clocknote. インタビュー

clocknote. インタビュー

-同人繋がりであったというのには驚きです。そのclocknote.さんが手がけられたデザインを拝見させていただきまして、インパクトやわかりやすさはもちろんのこと、その馴染みやすさに感銘を受けました。初めて見るものなのに何故か懐かしさと安心感を覚えました。その上記のデザインを手掛ける際に意識されていることをお聞かせください。

 

clocknote.:ありがとうございます。私が担当する作品は、エンターテイメントかつ物語のある作品が多いので、世界観に対する寄り添いは最も大事にしていることの一つですね。なので、馴染みやすいと言っていただけることは本当に嬉しいです。ただ、馴染みやすさだけではスッと身体を通り抜けるだけになってしまうので、そこにバランス感を効かせて、一振りのスパイスを入れる感じですね。他には、ストーリー性も意識しています。ストーリーというのは、作品の内容のことだけではなく、ファンの方が商品を手にとるまで、どのような体験をするのか想像しながら制作するということです。

例えば『冴えない彼女の育てかた』は、スリーブケースを外すと、毎回全く別のデザインの箱があらわれます。TwitterなどのSNSでよく「開封式」と称してパッケージをあけた写真や、そのときの感動をツイートされている方がいたので、そういった方達に、届いた感動と一緒に作品の世界を楽しんでもらったり、届いたものの中身で盛り上がって話題にしてもらえたりしたら良いなと考えて制作しました。この作品に関しては、特にたくさんの反響をいただけたので、手応えを感じましたね。

 

-そのなかで大変なこともありましたか?

 

clocknote.:グラフィックデザイナーは、もちろん大変なこともたくさんあって、これは業界全体的になんですが、時間が無いことが多くて……(笑)。デザインってアイデア9割勝負みたいなところもあるので、決まらないときは本当に決まらなかったりして、毎日謝りながらも何とか続けていられる感じですね……。それでも粘り強くつきあってくださるお客さんが多いので、本当に感謝しています。

 

-ユーザーの反応も考えつつ時間のないなかでのデザインを手がけるのは大変ですよね。続いてグラフィックデザイナーで影響を受けた人やもの、ことはありますか? また、最近目にしたデザインで感銘を受けたものがありましたら教えてください。

 

clocknote.:私は大学を中退して2年間フリーランスをやっていて、その頃は日本デザインセンターの有馬トモユキさん (@tatsdesign) と一緒に仕事をすることが多かったです。本当に色々と教えていただきました。その後、紆余曲折あって現在所属しているBALCOLONY.に入社するのですが、弊社チーフである染谷(染谷洋平 / @sometani)の仕事をとにかくたくさん学びました。

 

-先にフリーランスで動いていたんですね。現在はアニメや漫画雑誌、VTuberといったジャンルでのデザインを手掛けられていますが今後デザインをしてみたいジャンルや物はありますか?

 

clocknote.:そうですね……。デザインの仕事って本当に幅広くて、わかりやすいところでは先ほど挙げていただいた漫画雑誌や、書籍、パッケージなどだと思うのですが、本当はもっと上のレイヤーからも考える必要があると思っていて。例えば、既存の「パッケージが出るのでお願いします」ももちろん必要ですが、デザイナーが作品制作の立ち上げから関わることが出来たら、「この組織にロゴマークを作ってステッカーを配ったら面白くないですか?」とか、「今回のイベントは○○なビジュアルにしたいので、コンセプトは△△にしてみたらどうですか?」とか、デザイナー目線で作品を盛り上げることができると思うんです。

デザインってかけ算だと思っていて、「ゼロ×デザイン」は「ゼロ」だけど、「何か×デザイン」の「何か」をより深堀りしていくことで、色々なことにチャレンジできるんですよね。実は最近、会社で少しずつそういったお仕事をいただくことも増えていて、自分なりに何が出来るか日々考えています。BALCOLONY. で担当しているものだと、『A3!』や『ヒプノシスマイク』なんかはその成果が出始めている作品かなと思っています。どちらも私は担当していないので、社内のスタッフたちに尊敬とくやしみの感情を向けているだけなんですけれど……。まだ表に出ていない作品で私が担当するものもあります。大変なお仕事ではありますが、作品制作は総合力で戦っていかないといけない時代だと思っているので、めげずにチャレンジしていきたいです。

 

