GYZE JAPAN TOUR“Before Winter Comes”2017.11.09 @clubasia ライブレポート

取材・文 / 鹿野 貴弘  編集 / 宮久保 仁貴 / 写真 / Yuji Honda

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今年3月に3rdアルバム『NORTHERN HELL SONG』をUNIVERSAL Music Japan/Virgin Musicよりリリース、同年フィンランドのBATTLE BEASTと共にEU&UK36カ所ツアーも無事盛況に終え、日本の若手ヘヴィメタルシーンのトップを走り続けている北海道出身のGYZE。

2017年11月9日、ゲストにSerenity In Murderを迎え、彼らの日本における秋期ツアー”Before Winter Comes”のファイナルシリーズがclubasiaにて開催された。

今回はSNSを中心に、事前に3rd album『NORTHERN HELL SONG』の完全再現をするというアナウンスがなされており、ライブ本番は俄然熱いものになることは間違いなかった。いざ当日を迎え、季節的には冬も近くなっていたが、オーディエンスの興奮が溢れ出ているのか、ライブが始まる前から、場内はまるで灼熱のごとくヒートアップしていた。盟友Serenity In Murderを迎え、正に国内の若手ヘヴィメタルバンド2大巨頭が凌ぎを削る一夜となった。

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【Serenity In Murder】

本日の先手は東京のシンフォニックデスメタルの雄、Serenity In Murderからだ。

開演時刻になり、会場が暗転すると、荘厳なストリングスの音色を使ったオープニングSEが流れ、メンバーが登場した。彼らの最新作である『THE ECLIPSE』より、キラーチューンの「A Torch For Avengers」でライブの幕を開けた。

「まだまだこんなもんじゃねぇだろエイジア!」と、紅一点Emi(Vo)が序盤から観客を煽りまくる中、雄大さと突進力を併せ持つシンフォニックデスメタルで、彼らは確実にclubasiaのフロアを掌握していく。

基本的には豪華絢爛なシンフォニックサウンドで攻めつつも、要所要所でメロディックデスメタルならではの攻撃的なギターリフや、Freddy(Gt)とRyuji(Gt)の耳を引くツインギターのハモりを目立たせたりと、”生”のメタルサウンドの旨みを損なわずに成立させていた。「Hybrid Evolution」ではギター陣の慟哭のツインリードが光りつつ、その裏で、Allen(Dr)のスピーディーかつ重みを持ったドラミングがサウンドの暴虐性を際立たせていた。

MCでは、Emiから、来年2月に彼ら主催のフェス「RedruM Fest」の告知を行い、海外からHatesphereとMors Principium Estを招聘することをアナウンスした。更にFreddyが加えて、「俺たちは日本のメタルバンドとして誇りを持って進んでいきたい。」と宣言した。コンスタントに海外のバンドを招聘し、より、高いレベルで戦っている彼らだからこそ言える、説得力のある素晴らしい活動姿勢に違いない。

 

ラストは、イントロから日本情緒を感じさせる美しい旋律が印象的な「Land Of The Rising Sun」でオーディエンスを更に沸かせ、ライブの幕を閉じた。

-Set List-

  1. A Torch For Avengers
  2. The Revelation
  3. Irle Of The Dead
  4. Hybrid Evolution
  5. Noticed This is The Betrayal
  6. Dancing Flames
  7. Await Me Your Oath
  8. Dreamfall
  9. Land Of The Rising Sun

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【GYZE】

Serenity In Murderの出番が終わると、ステージは暗幕に覆われ、転換中は黒いベールに包まれた。出番直前、暗幕が開くと、そこにはバンドロゴを巨大に写したバックドロップが現れた。

否応なしに期待が高まる中、暗転しメンバーが登場した。アルバムの完全再現ということで、1曲目から始まるのだろうなと思っていると、なんと一曲目は1stアルバム『Fascinating Violence』から「Last Insanity」がプレイされた。

鬼気迫るRyoji(Gt)のギタープレイは、正確無比でありつつ、感情の込もった非常にエモーショナルなものであり、オーディエンスの琴線を刺激するものだった。これには驚いたファンも多かったと思う。その後、Ryojiが「Calp your hands !」とオーディエンスを煽り、アグレッシブな疾走曲「Trash My Enemy」が続けてプレイされた。

