Яyo(Wolves anchor DC、ex. ギルガメッシュ/Dr)対談 / EXTENSION vol.2 -克哉(SLOTHREAT/Misanthropist)の異分子のすゝめ 特別編

Яyo(Wolves anchor DC、ex. ギルガメッシュ/Dr)対談 / EXTENSION vol.2 -克哉(SLOTHREAT/Misanthropist)の異分子のすゝめ 特別編

克哉 : 挙げるのも難しいところなんですが、まずパッと浮かぶとこで去年かなり聴いたのはGIDEONの『Out of Control』と……。

 

Яyo : 今俺それヘビロテしてる(笑)。

 

克哉 : これエンジニアWill Putneyではないじゃないですか。主観ですがトレンドがこれになりつつあると言うか。昨今のバコーン系スネアではなくスネアがカンカンで、深胴をハイピッチにしてる感じ。スネアはPANTERAのVinnie Paulのモデルらしいですね。音像はドライ目でリバーブ浅めみたいな。

 

 

Яyo : 俺は好きなプロデューサーの楽曲を聴くことが多いかな。Taylor Larson、Will Putney……。SNSでこの曲やりましたっていうの見たらすぐダウンロードする。だから特定してこのアーティストだけを超ヘヴィローテーションするっていうのは無いかも。

 

克哉 : 直近リリースではないですがBILMURIの"RICH SIPS"とDANCE GAVIN DANCEの"Blood Wolf” をとか。あとBAD WOLVESの"N.A.T.I.O.N”、aYiaとかmillennium paradeとかもめちゃくちゃ聴いてます。記事公開時には全曲出てると思いますが今Loatheの新譜が一番楽しみです。他もあるけど色々聴きすぎててちょっとパッと出てこないかも。

 

 

Яyo : 『これもオススメ』ってレコメンドで聴いてみることも多くて、そういう面でサブスク最強だなと。それによってのダメージは大きいけどそういう時代かな。

 

克哉 : 日本に対しては乗っかれるか取り残されるかの二択だと思ってます。振り切れるかどうか。

 

Яyo : そこでいくと、一昔前はCDって唯一の収入源じゃないですか。それが何万枚とか売れたらとんでもない金額になる、っていうので儲けていた世代の人たちとは感覚が違うんだろうなと。変わって行くけど、今の時代に合ってるのかなと思います。

 

克哉 : 付け加えると、サブスクやってない世代が多いじゃないですか。彼らが言う謳い文句って定型化していて「でもそれって聴けるけど……自分のデータにはならないんでしょ?」って。でもプレイヤーで聴けるわけだからWAVデータで落とし込んで聴きたいとかない限りサブスクで良いし。若年世代の音楽レベルの急激な飛躍は昨今の情報量の増加に比例しているなって。

 

Яyo : あと、うまいことが当たり前。俺らの時代はYouTubeも無くて、サブスクなんて自分の世代は無いし。俺らの上の世代って基本は『ヘタクソ』なんですよね。めちゃくちゃヘタクソだし、自分も上手くはないですけどそこは情報量の差なんだろうなと感じますね。今なんてドラムレッスンだってYouTubeで学べる。うまい子が普通。

 

克哉 : そうだとすると、俺ら20代半ばは過渡期の世代だったかなって。YouTubeが当たり前になり始めた頃なんで、たまに20歳くらいの人と話すと良い意味で世代差を感じます。勿論情報収集量は個人差あるとして、情報量の平均値に関してのイメージは三階層に分かれていて、俺ら以降か、Яyoさん世代付近か、Яyoさんより更に上の世代か。真ん中より上はもう全部同じだと感じていて、結構知識と情報量が無かったりする。経験から生まれる現場の知識はもちろんあるけれど、リアルタイムな世の中の音楽に対する知識とかの量の差を感じます。

 

Яyo : あまり言いすぎると怒られちゃうかも。「誰のこと言ってんだ!」って(笑)。でも。そういう訴えかけもアリだと思う。

 

克哉 : 俺のコラムのコンセプトが世の中のクソみたいなセオリーに対し反旗を翻すようなコンセプトなんで、『出る杭にならなければいけない』って(笑)。

 

Яyo : 俺が守るから(笑)。

 

一同 : (笑)。

 

克哉 : これ以上心強い人はいないですね(笑)。前回の対談( https://toppamedia.com/column-katsuya-ibunshi-no-susume-extension-vol1/ )でも言いたいこと言いまくってたじゃないですか。結構ぶっこんでいたので。俺と烈でヒートアップして、セラが間を持つみたいな(笑)。

