普段は克哉(SLOTHREAT/Misanthropist)個人のコラム「異分子のすゝめ」として掲載されている本コラム。
今回は克哉からのオファーがあり、烈(DIMLIM/Gt)、セラ(Neko Hacker/Gt)を迎えた対談形式でお送りする。
繋がりが無さそうに見えてその実奇妙な縁で繋がったこの3人、彼らに共通する点はへヴィーミュージックを一度経由し、その後DiverCore(越境者)として自身の音楽を押し進めている点だろう。
今回、DiverCoreであるが故の思想・行動方法等、彼らの生の意見を合計2万5千字超・過去TOPPA!!掲載記事TOPクラスのボリュームでお送りする。
取材・文 / 宮久保仁貴(https://twitter.com/hermanhalkemen) 編集 / 松江佑太郎
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克哉 : 一応僕のコラムという責任があるので、引っ張っていきます(笑)。自己紹介は……名前ぐらいは言おうか?
烈 : お互いのファン、全然知らないでしょ。
克哉 : 対バンした事が何回か有るから烈と俺のファンはある程度双方認識してそうだけど。
セラ : でも俺はフィールドが全然違うから、少なくとも今は。
烈 : Neko Hackerはどういうジャンルってことになるの?
セラ : まあエレクトロかな。ちょっと掘り下げたらKawaii Future BassとかEDMとか。
烈 : いつきゃりーぱみゅぱみゅと対バンするの?
セラ : やりたいな(笑)。そうしたらおじいちゃんとかも分かるもんな。
-(笑)。改めて、皆さんの自己紹介をお願いします。
セラ : Neko Hackerのセラと申します。今は公式にはカタカナの名前でやってます。
烈 : DIMLIMの烈です。
克哉 : SLOTHREATの克哉です。
烈 : もう終わんないよこれ、たぶん(笑)。
-現在、それぞれSLOTHREAT、DIMLIM、Neko Hackerと自身のグループでイニシアチブを持って活動されていますが、そもそもの出会いはどのようなきっかけだったのでしょうか? 克哉さんがセラさん、烈さんを繋いだように思います。
克哉 : 出会いのきっかけについて話すと、僕がこの2人を繋げたんです。セラ君とは、もともと僕の双子の弟の孝哉(SLOTHREAT/Gt)が中学校の時から知り合いで、当時流行っていた某SNSの○○という……。
-そこからですか!?
セラ : 「◯◯◯◯」みたいなやつね(笑)?
克哉 : そう(笑)。それはその中の……コミュニティだっけ?
セラ : サークルじゃない?
克哉 : それで知り合ってたんです。
孝哉は関東、セラ君は関西だったんですけど、そういうネットの繋がりで知り合って、そこからずっと仲良くしてたらしいんです。それで、セラ君が当時やっていたFIELD OF FORESTというバンドが東京にライブしに来る時に、たまにウチに泊まったりしてたんですよ。そこでちょっとした顔見知りになってたんです。
その後、俺が立川BABELにKAZ(SLOTHREAT/Vo)の前身バンドを見に行ったんですよ。その時、セラ君が他の出演バンドのサポートをしていて。俺がラスカリを見ようと待ってたら、当時俺とセラくんで全然接点無かったから互いに敬語だったんですけど、俺と孝哉を間違えて、「おお、なにしてん!」っていきなり話しかけてきた(笑)。
セラ : 孝哉おるやんけ、と思って(笑)。
克哉 : 一応顔は知ってたから、「どうも、久しぶりっす。」「あ、すいません。」みたいな(笑)。一番仲良くなったきっかけが、俺が一昨年にセラ君のライブを見に大阪に行って……。
セラ : その時にアメリカ村の橋のところで、初めて2人で自撮りしたんだよね。
克哉 : (笑)。その時に東京のMisanthropistでおなじみの久恒さんがやっているLumber Coated Rustが対バンでいて。結局FILED OF FOREST1回も見られてないから見てえな、ということでLumber号に乗せてもらって見に行って。
そういう感じの流れがあって、そこからは東京に来たら孝哉も交えて会ったりしてて。そこからセラくんが上京してきて、普通にソウルメイトって感じですね。
セラ : でも最初怖かったんですよ。孝哉の部屋に泊まらせてもらったりしてた時に、ずっと隣の克哉の部屋からデカイ音量の音楽が聴こえてきて、「めっちゃ音楽好きな人おる!」みたいな(笑)。
烈 : そんな感じだった?
