YM (読み方 :わいえむ)
HP: https://ympopopo.wixsite.com/ym-yoshiya
YouTube: https://www.youtube.com/user/YMyoshiya
ニコニコ動画: https://www.nicovideo.jp/user/4027531
Twitter : https://twitter.com/YM_yoshiya
通販: https://ym-yoshiya.booth.pm/
ボカロPとしての活動を始めてから10年という節目を迎えたYM。現在ではロックバンドRubberJohnnyではベーシストとして、またある時はコンポーザー、イラストレーターとしても活躍をしている。
主にGUMIを使用し、ニュー・ウェイヴやマス・ロックなどのギターロックにダンスビートを取り入れた音楽性で支持を受け、2010年に公開した「ハンコウセイメイ」で初めて殿堂入りを果たし、ボカロPとしての地位を確立する。その後は2012年に100万再生超えの人気曲「十面相」を収録したメジャー1stアルバム『センセーショナル大革命』のリリース。現在では2枚のメジャーフルアルバムと3枚のボカロアルバムをリリースしている。
楽曲のみならず曲に合わせたマッシュアップや手描きMAD動画も人気が高く、最近ではVTuberのモデリングや自作のMVでは自身で手がけたイラストやLive2Dを導入するなどクリエイターとしても手腕をふるっている。
このようにボカロPでの活動を足がかりに次々とマルチな才能を発揮し、活躍する様は現代的であるといえるだろう。今回はそんなYMに迫るべくメールインタビューを敢行した。お話を伺うなかで様々な分野への造詣の深さを感じることができ、多方面での活躍にも納得である。彼の10年間とこれからの活動、音楽やイラスト、ボカロPなどなどたくさんのルーツを語ったロングインタビュー、ここに公開!
文 / YM 編集 / 滝田優樹(@takita_funky)
-YMさんこんにちは。TOPPA!!初登場ですので、まずは自己紹介をお願いします。
YM :はじめまして! YMと申します。秋田生まれ秋田育ちの田舎系ボカロPです。
小さい頃からひとりで絵を描いたり砂利から水晶みたいな綺麗な石を探したりするのが好きなおとなしい子供でした。人並みには音楽を聴いていたと思うんですが、気に入った曲ばかり繰り返し聴いてアーティスト側にはあまり興味を持たないタイプなので全然詳しくはなかったです。
–なるほど。では音楽を始めたきっかけは何だったんですか?
YM :音楽を始めたきっかけは17歳の時に中学生時代の同級生のユウスケくんが一緒にバンドをやらないかと誘ってくれたからで、当初はずっとバンド活動をしていました。
ボカロPになったのはバンドを休止してから1年くらい経った22歳の頃で、ニコニコ動画が好きでボカロ曲をいろいろ聴いていたのと同時に自身でも好きな曲を組み合わせたマッシュアップや手描きMAD動画を投稿していて、そうしていくうちに一人でも映像や音楽を作れることが解り自身もボカロPとしてオリジナル曲やそれに合わせたMVを作ってみたいと思ったのが始まりです。
–ありがとうございます。ボカロP以外にも様々な活動をされているYMさんですが、バンドRubberJohnnyについてや、ベーシスト、コンポーザーとしての活動についてもお聞かせください。
YM :自己紹介でもちらっとお話しましたが、高校2年生の時に同級生だったユウスケくんが一緒にバンドをやらないかと誘ってくれたのがそもそもの僕が音楽を始めたきっかけで。当初はメンバーが二人だけで彼はドラマーだったのですが、僕は楽器が未経験でした。それでパートを決める際に「お前にギターは難しいからベースかボーカルがいいんじゃない?」と言われ、元々カラオケで歌ったりするのは好きなのもあり、それに対する反骨精神からベースボーカルをやることに決めました。
–まさかの両方だったんですね(笑)。その後はいかがだったんですか?
YM :このバンドは2年ほど活動したのちに解散し、その後1年ほどはDrのユウスケくんと離れ各々別のバンドで活動していたんですが、紆余曲折あって「また一緒にやろうよ」となり、そのとき身近に居たユウスケくんの実弟であるナオヤにギターを始めてもらって、2006年6月に組んだバンドがRubberJohnnyです。
–かなりドラマチックな展開ですね。ライブ活動などは盛んに行われていたんでしょうか?
YM :当時は全員地元の秋田に住んでいたので、そこを拠点にライブハウスでライブを重ね、僕が車の免許を取得した頃からは隣県にもライブをしに行ってました。いろいろあって2008年末に活動休止をしましたが、僕がボカロPになった後の2012年に活動を再開し、その頃には遠方でもボカロきっかけで僕のことを知ってくれている方がいらっしゃったので都内や関西にもライブをしに行くようになりました。
現在はメンバー全員が上京したので拠点は都内なんですが、これまたいろいろあってメンバーのナオヤはbivouacというバンドのギタリストとして活動し、サポートギタリストとしてユウスケくんが所属しているマ肉ことMarmalade butcherのJ氏とミナモスピカのヘリを迎え4人体制で活動しています。
–かなりこと細かなバンドの歩みを訊くことができてよかったです。では、続いてべーシストとしての活動についてお聞かせください。
YM :僕のことをベーシストとして認識してくれている方が結構多いんですが、僕自身はベーシストという自覚はあまりなかったんです。ベースを始めた時点で歌いながら弾くのが当たり前の感覚だったので、フレーズを考える時も歌いながら弾けることを前提に考えてしまうし、そもそも複雑なフレーズや機材にもあまり興味がなく、そういった点からも「ベーシストらしくないよな……」と思ってしまって。
最近は少し考えが変わってきていて、ひとりで音楽を作るようになって各パートを意識するようになり、ベースのフレーズも自由に考えて演奏出来るようになったので「ベーシストのヒヨコくらいにはなれたかな?」と思うようになりましたね。
–シンプルかつ思いのまま弾くYMさんのベースはかなり魅力的だと思いますね。コンポーザーとしてはいかがでしょうか?
