Sigh インタビュー

Sigh インタビュー


Sigh(読み方 : サイ)
メンバー : 川嶋未来(Vo,Fl,Key) / Dr.Mikannibal(Vo/Sax) / 藤並聡(Ba/Per) / 大島雄一(Gt) / 原島淳一(Dr)
Twitter : http://twitter.com/sighjapan
Facebook : https://www.facebook.com/pages/SIGH-official-page/227550909275

Sighは1990年始動のブラックメタル・アヴァンギャルドメタルバンド。早稲田大学のへヴィメタル軽音サークル「Music Circle Heaven」に所属していた川嶋未来等のメンバーを中心に結成され、現在に至るまで活動を続けている。活動初期より、エクストリームメタルにシンセサイザーを導入した作風で独自の世界観を打ち出しており、国内外のブラックメタルシーンの先駆けとなった存在である事は間違いない。

今年活動28周年を迎えた彼らだが、2018年11月16日に約3年ぶりの新作フルアルバム『Heir to despair』をリリースする。これまでの大仰でシアトリカルな作品群からは一転、本作はエクストリームメタルに民族楽器や日本語詞、数々の歌唱スタイルが重なり、実験的要素が大きく取り入れられている。本作アートワーク内にも描かれている通り、「絶望を受け継ぐもの」を意味する本作だが、果たしてどの様な思いで制作が行われたのだろうか。今回、リーダーの川嶋未来氏に対し、バンドの軌跡から『Heir to despair』にまつわる逸話等を聞くべく、単独インタビューを実施した。

取材・文・編集 / 宮久保 仁貴


 

-TOPPA!! 初登場という事で、改めてSighの歴史を教えて下さい。

 

川嶋未来 : 元々は早稲田大学のメタルサークルMusic Circle Heavenの友人同士で組んだコピーバンドから活動がスタートしたんですよ。当時はDESTRUCTIONや DEATH、WHIPLASHなどのスラッシュメタルのカバーをしていて。それが1989年くらいですね。そこから、1990年に初めてSighとしてのデモを作り、本格的に活動をスタートしました。Sighとしての本当の結成は1990年なんですけど、箔をつけるために、最初1989年始動という事にしていたんです。活動が長い方がバンドとして本格的に見えるんじゃないかと思って。

 

-そのような逸話があったんですね!活動される中で、メンバー変遷もありましたが、現体制に至るまでのきっかけを教えて下さい。

 

川嶋未来 : まず、僕を含めて3人で1990年から2003年まで3人で活動していました。2003年だと……『Imaginary Sonicscape』まで出していたんじゃないかな。2003年当時、3人でライヴを行うのが人力的に難しく感じたんです。僕もベース弾きながら歌うのもしんどいし、かつ音源ではキーボードも入っているので、ライヴをやる上で限界を感じたんです。それで原島淳一がDrで加入して、Drだった藤並聡がBaに転向して。彼はマルチプレイヤーで、元々最初Gtだったんです。そこからDrに回り、Baに転換したおかげで、僕はヴォーカルをやりながら、キーボードを弾けるようになった。その後、2007年にDr.Mikannibal(Vo/Sax)が加入しました。Dr.Mikannibalとは、2007年にリリースした『Hangman’s Hymn』で中ジャケットのモデルをやってくれる人を探している中で出会って。

 

-日本盤はSOUNDHOLICからリリースされていましたよね。

 

川嶋未来 : ええ、そうです。あれからもう10年以上とは、時が経つのはあっという間ですね。話を戻すと、リリース前年の2006年に彼女と知り合いまして。彼女自身デスメタルをやっているということでデモテープをくれたのですが、まあ正直全然期待せずに聴いてみたら凄いVoで。また、彼女自身英語が喋れてサックスも吹けるというので、Sighに入らないかと声をかけました。その後、ギターの石川慎一をクビにして、2014年に大島雄一(Gt)が加入、今の5人体制に至ります。

 

-ありがとうございます。Sighの音楽性は根底はブラックメタルになりますが、年を経るごとに、実験音楽/アヴァンギャルド要素的要素が盛り込まれているかと感じます。これについて深掘りすべく、メインコンポーザーの川嶋様が今まで聴かれたルーツとなる音楽について教えて下さい。

 

