EXTENSION vol.1 -克哉(SLOTHREAT/Misanthropist)の異分子のすゝめ 特別編/DIMLIM 烈(Gt)、セラ(Neko Hacker)対談

EXTENSION vol.1 -克哉(SLOTHREAT/Misanthropist)の異分子のすゝめ 特別編/DIMLIM 烈(Gt)、セラ(Neko Hacker)対談

  

セラ : 当たり前だと思うんですよね。ジャンルを意識せずに、自分が聴いてきたことをやってるだけというか。僕ら世代の10~20代って、小学生ぐらいからインターネットがあって、いろんなものを聞いて見て育ってきてるじゃないですか。今、音楽を作ったり絵を描いたりしてる人も、触れてきたものをただ吐き出していて、それが結果として何かと何かを組み合わせているという解釈になってるんじゃないかなと。意識してる人もいるだろうし、実際僕も意識してやってますけど。それが当たり前というか当然で、縛られないと思うので。マインドもそうやし。

 

克哉 : 間違いないよね。ぐうの音も出ない(笑)。

 

セラ : だからこそ、変なものに惑わされず、自分が好きで聴いてきた音楽を解釈して咀嚼して、自分の作り出す質に生かすところにより真摯に向き合っていかないと、淘汰されてしまうなと思います。これとこれ組み合わせたんですよ、と言ってるだけじゃ見向きもされないだろうし。

 

克哉 : ジャンルに固執するということは、そのジャンルの衰退とともに自分も衰退するというのとイコールだからね。

 

烈 : どんなバンドを見ていてもそう思いますね。

 

克哉 :  DiverCoreっていう名前を最近知ったんですけど、アーティストとしてあるべき姿に戻っているだけかなと思います。アーティストって絶対、自分のアイデンティティに真っ直ぐに生きてきて、鬱屈して溜めたものがあるから、自己発信や創作物に昇華することに結びついていると思うんです。それが大衆に迎合して、ジャンルやカテゴライズを自ら何かに絞って縛ってやるというのは、ある意味他人本位なんですよね。そういうのが嫌で、自分で思って考えて、「自分とは?」と奥深くまで掘り下げて、創作物に投影してやるのがアーティストだと思うので。当然1個のジャンルでは定義できませんよね。十人十色とはよく言ったもので、それぞれ人間がいて、アーティストだろうが会社員だろうが、誰でもみんな個性を持っている中で、創作物もそうあるべきだし。あるべき姿に帰結してる感じはしますね。

だからいいんじゃないですかね、増えてきているのは、ネット社会で、シーンの飽和が昔よりどんどん早くなっているからこそ、こういう風になっているのかなと思います。

 

-本当に強いものはちゃんと残るし、ダメなものは淘汰されちゃいますよね。どういうシーンでもそれは感じます。

 

克哉 : 媒体をやられてる方だとなおさら痛感することかもしれないですね。

俺はなぜ個であることを捨てたのか、と思うんですよね。いわゆるシーンに帰属してしまう人たちって、そこから逸脱することを恐れる印象があるんですよ。でも俺はシーンに依存されてしまうことが逆に恐怖なんですよね。これやったらメタルコアっぽくないとか、ロックじゃない、ポップスじゃない、ヴィジュアル系じゃないとか。俺からするとそのマインドが逆に恐怖なんです。昔のバンドの時はよく、「ヴィジュアル系っぽくないことやってるよね。」とか言われて、当時は動員も無かったので、バンド内で、次はそういう曲もあった方がいいんじゃないか、というムードになったりはしたんです。でも、僕は他人と同じになるのが怖かったしプライドが許さなかった。

 

烈 : そんな時期もあったんだ。あの時にCodeRebirthをやってたらなおさらだろうね。

 

克哉 : 2012年にあれをやってたから。でも周りと違うことをやらないと自分が死ぬっていう潜在的な恐怖心からそうなってる。受け入れられなかろうが好きだからやってたのも勿論ある。

 

烈 : アーティストほどジャンルを意識しちゃダメだと思います。括られるのはしょうがないことだと思うけど、前のインタビューでも言ったように、法律で決められているわけでもないし、好きでやって、自由を求めて、自分たちの音楽を伝えていこうと始めたものなので。それを勝手に決められちゃったり、恐怖心に負けてしまうのは、自分がなくなるってことだから、怖いし。でも、今の音楽シーンを見たら、オリジナリティというか、面白い音楽が公に出ている気はします。