YM :バンドを始めた当初から音楽を作ることには積極的でした。楽器を始めて最初にバンドでコピーしたのがACIDMANの赤橙という曲で、それと同時期にはもうオリジナルの曲も作り始めていたので。“音楽を作る”ということに対して初めから抵抗がなくとにかく楽しかったので、バンド活動休止後にひとりになっても音楽を作りたくなるのは必然でしたね。ボカロPとして活動を始めてから1年くらいの間に運よく作品を評価してもらえるようになり、その頃にレコード会社の専属作家として誘っていただけたので、それから作曲のお仕事もするようになりました。現在はフリーなので作曲のお仕事お待ちしております!
余談ですがRubberJohnnyの他にもボカロPの梨本ういさんとユウスケくんと僕の三人で“モノノケノノモ”(https://s.maho.jp/homepage/71c867c672a0f12f/)というバンドも組んでおり、5ヶ月に1回くらいのペースでライブしています。
–ありがとうございます。モノノケノノモの活動も要注目ですね! 話は変わりYMさんの楽曲はニュー・ウェイヴやマス・ロックを中心としたギター・サウンドとダンスビートとの融合が爽快な印象を感じます。そんなYMさんの音楽ルーツや遍歴をお聞かせください。
YM :UKロックの感じとかマス的な部分はバンドメンバーから受けた影響が大きくて、元々僕が好きだったのはダンスビートでした。
音ゲーが好きで中学生くらいの頃から音楽ゲームのbeatmania(ビートマニア)やDance Dance Revolution(ダンスダンスレボリューション)をプレイし始め、ゲームのサウンドトラックやダンスマニアシリーズのオムニバスCDを集めて聴き込んでいました。初めて好きな音楽を認識したのもゲームが最初で、ロックマンXシリーズのBGMがとにかく好きで父親の古いラジカセの外部録音マイクでテレビから流れる音をテープに収めてひたすら聴く子供でした。
J-POPで初めて「これ好きだ!」と感じたのはポルノグラフィティの「アポロ」という曲で、当時小学生高学年くらいだったかな? とにかくメロディに惹かれたので彼らの楽曲はどれも好きになりました。中学生以降は宇多田ヒカルや椎名林檎が特に好きで聴いていましたね。
–まさかゲーム音楽からダンスビートの影響を受けていたとは意外でした。
YM :バンドサウンドに興味を持ち始めたのは自身がバンドを始めてからで、好きなアーティストを自ら探すというよりはバンドメンバーのユウスケくんやナオヤが聴いている音楽から好きなものを吸収していた感じでした。自分から見つけた中で影響が大きかったのはACIDMANやTHE BACK HORN、クラッシュ・イン・アントワープで、教えてもらった中では9mm Parabellum Bulletとサカナクション、凛として時雨ですね。他にもたくさん挙げたいくらいですが、特に影響を受けたのはこのあたりです。
–上記のバンドを聞いて腑に落ちました。また、現在気になっている音楽はありますか?
YM :本当にごくごく最近で言えば、Futere Bassに興味があります。元々ダンスビートが好きなのもあって何となく“良いな”程度には認識していたんですが、YouTubeでたまたまPSYQUIさんというアーティストの「ヒステリックナイトガール feat. Such」という楽曲に巡り逢って、とにかくメロディもサウンドもコードの進行もかっこよすぎて近年でいちばんハマりました。彼のことが気になりインタビュー記事を探して読んでみて、その考え方や辿ってきた道も興味深く、僕の中でFutere Bassの存在感が一気に増した感じです。
–シンガー系のVTuberが活躍しはじめてから、改めてシーンの中でもFutere Bassが再評価されている気がしますね。続いてボカロPとしての活動では殿堂入りや100万回再生、メジャーデビューなど経験されているYMさんですが、ボカロPとして活動するなかで意識していることは何ですか? 自らセルフカバーで歌われていることも気になります。
YM :世間の流行に疎く音楽の知見も浅いのであまり難しいことは考えていません。とにかく自分の中にある”好き”とか”かっこいい”に素直であるよう心がけています。
ただ、きちんと計画を立てて制作やプロモーションをするべきだと頭では分かっているのに毎度行き当たりばったりになってしまい、もう何年も何年も「直さなきゃ…」と思いながら現在に至ります(笑)。
セルフカバーについては、ボカロPとして活動する以前からバンドでボーカルを担当していたこともありボカロ調声をする際も「自分ならどう歌うか?」をイメージするので、やはり歌ってみたくなるんですよね。ボカロP活動の初期からセルフカバーはしているんですが、原曲のボカロ版と比べると反応は少ないものの刺さる人にはえらく刺さるらしく、そんな人たちからの反応がとても心強かったです。昨年発表した『不完全バラエティカ』は初のセルフカバーアルバムなんですが、喜んでくれる人たちがいるんだ!という確信がなければ制作に踏み切れなかったと思うので、いつも勇気をくれるみなさんに感謝です…!
–そういう面ではファンの方たちの存在は大きいですね。では、楽曲のことについても訊いていきたいと思います。先日は昨年リリースの『カンセイコンゴウ論』に収録されている「キャンディポップじゃ笑わない / GUMI」がYouTubeとニコニコ動画にて公開されましたね。こちらもこれまでの作品同様に作詞と作曲と絵と動画はYMさんが手がけられていますが、こちらの曲のタイトルの由来、聴きどころ、見どころをお聞かせください。
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