川嶋未来 : 僕のバックグラウンドは、母親がクラシックピアノの先生を務めてまして、4歳から22歳までピアノを習っていました。当時、進路としてプロのピアニストになる道もない事はなかったんですが、10代の頃に出会ったヘヴィメタル、特にスラッシュメタルに出会った事で大きく道を踏み外したというか。なので、僕の中の原点はヘヴィメタルとクラシックですね。

キーボードを取り入れたとういのも、決して新しいことをやろうということでもなく、単に自分のメインの楽器がピアノだったからということだけでした。曲を書くにしても、ピアノやキーボードが一番楽だったし。で、そのままキーボードも入れてしまえ、みたいな感じで。それがたまたま1990年初頭に出てきたブラックメタルと方向性が合っていたんでしょうね。狙ってやったというよりは……たまたま僕のバックグラウンドと当時のブラックメタルのスタンスが合致していたんだと思います。

僕自身ホラー映画が好きだったので、ホラー映画的な要素を取り入れたいと思ったのですが、「怖い曲の書き方」みたいな本なんて存在しないわけですよ。どうすれば怖い曲を書けるのかを考えていくうちに、現代音楽がホラー映画によく使われていることに気付いたんです。例えば『エクソシスト』とか。それで、「怖い音楽を作るのに現代音楽は非常に有用なんじゃないか?」と思ったんですよ。そこから、現代音楽の理論を学んで、怖い演出を作ろうとしたのですが、現代音楽って、伝統的なクラシックの理論の否定という部分が大きいので、古典の理論をわかっていないと、まったく訳がわからないんです。それで一から古典の和声法や対位法を勉強して。それから、FRANK ZAPPAやフリージャズ、JOHN ZORNであったり……各ジャンルの先進的な存在を聴きあさりました。それでだんだんSighの音楽にもそういう要素が取り込まれていきました。

 

-諸々の要素が重なった結果、オリジナリティが生まれているのですね。早速ですが、この度は新作アルバム『Heir to despair』リリースおめでとうございます!今回のリリースのきっかけを教えて下さい。

 


【リリース情報】

【タイトル名】
『Heir to despair』

【発売日】
発売中

【収録曲】
1.Aletheia
2.Homo Homini Lupus
3.Hunters Not Horned
4.In Memories Delusional
5.Heresy I: Oblivium
6.Heresy II: Acosmism
7.Heresy III: Sub Species Aeternitatis
8.Hands Of The String Puller
9.Heir To Despair


 

川嶋未来 : 本作の話をする前に……そもそも前作『Graveward』の出来が気に入ってなくて……色々あったアルバムだったんですよ。制作途中にGtが交代したこともあったり、ちょっと失敗したかなという部分が個人的に残った作品で。なので、前作が出た段階から、早々に新作に着手していたんです。ただ、この歳になると3年なんてあっという間ですよね。自然と制作が進んだら3年経っていた、ただそれだけです。『Graveward』もああいう内容にする気はなくて、本作みたいな60-70年的プログレ要素やシンセ要素強めでやろうと思っていたんです。ただ、前作は途中でシンフォニック要素を突き詰めていったら止まらなくなってしまい……ああいう作風になってしまい。今回は初志貫徹で行こうということで、クラシック要素は極力排除しました。

 

-本作は日本語訳すると、”絶望を受け継ぐもの”というタイトルになりますが、このタイトルをつけるに至った経緯を教えて下さい。

 

川嶋未来 : 実はあんまり深い意味も無くて。Sighの過去の作品名を見ればわかるように、頭文字が『Scenes from Hell』、『In Somniphobia』、『Graveward』そして今回の『Heir to Despair』と、Sighという文字がループする様になっているんですよ。だから今回は「H」で始まるという縛りの中で、色々考えていって。「Heir」と「despair」で韻踏んでるし、まあこれでいいんじゃないかと。今回はあんまり深く考えず、思いつきで進めた部分がありました。

テーマが絶望かというと……これもそうでもないです。どちらかと言うと、「狂気とはどういう事か?」をテーマに、この作品を作り上げました。ミシェル・フーコーが、「狂ってるか、狂ってないかの線引きは人間が作り出した事。」と言っていましたが、正にその通りだと思っています。露骨に狂ってる人間もいますが、誰しも多かれ少なかれ狂っている部分があると思っています。話が通じない人っているじゃないですか。例えば、「気持ち良い」という単語をとっても、「天気が気持ち良い」、「SEXが気持ち良い」では、意味が大分違うじゃないですか。それを我々は同じ言葉で表現している。人間は、事象を言語に変換する装置みたいなものを持っている。それが壊れている、というか、人とは違う変換方法の人も少なからずいる。そういう人とはいくら話し合ったところで話は通じないわけです。