ただ反骨精神がないと、Яyoさんみたいな人も生まれなかったでしょうし、時代に対するカウンターっていうか。ギルガメッシュは当時いたバンドの中で明らかに二段も三段もクオリティが違ったから。唯一オリジナリティを持ちつつ外タレと肩を並べられるクオリティで、Яyoさんはトータルのコーディネートがめちゃくちゃうまくて詰めの甘さが一切無い。

 

EXTENSION vol.1 -克哉(SLOTHREAT/Misanthropist)の異分子のすゝめ 特別編/DIMLIM 烈(Gt)、セラ(Neko Hacker)対談
https://toppamedia.com/column-katsuya-ibunshi-no-susume-extension-vol1/

 

Яyo : 研究よねー。音楽を好きになれるか否か。

 

克哉 : 外タレの劣化コピーの有象無象とは違い完全にオリジナルで本物でした。本当によく思うんですが、『この曲のフレーズ・展開かっこいい!やろう!』って上っ面じゃなくて、『この曲のフレーズや展開は何故心に響くのか?』って風にバックグラウンドを根掘り葉掘り追求するはずなんですが、それをクリアできていない音楽があまりに多い。当たり前の話ですが自分の心を掴んだモノに対し、自分の心に何故そこまで響くのか一つ一つ本質を研究してバックグラウンドを肥やしていく。唯一無二の音楽製作を追求する。そうすると最後にエンジニアリングまで辿り着いていました。

 

Яyo : そこまで行くとこんな音像で、って追求したくなるから。普通はなるんじゃないかな。いる?周りで。でも増えてはいるよね。音楽シーンでは、打ち込みから全部自分でやるっていうのはあんまりいなくて、俺だけだったと思う。自分でやるのは疲れるけど、好きだからこそやる。

 

克哉 : 僕のイメージですが、楽曲そのものを一人の人間だとします。性格とか顔とか身長とかの本質だったり物理的なプロフィール。作曲はそれらを作る行程。エンジニアリングはそれに服を着せるようなものかなと。世の中に並んでいるのはそれらの行程が全て済んだモノ。

 

Яyo : 元は可愛いから上手く化粧すればもっと可愛くなるのに勿体ない。

 

克哉 : 楽曲自体は悪くないのに、音が良くないやつとか縄文時代の服着せてんじゃねーよって思います(笑)。そういうのを整えるのがプロデュース、エンジニアリングかな。

 

Яyo : 一世代前はそれが簡単に出来なくて。ProtoolsとかDAWが使えるようになったのが、俺らの世代で。今までは持ち帰られなかったから。

 

克哉 : 機材も一式揃えるのに平気で100万以上かかったり色々選択肢が少なかったような時代ですもんね。

 

Яyo : これが今スタンダードですね。

 

-ここ数年でリスナー側も制作側も大きく環境が変化しましたよね。そんな中、エンジニア目線で、近年衝撃的だった機材やプラグインはありますか?

 

克哉 : drumatomかな?ドラムのパラデータをインポートするとトラック毎に何のトラックかを認識するんですよ。スキャン後に被りを調整出来る。人工知能が被りを認識してくれるやつみたいで、もちろん少し劣化したりはするんですけど衝撃でした。特にハイハットのすぐ裏に鳴ってくるスネア消してくれたりとか。

あとはiZotope Neutronとか、Ozone。マスタリングスタジオ行ってもOzoneどこでも使ってるから家でも使ってみようと。Neutronも人口知能だから、「うわっテクノロジーじゃん」って思いましたね。

 

Яyo : 俺はUADかな。アナログアウトボードをエミュレートしたプラグインの処理機能が凄すぎて。スタジオのまんまなんですよね。アナログの感覚で出来るから、最近スゲーと思ったのはその辺りですね。

 

克哉 : UAD凄いなとと思ったのが、今までのアナログシミュレート系エミュレータが変化率を元に、掛けた後の工程に似せた表面的なところを真似して寄せているのに対して、UADはアナログ回路の部分からアルゴリズムをそのままプラグインの構造で再現してるところ。僕使ってないんで公式で見た情報ですけど(笑)。

 

Ryp : そりゃ処置時間かかって普通のPCじゃ出来ないよなと……。かと言ってそれが無くても良い音作る奴はいる。克哉とかね(笑)。

 

一同 : (笑)。

 

Яyo : めっちゃマニアックな話してんな(笑)。

 