 

克哉 : 俺もそう思う。最近のバンドってみんなこうだよね、みたいなよくある無個性な批判文句があるけど、むしろ今の方が個性的なものが多い。なぜかというと、情報社会に揉まれて育った奴らが、大量に情報を摂取して自分なりに消化して音楽を作ってるから。

 

烈 : 今の小さい子なんて、5歳くらいから携帯とかタブレットとか持ってたりするじゃん。全世界の音楽が聴けて、ネットで全部見られるじゃないですか。やっぱり怖いですよね。

でもそれに対して、僕たちもそうですけど、そういう情報社会であまり育ってない人たちがどういうアプローチで対抗していくのかも気になるし。何も見てないのにそれを一概に面白くないと言うのは、音楽シーンのためにもならないし、自分たちのためにもなってないし、どんどん衰退していくだけかなと感じます。新しくて良かったらそれでいいじゃんと、作品に対しては本当にフラットに見るべきだと思うので。そこがちょっと歪んでいるかなという気はします。

 

克哉 : 歪んでいるなとは思うね。

 

烈 : そこで、そういうことを思ってない人が、見て見ぬ振りをして、自分たちの保身のために、それは違うとか言うのはまあ分かるよ。

 

克哉 : 自分の生き方を肯定したいがために他を否定するっていうのは、人間のごく普通の心理じゃないですか。アーティストだからこそ、そういうマインドがあるのは分かるよね。

 

セラ : でもリスナー視点からだと、ジャンルってすごくありがたいよね。

 

克哉 : 確かに。掘り下げるのが簡単で深みに行けるからね。

でもこの3組だと、それぞれが『こういうバンドがあるんだ、こういう音楽があるんだ』って知られたとしても、そこからカテゴリをディグれないんですよ。すごくハードルの高いディグが要求される3組だと思うんですよね。

まず、鳴っている音を聴いて紐解く作業から始まるんですよ。例えば僕だったら、根底にあるメタルコアミュージック等のヘヴィミュージックと、ジャパニーズメロディだとして。あとその歌謡メロディはどういう遺伝子からできたのか、とか。それをディグった上で、SLOTHREATっぽいなとか、Misanthropistっぽいなとか音楽をディグるっていうような。そんなプロセスを踏まないといけないね。

Neko Hackerに関しても、もともとプログメタルコアから始まって、エモとかスクリーモのエッセンスがある人間が発端で、遂にそこにエレクトロミュージックが入った。それを察知して、ルーツをひとつひとつ見ていって、なるほどと腑に落ちるところまでがウチらに対するディグなので。

DIMLIMもそうですけどね。DIMLIMなんて、正直語弊を恐れずに言うと俺もルーツが分からないんですよ。烈と会ったり話したりしてるから好きなものは知ってるけど。得体の知れないアイデンティティが奥に隠されているバンドだと思います。

 

セラ : 「烈」というジャンルやもんな。

 

烈 : それはNeko Hackerもそうでしょ(笑)。

 

克哉 : そう思うとジャンルはありがたいなと。昔、自分のバックグラウンドを築き上げていた時代に、確かにジャンルという括りは助かりましたね。同じ括りになっている理由と、それでも違うものとして成立している理由の2つを探れるというか。なぜ同じ括りなのか、なぜ同じ括りなのに違うのか、という微妙な差異のあるアプローチを紐解く事は僕はとても大切だと思っています。そういう行為から造詣が深まり本物の説得力が産まれるからです。ジャンルという括りは、前述したそういうものを一緒くたにしてくれているからありがたくはあった。

 

セラ : リスナーも、このジャンル調べたいからこれだけ聴くっていうのは、アーティストと同じで、固執してることになるから。リスナーもクリエイターも固執せずに、隣のジャンルをちょっとずつ眺めてみたりして。

 

克哉 : メタルコアもDiverCoreみたいなものだし。メタルコアというカテゴリ内の例えの一つでしかないけど、もともとメロディックデスメタルから派生したKILLSWITCH ENGAGEやSHADOWS FALL等がいて、それらの前身バンドのAFTeRSHOCKやOVERCASTがあって、その世代のバンドがメロデスとハードコアをブレンドさせたところからメタルコアが生まれて。これって今のDiverCoreと全く同じ。Nu Metalやミクスチャーもそう。

