猫曼珠-nekomanju- インタビュー

猫曼珠-nekomanju- インタビュー

Cazqui : ここは是非FUMIYAさんから。

 

FUMIYA : いやもう、居心地がよくないというか、どうしても世界が狭いんですよね。すぐ知り合いにぶつかるとかそういうことではなく、ニッチなジャンルという事もあるかもしれないですけど……純粋に音楽としての良し悪しではなく、例えば「メタル」というカテゴライズの中でしか良いものを得ようとしないというか。ちょっとそこから外れたら「いや、それはメタルじゃないから。」とか、僕は16年間そういう界隈でやってきましたけど、ずっとその状況から変わってないな……と感じていますね。

良いものは良いというか、普段からポップとかクラシックとか、ジャンル関係無しに聴いているんですが、その自分の感覚とメタルシーンの特性とで解離しているなぁと感じるようになりました。ここ数年で僕はGALNERYUSに入ったりして、わりと日本のメタルの中でトップ的な所で活動も行なっているんですが、もっと本来僕が思っている思想に近いものもやらないと僕自身にも、そしてメタルシーンにも未来が無いな、と強く感じていて。そういう意味で、猫曼珠-nekomanju-を始めたのはタイミングが良かったんですよね。でも、メタルという音楽は好きだから、そこはちゃんと救い出したいというか、猫曼珠-nekomanju-をやることによってメタルシーン以外の人にも僕らのルーツにあるメタル音楽の存在を知ってもらいたいなと、そういう思いは日々強くなっていますね。

 

Cazqui : 伝統芸能と化してきている印象はあります。水戸黄門が出てきたら次は印籠だろうというような様式美の世界。印籠ではなく桜吹雪を出したら、すぐさまチャンネルを変えられてしまう手厳しさは感じますね。いや、僕もそういう”お決まり”は好きなので、猫曼珠にもそういった印籠的要素っていうのは密かに取り入れてたりもするんですけど、今2019年だし、例えば黄門様の印籠がスマホで、液晶画面だったりしてもいいんじゃないか?みたいに、ヒネるようにはしてます。そんなの水戸黄門じゃない!って憤慨してしまう方は昔の水戸黄門の再放送をご覧いただければきっと大丈夫です。

 

一同 : (笑)。

 

Cazqui : 例えばメタルだと、昔スラッシュメタルが出てきた時にもただの騒音とか言われてたみたいじゃないですか。それが今ではトゥルーメタル扱いされてますよね。深く爪痕を残すものって、最初はこんなのダメだとか、認めねえよって誰かが怒ったりボロクソ言われるものなのかもしれません。自分が前所属していたバンドも、もう7年前になりますか?2012年頃にメイクを濃くした時期、終わったバンドと揶揄されていました。続きましたけどね。

ただ、FUMIYAさんが言った通り、自分も今まで通って来たジャンル達がめちゃくちゃ好きなんですよ。ただ、わざわざ日本人の自分が海の向こうに存在するものや、先輩達がやってきた事をそっくりそのまま模倣する必要はないと考えています。

 

シンゴスター : 新しいものを僕らからスタートするモデルというか、チャンスですよね。

 

FUMIYA :このメンツが集まったから、「新しいメタルバンドが始まるんだ!」みたいな意見もあったよね。

 

シンゴスター : まぁ、そこは良い意味で期待を裏切らないと言うか。

 

FUMIYA : でもそこにこだわる事は意味が無いというか、それぞれ母体のメタルバンドでやってきちゃってるから。そこで新しくメタルバンドをやっても何も新しくないし、固定観念ありきのシーンから抜け出したい理由っていうのは、そういうものを壊したいからなんですよ。そういう部類の人たちが集まってると思うので。勿論、様式美の世界はそれはそれで素晴らしいと思うんですけど。よくこんなに自由な人たちがちゃんとメタルでキャリアを積んで、今出会ってくれたなと、すごく運命的なものを感じました。

 

シンゴスター : まだ見せてないけど、コータ君にはラップもあるからね!まだ公開してない曲もあるんですけど、アレにラップが乗るとなるとシビれるね!

 

コータ : 快進のICHIGEKIが解散した後、ソロで活動する中でブラックミュージックとか色々研究していて。そんな中、猫曼珠-nekomanju-に加入するお話を頂いて。いざ歌入れをしてみた際、快進のICHIGEKI時代に消化し切れていない要素が結構あったな……!と気がついたんですよ。なので、あの頃よりは引き出しも深くなったかな、と思います。月並みな言葉ですけど、唯一無二なバンドにしたいですね。

 

Cazqui : そういう意味でいくと、猫曼珠-nekomanju-って自分のルーツが全部入っていく気がしていて。自分と近い年代の人はKICK THE CAN CREWだったり、その辺りの日本語ラップ世代の方も多いと思うんですよ。自分はKREVAさんが好きで。彼は日本語ラップの代表的存在だと思うんですけど、アンダーグラウンドの、いわゆるガチと言われそうなシーンからはセルアウトと言われながらも第一線に立ち続けてる孤高感が好きです。また、シンゴさん、コータさん、FUMIYAさんは世代的にはミクスチャー世代だと思うので、メンバーの生きてきた時代感がすごく出ているとも思っていて。