克哉 : いや、こういう事なんですよ。基本的に当たり障りのない物が世の中に溢れているんで。しかもこんなのSNSで話さないから読む人だけ読めばいいと思って話してるんで。難しいところもあるけど無料コンテンツとして言いたいことは言えている気がしてます。なかなかここまで話せない。

 

Яyo : 読む層がはっきりしているからね。こっち側の興味がある人間は読んでいて楽しいだろうし。この内容で対談するにしても同じプロセスを踏んだ人じゃないと。作曲プレイヤーかつ、個人エンジニア、コンポーザーじゃないと話せないかもね。

 

-お二人ならではと言うか。話は変わりまして、近年のヘヴィミュージックにおける極度のダウンチューニング、またカウンターとしてのチューニングを軽めに戻すことについてどう思われますか?

 

克哉 : 特に気にしたことはないですね。ヘヴィミュージックというか最早カテゴライズ不能なバンドですが最近エンジニアリングしたDIMLIMも6弦半音下げになってましたね。彼らの最新アルバム『MISC.』の「For the future」っていう曲のBメロが7弦のDropG#に聴こえるじゃないですか。

 

 

-あのアルバムのチューニングが半音下げと聞いていたんですが、「For the future」は異質でしたね。

 

克哉 :最初、烈(DIMLIM/Gt)が7弦使うか悩んでいて。ただかなりイケてるテレキャスを入手していたので「せっかくだから、このギターで行くところまで行こう」って話に最終的になり。だからこの曲では絶対に7弦使わないで“テレキャスだけどテレキャスに聴こえない音づくり”を目指しました。聴者を騙したくもあり。根本的にローの倍音では7弦に勝てない所は勿論あるんですけどね。なのでそこを音づくりで補完して。

メタルコアのメジャーなギターサウンドメイクっていうのはチューブスクリーマー等を掛けてレンジを絞ってちょっと重心コントロールしつつ、モリッとしたブリッジミュートの倍音感を出したりするんですけど、テレキャスのシングルコイルに合わせて、トーンを調整して、ブリッジミュートはルート音と倍音保つことに注意してプレイして。ベーストラックは2オクターブ下も一緒に鳴らしたりすることもして。全体像は音を意図的に少し曇らせてG#の7弦に聴こえるように……みたいな。難しかったですがヘヴィさを出す上で「マジでチューニングなんて関係ねぇ!」っていうのを強調したかったんです。

 

 

Яyo : そこまで考えて作れている時点で、脳死してただチューニングを下げているだけのヘヴィミュージックもどきとは土俵が違うよね。

 

克哉 : いかに本質的な事を大切にするかですよね。どんな定義も大元は前衛的な姿勢からスタートするものだと思っているので。

 

 

Яyo : 昔と違って、ヘヴィミュージックもかなり多様化してきているからどれだけ考えて作ってるかどうかが結果として顕著に音に現れるよね。どれだけ音を下げても頭が悪い、何も考えていない音楽は結果的に全然ヘヴィじゃない。

 

克哉 : 無意味な変則ダウンチューニングもよくいる。「それならピッチシフターでそのセクションだけ落とせばいいじゃん。」って思う。

 

Яyo  :それめっちゃわかる!

 

一同 : (笑)。

 

克哉 : だからこそ僕は有意義にかつ自然にレンジを広く取りたくて、かつその変態チューニングじゃないと弾けないフレーズを作る為に、意味のあるチューニングを選んでいて。例えば6弦がドロップチューニングで、7弦が更に下がっているチューニングだったりするんですけど、あれによって行きたいロー部分に普通じゃ無理な速度でワープしやすかったり、ルートの移動だけでもそのチューニングじゃないと出来ないものにしたり。耳コピをしづらくしたりとか色んなことをしてるんですよね。ただ低い音出したいだけだったらペグ回すだけでいい。誰でも出来るんで。如何にあげてようが下げてようが、チューニングに対してどこまで頭を使って思慮深く取り組んでいるかなんですよね。

 

Яyo : 音像的な意味での話だけで言えばレギュラーでも"ヘヴィ"な音は出せるし。コアな世界に直結している音楽だからこそ良くも悪くも、何となく"それっぽい事"をしていれば許されがちな風潮があるように思うけど、内容の濃さが音像に伴っていないと結局の所全くダメだね。

 

-改めて、ヘヴィミュージックの再定義、みたいなものを感じました。さて、今回新レーベル『Wolves anchor DC』が立ち上がり、Яyoさんがレーベルヘッドとなるとお伺いしました。こちらのレーベル設立の経緯を教えてください。

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