 

-本作のジャケットからも、どこか「狂気」的な要素を感じました。

 

川嶋未来 : このジャケットは60-70年代の向精神薬や薬物の広告をイメージしたんですよ。当時の広告はダイレクトに狂っている人の様子を書いていて。

元々、一つすごく気に入っている広告画像があって、その製品の会社に「これをこのまま使えないですか?」と問い合わせをしたんですが、如何せん古すぎて権利者がわからず……一から描いてもらおうと、昔からSighのアートワークを担当してくれているドイツ在住のエリラン・カントールに頼みました。彼は僕が想像しているどんな世界観でも理解してくれていて、古い向精神薬の広告をいくつか送って、「こんな図案でやって欲しい」と伝えたら、あのアートワークを作ってくれました。

一見幸せそうな人が写っていますけど……狂気を感じますよね。見るからに狂っていると言うよりは、一見普通そうな人の中に隠れている狂気。花に水をあげているけれども、実はその花は枯れていたり、奥に見える部屋の様子は普通でなかったり。今だとよくSNSで「今日昼ご飯に〜食べました!」とか、いかに自分が幸せアピールする人がたくさんいるじゃないですか。それってやっぱり狂ってると思うんですよ。お前が昼飯に何を食ったかなんて、気にする人間がいるなんて本気で思っているのかと。本当に幸せな人はそんな事をする必要ないじゃないですか。これって、よっぽど狂っているか、不幸せだからこそやれると思うんですよね。あのジャケットもそれに通ずる物があると思っています。まあ誰しも狂ってる部分はあるということです。

 

-身近に感じられる狂気だからこそ、恐ろしさを感じます。さて、続いては川嶋様視点での本作の聴きどころを教えて下さい。

 

川嶋未来 : ずっとFacebookなどで言ってるんですけど……このアルバムを気に入る人が果たして本当にいるのかな?と思っているんですよ。「そういうプロモーションの仕方だろ」とか言われますけど、これは本心です。Sighの初期のアルバムを作っていた頃も、同じような感じでした。『Hail Horror Hail』なんて、「こんなアルバム許容する奴いないだろ……」なんて思いながら作ったものでした。ところが、そんな風にして作ったアルバムでも、高評価がついたりなんていうこともあり、『Heir to Despair』も、どのように受け止められるのか、全く想像が付かないです。僕以外のメンバーも一体なんだこれ?と思っているよう気もするし。ジャンル的にも飽和していて、音楽自体なかなか新しいもの出てきづらい世の中じゃないですか。評判なんて一切気にしないで、自分が好きな事をやればいいやと思って。

 

-川嶋様の思考が滲み出た作品となった訳ですね。音楽面を触れますと、本作からは、オリエンタルな民族楽器や発声要素がより濃く感じられました。これらの要素を取り入れられたきっかけを教えて下さい。

 

川嶋未来 : もともとインドとかトゥバの音楽に興味を持っていて、それらのスタイルの歌唱法や楽器を習ったりはしてたんですけどね。なかなか日本の音楽には興味を持てなくて。それが最近少しずつ変わってきました。僕らの世代って、子供の頃に「日本的なものはダサい!」とか、そういうイメージがあって。1970年代くらいの子供たちからしたら、演歌とか盆踊りとか……勘弁してください、という感じで。そんなこともあり、なかなか日本の伝統音楽に興味を持てなかったんです。今でこそ、演歌とか民謡を聴いて、「これ、良いな」と思える様になりましたけど。逆に言うと、僕が子供の頃は、「日本の音楽ってキツイな」と思えるくらいには、日本的な音楽が生活の中に根付いていたということなんだと思うんですよ。歌番組を見れば、ヒットしている演歌がいくらでもあったし、テレビドラマなんかを見ると、サラリーマンがみんなで民謡を歌ってるシーンが出てくる。今はそんな要素って全くなくなっちゃったじゃないですか。最近やっと演歌や浪花節、放浪芸なんかが面白いと思うようになり、いろいろと聴き漁りました。そういう部分が大きくこのアルバムに反映されていると思います。このアルバムは、非常に個人的な内容なんですよ。子供時代に見て感じた昭和の風景へのノスタルジーみたいな。なので、特にヨーロッパやアメリカのリスナーが、こういう雰囲気をどう捉えるのかがまったく想像がつかないです。

 

-付随する話で、本作は、より”唄う”パートが増えた様に思われます。こちらに関しては、何かきっかけがあったのでしょうか?