ヴィジュアル系も、パワーメタルやメロディックスピードメタル等を日本なりに解釈して、ゴシック・パンク等を合わせたりして生まれた。今言われているDiverCoreって奴も、数年後には何かしらのジャンルが付いてると思う、フォロワーが出来て。また何かのカテゴライズがされるんだろうなと思ってはいるけど、それもそろそろ名前的にネタ切れかなと。ジャンル名を定義するのもネタ切れなぐらい情報が溢れてるから。今後の感じは正直読めないな。

-DiverCoreという言葉が生まれて間もないですが、とはいえ本当にこれからの音楽事情は読めないですね……!続きまして、リミックス文化についてどう思いますか?近年主流になりつつあると思いますが。

 

克哉 : 僕はその辺りは疎いというか、逆にもともとあったイメージなんですよ。ARCHITECTSとかAS I LAY DYINGのリミックスをBIG CHOCOLATEがやっていたのを見てたから。もともとメタルやロックミュージックのリミックスは結構聴いてたし、そんなに実感はないです。セラ君はどう?

 

セラ : ラブレターの交換みたいな感じです。

 

克哉 : パワーワードだ(笑)。

 

烈 : これ文字の色変えてもらわないとだね(笑)。

 

セラ : 基本的には歌メロディがあって、元のオケを省いて自分なりのオケを付けたり、自分なりの解釈でやって、あわよくば本人も聴いてくれるじゃないですか。コライトじゃないですけど、一緒にひとつのものを作ってる感覚があるんですよね。僕はまだあんまりやったことないんですけど、エレクトロ界隈ではすごくたくさんあるから。メタルでもジブリメタルとかあるしね。

 

克哉 : 東方アレンジとかね。

 

セラ : 改めて考えたら、メタルコア界隈とか、いろんなジャンルでやられてるんだなと。愛があるからやるってことですよね、ジブリをあえてメタルにするとか。だからラブレターです。

 

克哉 : そのうちDIMLIMとSLOTHREATのリミックスやってよ。

 

セラ : EDMをメタルにしました、とかはたまにあるけど。最近でも、NORTHLANEとフィーチャリングしているトラックメーカーの人がおって。そういう動きも出てきてるよね。

 

克哉 : 最近NORTHLANEがそういう方向性に行ってるもんね。

 

セラ : PERIPHERYも、「自分のリミックスをしよう!」みたいなコンペやってたし、意外とジャンルを飛び越えてやられているなと。

 

-ラブレター……確かにマッチした言葉ですね。さて、年号も令和になり、音楽しかり様々な情勢が急速なスピードで進みつつあるように思います。皆さんが最近感じた印象深いことを教えてください。個人的には、良い面も悪い面もあるなと思っていて、ひとつは、高クオリティなものが増えたなと。機材とかのスペックも上がったし、小さいバンドでもフルスペックだし。でも優等生な音は出せるんですけど、それ以上のものはできない、DiverCoreになれていないのかな、と思います。

 

克哉 : 語弊有るかもですが尖り気ないですよね。尖ってないからDiverCoreになれないんですよ。なぜ尖るのかというと、さっきの話の、自分が生きている意味という話なんですよ。人と違って、ジャンルに依存しないというか。それを端から見ると、尖っているという話になるんですけど。

僕のコラムのタイトルって「異分子のすゝめ」じゃないですか。面白いことに、今回のメンツも、DiverCore云々も、俺の尖っているかそうでないか発言も、全部そこに集約しているんですよ。僕がこのコラムでやろうと思っていることは、そういう「我」を持つことの主張。エゴイストってつまはじきにされがちだけど、それがアーティストの有るべき姿だと思ってるから、そういうマインドを説いていこうという趣旨なんです。だからこういうタイトルにしてます。

こういうメンツが集まったのも必然かなと思います。ヘイトが溜まって尖ってるとかそういうわけじゃなくて、僕らは異分子なんです。異分子なんですよ、君らは(笑)。

 

セラ : 突然変異(笑)。最初は作曲とかギターもコピーから始まるやんか。

 

