同人音楽の代表的なコンテンツである「東方アレンジ」。サークルの規模問わず、オリジナル音楽に転身し、商業音楽へ進出したサークルも少なくないため、「東方アレンジは商業音楽への入口」と言われることもある。
しかし一方で、商業音楽方面でも活躍しながら、東方アレンジ界隈で活動を続けるサークルがいることも事実だ。
このコラムでは前回に引き続き、「東方アレンジ」をテーマに、石鹸屋、Cool&Create、Alstroemeria Records、豚乙女の4サークルにフォーカスし、各サークルのこれまでの変遷と、現在の活動について紹介する。
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文・編集 : 天舞音 叫子( https://twitter.com/Kyoko_Amanen )
【石鹸屋】
石鹸屋は2005年頃より活動するロック系東方アレンジサークルの代表格だ。その楽曲スタイルは、80 – 90年代の洋楽・邦楽ロックから影響を受けたと思われるものが多く、世代問わず、多くのリスナーの心をつかんできた。
オリジナル楽曲の制作も活発に行っており、2019年には3rdアルバム『For Child』を発表。全国ワンマンツアー「SEKKENYA LIVE DOJO 2019 ”For Child”」を敢行した。
2020年3月には、第二弾となる東方アレンジベストアルバム『石鹸屋の詰め合わせ 〜東方BEST ALBUM 2005-2014 vol.2〜』を発表。聴きやすくノリやすいロック調の楽曲から、バラード調のものまでを幅広く収録しているので、東方アレンジ初心者にもオススメできるアルバムの一つだ。
石鹸屋の公式YouTubeチャンネルでは、楽曲MVが少ない代わりに、ライブ映像を多く公開している。
東方アレンジ界隈には、石鹸屋のようにライブを積極的に行っているアクティブなサークルも少なくない。
興味のある人はチェックしてみてもいいだろう。
【Cool&Create】
続いて、東方アレンジを代表するボーカリスト「ビートまりお」主催の東方アレンジサークル「Cool&Create」を紹介する。
代表曲には「Help me, ERINNNNNN!!」や「ナイト・オブ・ナイツ」など、ニコニコ動画などでもかなり人気を博した楽曲が多い。
同サークルでは、オリジナル楽曲も多く発表している。中でも、ビートまりお氏の実母「ビートまりお母」が歌唱したことで、地上波で取り上げられるほど話題になった「林檎華憐歌」は記憶に新しい。
元々は2011年に頒布された『スペシャル俺たち!!!!』というアルバムに収録されていた楽曲だったが、故郷や家族への想いが秘められた歌詞と、ビートまりお母のボーカルがマッチしていたことから、ファンの間ではビートまりお母のテーマとして挙げられることも少なくない。
前回のコラムにて紹介したIOSYS(イオシス)や、本記事で紹介している石鹸屋、豚乙女、Alstroemeria Recordsなどのサークルとも関わりがあり、2018年には大手14サークルをゲストに招き「Help me, ERINNNNNN!!」のアレンジカバーアルバム『Help me, ERINNNNNN!! LOVE( ゚∀゚)o彡゜』を頒布した。
2019年には、音ゲーに楽曲提供を行っている「モリモリあつし」や「かめりあ」などをゲストに招いた「ナイト・オブ・ナイツ」のアレンジカバーアルバム『オールナイト・オブ・ナイツ ルナティック』を頒布。
その影響力の高さから、東方アレンジ界隈のみならず、同人音楽界の中核を担う存在とも言えるだろう。
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