 

川嶋未来 : “唄う”パートと言うよりは、声のバリエーションが増やしたんです。元々Sighのほとんどのアルバムはシャウトばっかりでしたけど、今回は色々実験してみたくて。自分が出せる最低音から、ホイッスルボイスで最高音も出したり。まぁこれは半分遊びの要素が大きいですけど。出せる限りのバリエーションを突っ込んでみました。

 

-また、歌詞に日本語詞が増えましたよね。

 

川嶋未来 :メタルって、ヨーロッパやアメリカのバンドみたいな歌唱法を良しとする傾向があるじゃないですか。「日本人丸出し」というのが否定的な意味を持っていたり。だけど、日本丸出しの歌い方で何が悪いのかと。まあ最近はJPOPでも、日本丸出しの歌い方って無くなってきてしまいましたが。日本的な歌い方って、やはり日本語の方がやりやすいですし、日本語と英語って聴覚上も大きく違いますからね。日本語にすることで、過去のアルバムとは違った雰囲気が出来上がるのでは、という期待もありました

 

-なるほど。「Heresy Ⅰ~Ⅲ」では、より実験的な要素が感じられました。これらの曲を作った際の状況を教えて下さい。

 

川嶋未来 : 元々この手の実験的な曲は近年のSighのアルバムには少なからず入っていたんですが、3曲ともなると珍しいかもしれません。「Heresy I: Oblivium」のリミックスはDavid Harrow(TECHNOVA)にお願いしたんです。過去TECHNOVAがリリースした『Tantric Steps』という作品がサイケデリックなテクノの最高峰の一枚だと思っていて。また、『Gallows Gallery』の際にも1曲リミックスしてもらいました。今回も、僕が作った曲をダブ風にリミックスしてもらって。「Heresy II: Acosmism」「Heresy III: Sub Species Aeternitatis」も好き勝手にめちゃくちゃやりまして。これらの3曲が、狂気を音で表現する意味では、それらしい感じに仕上がったと思います。勿論、狂っている人がどういう音を聴いていたり、どういう風に世界が見えているかわからないですけど……完全な想像で、こんな風に感じているんだろうなと。

 

-ちなみに、今回のレコーディングはどのようなスタイルで行われたのでしょうか?民族楽器や倍音歌唱等で、所謂通常のメタルバンドとは異なった手法も取られたかと思いますが。

 

川嶋未来 : 基本的には、レコーディングはホームスタジオでやっています。いわゆるレコーディング・スタジオではドラムとベースだけ録りました。いつものパターンで、まずはホームスタジオで打ち込みのデモを作って、それを元にVo、Gt、Key、その他楽器パートを本当の声・楽器に入れ替えていく作業工程で進めています。

 

-ありがとうございます。このアルバムを手に取るリスナーに対して、どのような時にこの作品を聴いてもらいたいですか?

 

川嶋未来 : 本当に難しいですね……例えば、先行公開した「Homo Homini Lupus」に関して、Philip Anselmo (元PANTERA, DOWN, SUPERJOINT RITUAL)にゲスト参加してもらってはいますけど、これは全くこのアルバム代表する曲でもないし。

 

 

どちらかと言えば、今までとは一転変わって日本的な要素やフルート入れた実験色が強いアルバムなのですが、「Homo Homini Lupus」はフルートも入っていないし、日本的要素も無い。あの曲を良いと思ってアルバムを買ってくれた人には、ちょっと申し訳ない気もします。是非聴いてみて欲しいとか言える作品ではないので、何とも言えないのですが。

 

-お話は変わりますが、最近川嶋さんが聴いた中で感銘を受けたアーティストはいらっしゃいますか?