克哉 : そうだね。

 

セラ : 俺も最初に曲作り始めた時は好きな音楽の模倣でしかなかったけど、少しずつ自分が得意なことを見つけて自分がやりたいようにできるようになってきた感じ。例えばジェントとかが好きなら、そういうギターフレーズをコピーするだろうし、そういうバンドが使っている機材を調べると音のつくり方もわかってくる。そうこうしているうちにバンドの模倣が出来てくるわけだけど、それ事体は尖っているわけではないかもしれない。でもその模倣は確実に勉強機関なのであって、その先にそれぞれのオリジナリティが見つかるんじゃないかなと思う。

ちょっと前に、ERRAっぽいことしてる日本のバンドが出てきたときとか、それが模倣だとしても僕はすごく嬉しかったんですよ、そういうバンドが日本にいたというのが。今もそういう感じで、模倣という言い方は悪いですけど、好きなバンドが1個あって、それっぽい曲を作ろうとしてるのは素晴らしいと思うんですよ。でもそれがDiverCoreかというと違うなと。好きなものに自分らしさや他の好きな要素を織り込めればもっと楽しいと思うな。

 

克哉 : エンジニアリングだと好きなエンジニアのリファレンスにして聞きまくったりとか。。ちなみに俺が作曲始めた時なんかは、今じゃ想像つかないかもしれないけど、KORNの劣化版みたいな曲ばっかり作っていました(笑)。

ところで、セラ君の音楽は一見可愛いから尖ってないようで、めちゃくちゃ尖っていると思うんですよね。尖りすぎてる。今日ここに来るときもNeko Hacker聴いてて、この人頭の中おかしいんじゃないかなと思って、これが尖りだなと。なんでここでこのフレーズが鳴っててそのフレーズ出せるの、みたいな。それはセラ君のバックグラウンドが無いとできないものだから、これが尖りだと思います。

 

セラ : みんなできると思うんだけどな。メタルしか聴いてない人ってたぶんあんまりいなくて、昔どこかのタイミングでORANGE RANGE聴いてるやろ、みたいな。

 

克哉 : 邦楽批判する人とか、何かしら否定する人、コアなジャンルに触れると、オーバーグラウンドを批判する人との出会いが必ずあるんですよ。でも、お前絶対昔好きだったよな、と思っちゃう。お前生まれて初めて聴いた音楽がCRYPTOPSYだったの?、そんなはずないでしょ?、という感じ。もっと奥底を掘り起こせば、必然的にどこのジャンルでもないと言われるような音楽が出来ると思うんですよね。これはネガティブな話じゃなくて。どこのジャンルでも例えられない音楽は周りから見たら扱いにくいだろうし敬遠されるだろうなとは肌で感じるんですけど、でもこれってめちゃくちゃ良いことだと思うんですよ。

 

烈 : じゃないと魅力が付いてこないと思います。外面だけじゃ分からないよね、曲の質とかも。マインドというか、別に尖りたくて尖ってるわけでもないし。自然とそうなっているだけで。

 

克哉 : シンプルに、好きなことを最強に極めるのが音楽シーンでの一番かつ唯一の活路だと思ってます。

 

セラ : 流行り廃りが速い時代だからこそ、好きなことに一直線に進んでるやつが強い。YouTuberとかでも、昔からキャンプをやってる人の動画はやっぱり伸びているなと。それを見てキャンプ始めた人はやっぱりそこには行けないし。「好きなものを突き詰め時代」ですね。

 

克哉 : 多様化したがゆえに。セラさんの発言はやっぱりぐうの音も出ないですね。

 

セラ : いやいや、一生懸命ですわ(笑)。

 

克哉 : 実は言葉にするの苦手じゃないんじゃないの? あんな曲を聴いて、そうは思えない。

 

セラ : だってバンドやってた頃、発言の8割が「エモい」だった(笑)。エモいで片付けて、言われた側の解釈に任せるみたいな。説明するの苦手やから。

 

克哉 : でも理系だもんね。関係あるのかな?

 

セラ : 普通なら説明するのは上手いはずなんだけどね。

 

-この話に付随しますが、クリエイターが自身の力で情報を発信できるようになった反面、消費社会も進んでいるように思います。こちらに関してはどう思われますか?

 

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