MCでは、Aruta(Ba)が、「アルバム完全再現だから、1曲目から来ると思っただろ!」と話した。次曲から続く完全再現セトリに向けての準備運動をして欲しかったという思惑だったらしい。個人的にこういう意表を突いてくるセトリの組み方はとても面白いと感じた。

さて、準備運動も終わり、そこからは正真正銘の『Northern Hell Song』完全再現、先ずは極寒の大海を渡っていくような勇壮なイントロが最高に熱い「Pirates Of Upas」から幕を開けた。長髪を揺らしギターをかき鳴らしながら叫び歌うRyojiの姿は、とても神秘的で美しさを覚えるような佇まいをしていた。

更に、Arutaとのシャウトコーラスのコンビネーションで巧みに構築されていくボーカルライン、そしてRyojiと実の兄弟であるShuji(Dr)との血で結ばれたアンサンブルは正に鋼鉄の強度を誇るものと言っても過言ではないだろう。

GYZEのサウンドからは、確実に北欧のメロディックデスメタルからの影響を感じるのだが、それに日本的なメロディセンスを加えて昇華し、独自のスタイルとしているように見受けられる。更に特筆すべきなのは、曲中にほぼ100%の確率で流麗でテクニカル、尚且つ印象的なギターソロパートが入っていることであり、それを歌いながら一人二役でこなすRyojiの技術力の高さには驚かされるばかりだ。

セットリストも後半に差し掛かるかというところで、インスト曲「Mayoi」がプレイされた。高音弦チョーキングを駆使した、泣きに泣くギターソロは今回のライブのハイライトと言って差し支えない、素晴らしい演奏であった。その後、3rdアルバム『Northern Hell Song』のリードトラックの「The Bloodthirsty Prince」を披露した。

その後、ソロパートでハンガリー舞曲第5番をフィーチャーした「Kamuy」 と続き、「Northern Hell Song」でバンドもオーディエンスも大合唱し、本編が締められた。

アルバムの完全再現を終え、アンコールを待ちわびる中、颯爽とRyojiが単独で登場した。彼の代名詞である華麗なギターソロを披露した。これは本編終了直後に判明した事だが、ドラムの機材トラブルをカバーする為の急なものだったとの事。ただ、Ryojiのギターソロを聞きたい熱心なファンも多いのは事実であり、オーディエンスの熱い視線がRyojiの指に釘付けになっていた。

その後、ドラムの機材トラブルをリカバーしている間、RyujiとArutaのフロント二人でのMCが続いていた。ひょんなことからRyoji氏が、自らステージ上でバク転を披露し、演奏以外の面でも、何かとファンを退屈させない、彼の演者としての心意気を垣間見た。

その後はトラブルも解消され、満を持してアンコールに突入した。名盤「Fascinating Violence」より、威風堂々としたイントロが特徴的な「Final Revenge」がプレイされた。そして、畳みかけるように同アルバムから、彼らの代表曲「Desire」が投下されると、フロアに当日中一番大きなサークルピットが出現し、この日一番の盛り上がりを見せ、ライブは幕を閉じた。

以上、GYZE JAPAN TOUR“Before Winter Comes”ツアーファイナル東京公演の模様をお届けした。今回、Serenity In MurderのFreddy(Gt)が語っていた「日本のバンドとして誇りを持って…」というMCがとても印象的だった。所謂「外タレコンプレックス」が根強く残る日本のヘヴィメタルシーンであるが、本日の2バンドのライブを見ても、なお海外のバンドが優れていると言えるだろうか?是非とも国内のヘヴィメタルシーンに興味の無いリスナーにもこの2バンド、そして日本の優れたアンダーグラウンドのシーンに目を向けてほしい、そう痛感したライブであった。

-Set List-

1.Last Insanity

2.Trash My Enemy

3,Pirates Of Upas

4.Horkew

5.Dead Bone Blue

6.Black Shumari

7.Perryi rain dragon

8.Mayoi

9.The Bloodthirsty Prince

10.Kamuy

11.Brown Trout

12.Frozen Dictator

13.Northern Hell Song

En1.Final Revenge

En2.Desire