってみると従来のアイドルとは少し違う現代的な発足でありながら、現行のアイドルファンの人気を徐々に獲得していっていることがわかるだろう。

しかし、彼女たちの魅力を知るのはこれからだ。楽曲、キャラクター、配信動画、ライヴパフォーマンス、王道アイドルをいくながらもそのどれもが規格外で、これまでのアイドルの文脈で語ることのできない特異さも兼ね備えていることをここに宣言する。彼女たちは、ただのアイドルグループではない。未来のアイドルだ。そしてそれらを深く掘り下げることで序文で紹介した齊藤陽介氏の発言の本気度と真意を汲み取ることができるだろう。

そこでGEMS COMPANYが一体どんなアイドルグループで、どのように規格外、未来的なのかに迫るべくコラムを執筆した。今回は数ある特徴のひとつである楽曲に着目してその魅力をお届けしたいと思う。

関連 : 水科葵 インタビュー
https://toppamedia.com/interview-2019-6-mizushina-aoi-gems-company/

文・編集 / 滝田優樹@takita_funky 


「JAM GEM JUMP!!!」

ニコニコ超会議2019でも披露された「JAM GEM JUMP!!!」。12人の個性溢れる色が反映されたガーリーなポップソング。作詞にはアニメ『アイカツスターズ!』を手掛けた辻 純更で、作曲・編曲には数々のアニメ、ゲーム音楽の提供するクリエイター集団MONACAの田中 秀和が迎えられた。

サビの“JAM GEM JUMP!!!”ではコール&レスポンスが必須で、ファン達がコピーしたくなるような愉快なものに仕上げっている。また、本曲での見どころはCメロでのメンバーそれぞれの自己紹介部分であろう。初見のユーザーでもそれぞれの特徴やキャラクターを把握することが出来るに違いない。メンバーそれぞれのカラフルなステージングにも是非注目して欲しい。


「形而境界のモノローグ」

猫耳が特徴で日本テレビの「マツコ会議」でも紹介された水科葵と、唯一の二期生で夢は声優である桃丸ねくとによるユニットfulfill。

そんな2人の「形而境界のモノローグ」では、高い歌唱力と表現力を兼ね備えたGEMS COMPANYとはまた違ったクールな一面が確認できる。

デジタルロックなサウンドにモノクロの渋谷スクランブル交差点からサイバーな近未来空間へと展開する映像も見もので、先日PerfumeがCoachella 2019で披露した配信映像を彷彿とさせるヒューチャリスティックな仕上がりとなっている。


「オンリー・マイ・フレンド」

こちらは、ヤングアニマル5号の巻末にて水科葵とともに水着グラビアに挑戦した珠根うたと元気一杯マンゴー娘、星菜日向夏からなる“うたひな”だ。

クローバーと向日葵を模した巨大オブジェと空や海を思わせる青を映し出したミラー加工なステージから象徴されるように展開されるサマーアンセム「オンリー・マイ・フレンド」。

純真な彼女たちを余すことなく凝縮されており、『アイドルマスター』、『アイカツ!』以降の正統派なアイドルソングな1曲だ。

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