セラ : なかなかしゃべることも無かったので、どんな人住んでるんやろと思いつつ。
克哉 : 互いにバンドの音源とかチェックしつつ、間接的には知り合いって感じでした。
セラ : CodeRebirthとか聴いて、すげえなあと思ってました。
克哉 : しかも同い年だったから。俺もFOF聴いて、タメですごい奴がいるなって思ってた。
セラ : 同世代でミックスとかまでやっている人が、DIYで全部自分でやっちゃうみたいなのも今は当然ですけど、当時はなかなかいなくて。その中で自分で全部やってるのがすごいなと。でもまたデカい音で聞こえてくるのが怖かった(笑)。
克哉 : 確かに当時は全然そういう俺みたいなタイプは数える程度しか居なかったな。爆音でビビらしてごめんね(笑)。
烈君は、もともと全然接点はなかったんですけど、1回ちょっとしたことでDMくれたことがあって。
烈 : 俺が普通にMisanthropistのファンというか、「うわ、この人どうなってんだ。ヤバい人いる。」と思って、「色々話聞かせてください。」みたいなDM送って。。当時はバンドもやってなかったんですよね。
克哉 : 俺もバンドってのは丁度全くやってなかった時期だったんですよね。
烈 : CodeRebirthが終わって、Misanthropistの第1弾ぐらいだったかな。そこからは特に何もなく。それでDIMLIMが始まって、高田馬場CLUB PHASEにDIMLIMが出る時に、克哉がエンジニアしてた他のバンドを見に来ていたんです。そこで話しかけてもらいました。
克哉 : そこからちょいちょい関わって、同世代なのは知ってたので、確か最初はDIMLIMが出てたサーキットイベントに行った時の打ち上げでがっつり話したんだよね。
烈 : その時からかな。
克哉 : 俺は普通に見に行ってただけだけど。
俺はそもそも年下にあまり敬語使わせたくないタイプな事もあるんですけど、なんとなく直感でこの人面白そうだなと思って、もっと踏み込んで話したいと思ったから、タメ語でいいよって言って。その後にシングルのエンジニアリングを依頼されて、その時はミックスとマスターだけだったんですけど、『CHEDOARA』の作成時にプリプロからマスターまでの案件で、フルパッケージとなるとほぼ毎日会うので、たぶん俺の家に1億回ぐらいは来てるなと思います(笑)。
烈 : 結構俺の家から離れてて、50kmぐらいあるんですよ。車で行ってたんだけどもう道も覚えました(笑)。
克哉 : ありがたいことに信頼されていたのをひしひしと感じたのと、作品の内容もやりがい半端なかったし、色々と辛い時期で烈君がめっちゃしんどそうにしてたのもあって、一緒に乗り越えたという印象もあるので、あのアルバムによってさらに親交が深まった感じですね。
セラ : 合宿で絆深まる系のやつ(笑)。
克哉 : そんな感じか(笑)。そのあとにこの2人を出会わせたのは僕です。セラ君とは、仲は良いけどワークスでの関与をしていないからそんなに日常的に連絡取らないんですよね。でも烈君とはほぼ毎日やり取りするんですよ、ワークスのやり取りもあって。それで音楽の話をよくする中で、オススメの音楽の話とかをしている流れで、エレクトロとか、『プロの所業とは』みたいについての議論を2人でするときに、「俺のダチにヤバい変態がいるから、これ聴いたらお前もヤバいと思うだろう。」という話をしたんです。Neko Hackerの1stシングルだったかを聴かせて、案の定ヤバイとなって。気が合いそうだし会わせたら面白いだろうと思った。
一方でセラ君にも、「今DIMLIMのアルバム作ってるんだよね。」って話はしてて、「vanitas」が出来た時くらいに、1度セラ君がウチに飲みに来てて。
セラ : 『CHEDOARA』の制作秘話的な話を聞かせてもらったね。
克哉 : チームの一員として俺の中ではこれはめちゃくちゃヤバイ作品が世に産み落とされたなって感覚がリアルにあったんです。こういう音楽を聴かない人にも絶対刺さるぐらいパッション溢れてるから。内容もそうだし、プロダクションも上手く出来たし。近況報告がてらセラ君に、「最近こういうバンドと仕事しててマジでヤバいんだよ。」って聴かせたら、「なんやこのバンド、ヤバイな。」ってなって……。
セラ : 実際そんな感じでしたね。アルバムを聴かせてもらってめっちゃかっこいいなとなってるうちに、克哉の部屋で最後まで聴いちゃいました(笑)。
克哉 : それを考えると2週してるからね(笑)。
勝手にそういう会合をしてて、これはもう絶対会わせようと思ったし。そのあとに、セラ君とDIMLIMのライブ、オトノギに行ったんです。
セラ : その時、本当にめっちゃ怖かったんですよ(笑)。V系とか友達いなかったんで。俺が敬語使ってたんです。
克哉 : あと以前NOVELISTSが来日して渋谷CYCLONEでやった時、俺と烈は一緒に見行ったんです、2人ともNOVELISTSが好きなので。そうしたら階段から会社員みたいなやつが降りてくるなと思ったら、初めて見たスーツ姿のセラ君だったんですよ(笑)。その見慣れない光景にブチアガって殻を砕いて、その後しっかり3人で飲みに行って。
セラ : NOVELISTSが繋いでくれたんですよね。その時はEarthists.のYUTOを囲んで、全員で「なんでこんなに音良いの?」「音良すぎだろ!」って問い詰めたりしてました(笑)。
-そこから年月を経て、現在2019年となります。出会った頃と比べて、「変わったな~。」と思う点はありますか?