-今聞いていて物凄く勉強になりました(笑)。では、次にトラックメーカーの活動についてお聞きします。音楽に興味を持ったのはいつごろですか? 一番はじめに好きになったアーティストやジャンル、音楽のルーツについて教えてください。

 

clocknote.:音楽のルーツは、もともと歌モノが好きというよりは、インストゥルメント系の音楽が好きだったんですよね。一番聞いていたのはゲームのサウンドトラックでしょうか。アーティストで言うと、中学生の頃に、映画『ぼのぼの』を経由してゴンチチを知りまして。もうとにかくたくさん聞いたし、コンサートにも行きました。その後優しめの音楽繋がりでレイ・ハラカミを知り、エレクトロニカを聞くようになりました。クラブ系のジャンルに関しては、その昔、東方同人界隈に「音盤夜行」というイベントがありまして、東方アレンジが流れるクラブイベントなのですが、全然東方と関係ない曲も一緒に流れていたんですよね。その場をきっかけに、レジデントの方に違うクラブイベントに連れていってもらったり、自分もVJをやるようになったりして、たくさんのジャンルのクラブ音楽を聞くようになりました。

 

-ありがとうございます。楽曲を聞かせていただいて、テクノやアンビエント、アシッド・ハウス、そしてニューエイジ、IDM系に精通している印象を受けます。

 

clocknote.:確かに、たどってきた音楽を思い浮かべると、そのあたりのジャンルが近いような気がします。あと、これとは別にオタク軸みたいなのがありまして……高校生の頃“オタクとしての自覚”みたいなのが芽生えたんですけど、当時好きだったのがローゼンメイデンだったんです。そこで霜月はるかさんを知って、大好きになりまして。kukuiというユニットで出されていた『箱庭ノート』というアルバムが本当に好きなんです。実はclocknote.の「ノート」はこのアルバムタイトルからいただいていたりします。あとは霜月さん経由で知ったbermei.inazawaさんですね。「音ってこんなに自由で良いんだ!」って、かなり大きな衝撃をうけました。あとは世代的に、ニコニコ動画の初音ミク文化の発生当時にインターネットにいたので、kz(livetune)さんですね。私は今Ableton Liveを使っていますが、packagedの頃とかだったと思うのですが、livetuneの動画にAbleton Liveのロゴが入っていて、最終的にLiveを使うようになったきっかけにもかなり影響を受けていると思います。

 

 

-音楽的な嗜好に二面性があるっていうのは面白いですね。トラックメーカーとして活動をはじめるきっかけや経緯は何だったんですか?

 

clocknote.:まず、そもそも何故音楽を作るようになったかという話ですが……。父親が元ドラマーでして。自宅にレコードだったりレーザーディスクだったりがたくさんありました。その影響もあり幼少期から音楽教室に通っていまして、今でも絶対音感があることがちょっとしたアドバンテージだなと思っています。でも自分には「演奏」という行為がどうしても馴染まなくて、教室に通いつつも、演奏をやめて作曲だけやりたいと思っていたんですよね。そんなとき、MIDIという規格の存在を知りまして、「これなら弾かなくても作れる!」と思って、打ち込みによる作曲をやりたいと思うようになりました。まあでも、結局高校生の頃は、美大受験とかで全然そんな暇なかったんですよね……。

 

-音楽的な目覚めも割と早かったんですね。

 

clocknote.:そこは本当に、両親のおかげですね。そんな当時、ちょっとずつオタク文化にも足を踏み外しつつあった自分ですが、東方Projectと東方同人アレンジというものを知りまして。もうとにかく衝撃的で、「上京したら絶対自分も東方アレンジをやるぞ!」って意気込んでいました。その後活動を開始する前にTwitterが流行りはじめて、当時好きだった東方アレンジサークルの方にガンガン絡んでいったんですよ。何も作っていないただのオタクなのに(笑)。でもTwitter初期の頃って、Twitterやってる人がそもそも少なかったから、趣味が近かったらすぐ絡めちゃう空気感があったんですよね。なので、色んな人と仲よくなって、実はデザインの勉強してますっていうのがきっかけになって、一緒に同人活動をするようになりました。

なので結局、東方アレンジより先にデザインの方で活動しはじめちゃったんですが、もちろん自分でもサークル参加しました。

 

-やはりここでも行動力を発揮されていますね。続いて「dream triangle」を生み出されたきっかけを教えて下さい。

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