 

川嶋未来 : 今年だと……個人でライター業もやっているので、メタルの新譜をよく聴くんですが、VOIVODの新譜は良かったですね。ライヴだと、今年はVENOM IN.CやSTEVEN WILSON、MICHAEL SCHENKER FEST、RIOTあたりが良かったです。あと、ALCATRAZZ の『ライヴ・イン・ジャパン1984 -コンプリート・エディション』も良かった。演奏も結構ラフで、Voも雑なんですけど、当時の熱量が感じられるアツい作品でした。

 

-当時はYngwie Malmsteenが所属していた頃ですよね!続きまして、現在日本のメタルシーンでは、海外でのリリースやライヴ活動を行うインターナショナルなバンドも増えて来たと感じています。この事に関して、思う所を教えて下さい。

 

川嶋未来 : そもそもヘヴィメタルの世界に於いて、日本のシーンとか海外のシーンとか分ける思想がそもそも違うと思っていて。例が古いですが、CELTIC FROSTはスイスのバンドですけど、ドイツのレーベルと契約していたからといって、「CELTIC FROSTって、海外のレーベルと契約してるんだ。凄い!」なんていう捉え方をしている人なんて世界中で一人もいないでしょう?でも、日本のバンドが海外のレーベルと契約をしたら、逆輸入バンドだなんて言う。日本のバンドの海外活動は確実に増えていると思います。ネットの発展もあり、実力のあるバンドは絶対に見つけてもらえるし、健全な事だと思います。

 

-今後ブラックメタルシーンはどうなっていくと思いますか?

 

川嶋未来 : これは何とも言えないですね。ヘヴィメタル、ひいてはエクストリームメタルの急激な進化は、90年代半ばで終わっていて、その後はマイナーチェンジが起こっているだけだと思っています。例えば、80年代で言うと、1983年にSLAYERがデビューして、わずかその4年後の1987年にNAPALM DEATHがデビューしている訳です。物凄いスピードでの進化ですよね。2014年~2018年の間に、こんな変化があったかというと、やはり無いという結論にならざるをえない。そういう意味では、今後も大きい変化が無いんじゃないかな、と思います。もちろん面白いスタイルのバンドがたまに出てきたりはしますけど、1つのムーヴメントになるような大きな動きにはならない。あらゆる事、考えられるネタが出尽くしちゃったので、よっぽどの天才が出てこない限り、あんまり状況変わらないと思います。ブラックメタルが消滅する事は無いだろうけど、今後飛躍的進化はない気がします。

 

-なるほど。続いては今後の目標を教えて下さい。

 

川嶋未来 : Sighは元々目標も志が無い所から始まったバンドなんです。アルバムを出せるとも思っていなかった。当時、そもそも日本のエクストリームメタルバンドで、フルアルバム出しているバンドなんていなかったですし。今回で11枚目ですけど、こんなにたくさんのリリースを出来るとも思っていなかったです。当時は、VENOMやSLAYERですらみんな20代ですよ。だから、30過ぎてまだSighをやってるとも思わなかった。海外のフェスで、何千人もの前でライヴをやるなんて、想像もしていなかった。そういった意味で、Sighでの活動は十分目標を果たしたのかもしれません。もう一段階ブレイクしようと思ったら、ツアーをしまくるなんていうことも必要になってくるだろうし。とてもそんなことはできないので、これ以上の活動も無いと思っています。「Graveward」を作った時は、早く次作を作りたい気持ちはありましたけど、基本アルバムを作ったあとは、アイデアも気力も使い果たしてるんですよ。現在もそんな感じです。『Heir to despair』がバンド最後の1枚になっても、それはそれで良いと思っています。

個人的にライナーノーツや単行本書いたりしていますが、これも、音楽ライターをやっているなんて、想像もしていませんでした。元々子供時代は作文の宿題が大嫌いで、いつも提出しないで逃げていたような有様でしたから、音楽ライターになりたいという夢すら持っていませんでした。まあ、私の文章が読みたいという人がいてくれて、それに応えられるだけのものを書ける自信があって、あるいはSighの音楽を聴きたいという人がいてくれて、お金を出してくれるレーベルがあって、それに応えられるだけのアイデアがある間は、活動を続けられればとは思いますが。

 

-ありがとうございます。それでは最後に、TOPPA!!読者に対してメッセージをどうぞ。

 

川嶋未来 : 音楽を筆頭に面白い物事は世の中に溢れていると思うんですが、テレビであるとか、自然に目に入るものからは、なかなか本当に面白いものには出会えないと思うんですよ。もし音楽というものが好きなのであれば、クラシックであれ、ロックであれ、視野を広げれば面白いものは沢山あります。若いうちに勉強して、なるべく多くの良い音楽に接して、あらゆる本を読んで、色んな事を経験・吸収出来れば人生面白いと思います。

 

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