その上で、猫曼珠-nekomanju-では、全く新しい形のミクスチャーロックをやっていきたいです。既存の概念に無いものって、何かと疎まれたり、頭ごなしに否定されるものですし、もう慣れたので大歓迎です。

 

-上記に付随して、今後、猫曼珠-nekomanju-が活動を行われる上で、特定のジャンル・シーンで活動するだとか、あるいは横断した活動を行う等、指針はありますか?特定のジャンルにこだわると言うよりは、もっと視野を広く捉えて、ロックバンド的な活動を目指されるのかな、とも感じました。

 

シンゴスター : 僕らのバックグラウンドはいわゆるメタルなんだけど、メタルと言っても一般の人は聴かないわけじゃないですか。

 

Cazqui : 大体『デトロイト・メタル・シティ』のイメージですよね(笑)。

 

シンゴスター : 我々はいわゆるメタルだけではなく、そういうオーバーグラウンドにも進出したいという思いがありますね。ただ、そこに合わせて音を合わせるのでは無く、思うままに猫曼珠-nekomanju-の”音”を出して行きたいです。メタルの枠に括られるとそういう見方しかされないので、いろいろなシーンに行きたいですね。

その中で、メタルのフェスにも出る事も勿論あると思うし、もしくはFUJI ROCKやSUMMER SONICみたいなフェスも出たいし。ジャンルは問わず、いろんな所で猫曼珠の名前を見かけるようになれば良いな、と。もしかしたらヒップホップのイベントにも出ちゃうかもしれないし、やりたい事は全てのシーンに対応する事ですね。猫曼珠-nekomanju-は、新世代のミクスチャーロックだと思っているので。

 

Cazqui : 何かと出自はついて回りますが、いずれ「猫曼珠の人でしょ?」って言われるようになれば嬉しいですね。

もっと言えば、いろいろなフィールドで活動することで、各メンバーの過去における所属バンド、並行したバンド活動にも関心を持ってもらえれば、結果として色んな方面やシーンの繁栄にもなるし、未来に向けた新陳代謝が出来るんじゃないかな、と考えています。

 

シンゴスター : あいつらのせいで!って言われるようになりたいな。人気が出ればアンチも増えるし。アンチも増やしたいですね(笑)。

 

Cazqui : この服を着ればメタルだとか、スクリーモだとか、パンクだとか、ヴィジュアル系だとか、それって違うと思うんですよね。メタルとかパンクとかとか、そういう名前がついているものは全部思想だと思ってるんで。例えばどんな格好してようがメタルなやつはメタルなんだと。例えばアコースティックギターを使っていても、その心はフライングVみたいな人もいるし、すっぴんでもゴスを感じられる人もいるというか (笑)。

名札や看板に支配されないバンドでいたいですね。どこにいてもそいつはそいつだ、と。

 

FUMIYA : メタルのシーンもやっぱり名札で見られる世界で、両方もったいないんですよね。ポップとかロックみたいな事をやると、「メタルじゃねえ!」みたいに言われたり。逆に今から僕らが行こうとしてるジャンルの人たちは、メタルって「ヘビメタ」っていうイメージがあったりして(笑)。それは損をしてるなと。やっぱり良いものを良いんだよ、という事を強く打ち出していきたいですね。

 

Cazqui : 音楽的に柔軟なメンバーが揃ってますからね。

 

コータ : ジャンル分けの考え方ってある意味サブカル的な考え方だと思うんですよね。勿論、それぞれのメンバーのキャラ立ちとかもあると思うんですけど。ある意味付加価値の無い、純粋な音楽として評価されたいですね。例えば、メタルシーンだから評価されているとか、ヴィジュアル系だから評価されているというのは、そういう見方は本当に仕方ないことではあるけど、それすらも半分付加価値だなという気がして。メインの価値ではないというか。そうじゃなくて、「猫曼珠-nekomanju-って、すごく素敵な音楽をやってるね!」とか、そう認めさせるバンドになりたいですね。ミュージシャンであるからには、それが一番の正義だと思うので。

 

Cazqui : コータさんみたいな考え方の人が今最も身近にいるのもあり、今、もう一度音楽に対して、10代の頃のように向き合えているなという気持ちがありますね。健康なマインドが戻ってきたというか。ひたすら音楽が好きだった気持ち、音楽が出来る喜びを実感してます。長く続けるごとに、背負うものも増えていきますが、そういうの抜きにして、ただただこの人たちと純粋に楽しく制作をして、いざ出来た曲を聴いてみたら、「超カッコいい!だから俺このバンドやる!」という感覚です。(笑)。

 

FUMIYA : それは健全だね。やりたい人と音を合わせて、結果カッコいいっていうのがベスト。いろいろ経験してきたからこそ、シンプルが良いって思えるメンツなので。キャリア的にも10代の若い子とかじゃないですし、酸いも甘いも知ったうえでシンプルに回帰した所を打ち出したいですね。

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