セラ : 人間的に、音楽的にとかはないよね。形は変わってるけど。
克哉 : 確かに活動形式は変わってるけど。
烈 : 俺のところは変わりすぎだから。
克哉 : 君のバンドはね(笑)。
烈 : 外タレ並みに入れ替わり激しいからね、まあもうありえないけどね(笑)。
克哉 : 逆に聞きたいけど、何か互いに見て変わった印象ある?
俺から言うと、烈君は作曲始めた頃から知ってるんだけど、とにかくレベルが上がったというか、アイデンティティが年々濃くなってきてるなと思って、具体的な変化を肌で感じてるよ。
セラ君に関しては……こう言ったら変ですが何もないですね(笑)。良い意味で何も変わってないなと。昔の曲から今の曲まで知ってるんですけど、ぶっちゃけ全部同じ曲に聞こえちゃうんですよ。もちろん違う曲なんだけど同じに聞こえる。めちゃくちゃ良い意味で。
セラ : 嬉しいわ(笑)。俺は克哉にもそれを感じるけどな。年月の分、研究されたり更新はされてるけど。
克哉 : 俺も同じような感じかもしれない。昔から音楽を描く上での方法論の根底は変わっていない気がする。
烈君に関しては自分の作曲ロジックを模索し更新してる所を俺はリアルタイムで見ているから面白いです。芯はずっと一緒なんですけど。その様を見てるので、変わったなと思う点は結構ありますね。アプローチも目に見えて少しずつ変わってきてるしね。
烈 : 変わったね。やっぱり『CHEDOARA』と「vanitas」が大きかった。
セラ : 『CHEDOARA』はイントロから「なんやこれ!」ってなるね。
克哉 : 「vanitas」のイントロはシンプルなフレーズなのに、あれが1音来るだけで「おっ!」となるのがすごい。
烈 : デモの時から変わらないんだよね、あれから絶対始めたいなって。
克哉 : 個人的な感覚だけど、あのキャッチーさだったりアンセム感はもはやLINKIN PARKの『Given Up』とかそういうレベルだからね。無意識だと思うけど。
ここの3人って、近いようで近くないような所があるなと思う。どっちかというと、セラ君と僕は少し近いかも知れないですけど。この2人は、今の段階で感じるのは自分のアイデンティティを見せる方法論が自分の中で完全に自覚されてて、それを自分でコントロールして、なおかつ新しいことを組み込んでやってると思うんですよね。
みんな天才なんですけど、セラ君は「これこれ、本当分かってる、すごい、天才じゃん。」みたいな感じ。烈の場合は、コンポーザーになったのが近年なのもあってか「どういう脳みそしてたらこれがこの次こう行くの?」みたいなヤバめな面白さが凄い。生々しいアヴァンギャルドさを感じる。
烈 : うーん、分かんない(笑)。崩してるつもりもないし、自分の中では美しいと思ってるから。
克哉 : 俺も美しいと思う。噛み砕いて言うと、めちゃくちゃ初期衝動が詰まっているんですよ。ここまでこういうのが作品に表れる人もあんまり見たことないから。右も左も分からないような状態であれを作ってしまう奴がいるってのが衝撃的だった。だからこそって事も有ると思うけど。
セラ : 意味分からんかった。
克哉 : みんな作曲について色々考えてることはあると思うんですよね。
-皆さんの音楽性はそれぞれの独自性を持ちつつも、根底にへヴィーミュージックを感じます。それぞれの作曲・プロデュースに関して、「ここはズルいな……!」と思うポイントがあれば教えてください。
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