マツケん(マツケン先生/松澤健)インタビュー

マツケん(マツケン先生/松澤健)インタビュー

マツケん : そうですね。その後、2008年4月に社会人になりました。最初は仕事の関係で静岡県浜松市に移って寮に住んでいて、2008年4月から2012年2月までかな、4年弱を浜松で過ごしていました。

その頃、2008年に、かつてハドソンの『チャレンジャー』や『忍者ハットリくん』、『スターソルジャー』、『カトちゃんケンちゃん』などのゲームソフトの楽曲を手がけた作曲家の国本剛章さんと出会ったんですけど、そのきっかけがmixiでした。世代によってはわからない方もいらっしゃるかもしれませんが、mixiにはコミュニティという概念があって、その中に『迷宮組曲 ミロンの大冒険』というゲームのコミュニティがあったんです。そこのコメントで「このゲームの作曲者の国本です。」という書き込みがあって、その内容が「当時作曲した時の音源をまとめたCDがあるので、興味のある方は連絡下さい。」というものだったんです。昔のゲーム音楽を作曲していたような方がネットに書き込むこと自体が面白い時代だな、とまずは思い、もちろんそのCDに興味もあったので、メールをしたんですよ。

 

今であれば、TwitterやFacebookなどで気軽に著名人に連絡を取ることができますが、mixiはその敷居が高い印象があったように思います。

 

マツケん : ちょうど、当時私は発車メロディメドレー動画の件や、その数か月後にアップした「ドラゴンクエスト2 ピアノメドレー」などもニコニコ動画の総合デイリーランキングトップ10に入るくらいには数字があって、動画投稿者としてちょっとした実績はあったんですね。それで自己紹介がてら、ただCDに対する興味がありますというだけじゃなくて、「昔からゲーム音楽が好きで、こういう動画を上げたりしてます。電子楽器が好きで、現在は某楽器会社に勤めています。」みたいなことを書いたんです。

そうしたら、国本さんは学生時代にその会社の系列店の札幌店でバイトされていたらしく。当時は自動演奏装置、いわゆるシーケンサーが一般に市販された頃で、楽器屋でプレゼンできる人がなかなかいなかったそうで、打ち込みを趣味でやっていた国本さんは重宝されていて、デモンストレーター的に打ちこんだ曲を流したりしていたらしいんですよ。そこに当時ハドソンの方がたまたま訪れて、それが1985年頃だそうなんですけど、「音楽やらないか?」と声をかけられて、抜擢されたらしいんです。2008年の8月ぐらいにはそういう雑談のやり取りもしつつのメールをしていて。

同年12月に、当時国本さんが参加されていたバンドのライブがあったんです。確か高円寺で、小規模なライブだったんですけど。それに僕がアポなしで普通に客として見に行きまして、終演後に「メールでやり取りさせていただいた松澤です。」と挨拶したんです。ちょっといやらしいんですけど、当時いくつかテレビにも出させていただいていたのでそれらをまとめたDVDと、ダイヤモンド社から出していた『鉄のバイエル』という発車メロディの楽譜集を自己紹介グッズとして渡したんです。その場では立ち話程度だったんですけど、その翌月の2009年1月に国本さんからメールがきて、僕がYouTubeに上げてる動画も改めて見てくれたみたいで、「よろしければ、今度一緒にライブをやってみませんか?」とお声掛けいただいて。

そして、2009年2月にお呼ばれして伺って、その日にいろいろな話をして盛り上がって、そのまま結成したのがタケちゃん健ちゃんです。その後はニコニコ動画やYouTubeに演奏動画などを上げることも続けつつ、2009年4月にタケちゃん健ちゃんの初ライブをやり、それを皮切りにリアルでのライブも行うようになりました。それは僕の人生の中で、ほぼ初めての人前でやるライブでした。

 

 

思わぬ出会いから、ライブ活動を行われるようになったのですね!さて、その後結成されたNES BANDは、マツケん様の活動において、今や外せない物になったかと思います。こちらのスタートのきっかけを教えてください。

 

マツケん : タケちゃん健ちゃんのライブの中で、恒例行事として僕のソロコーナーをやっていたんです。2010年9月の回で、ファミコンの実機を鳴らせるツールを使って、オケとして流した音源に自分が手弾きで音を重ねるっていうパフォーマンスをやったんです。そのパフォーマンスの動画が2011年2月にニコニコ動画でバズって、演奏してみたカテゴリーのデイリー1位になったんですよ。”コタク・ジャパン”というWEBメディアが当時あって、そこで取り上げられたのも大きかったですね。

 

 

その時に、「このツールでは1人だと単音しか出せないけど、4人なら原曲を再現できるんじゃないか?」と妄想していたことをやってみようかな、と思ったんです。バズったおかげで、それが響く人がいるんだなと分かったので。それで、動画の説明文に「こういうコンセプトで1人1音のバンドを考えています。」と書いてメンバー募集をかけたら、何人かから連絡を頂いたんです。3chのサキヤマさんと4chのホソタケさんはその時に連絡を頂いた初期メンバーですね。

そうしてできたNES BANDは結成が2011年の6月で、2011年8月に高田馬場で初ライブをやったのが始まりですね。おかげさまで、もう結成から7年以上が経っていますが、30回くらいライブをやらせていただいてます。

 

 

社会人になってからは、タケちゃん健ちゃんやNES BANDでリアルなライブをするようになったこともあって、改めてレトロゲーム音楽を辿っています。新たに知ることもあったりする感じで、レトロゲーム音楽全般を聴いてますね。あ、あと、昔のアーケードゲームへの憧れってのがありまして、例えば『ストリートファイターⅡ』でも、当時のアーケード版と移植されたSFC版では音源やアレンジが違うんです。当時からアーケード版が良いよな……!と思ったりしてましたね。性能もいいのでゲーム機としての憧れもあり……大人になってからストⅡやバーチャ2などは移植版じゃ物足りずアーケード版の基板を買っちゃうくらい(笑)。今も実家にあるんですけど、思えば本物志向というところでNES BANDで実機音源を使ってることにも通じるかもしれないですね。

 

時が経つのは早いものですね。さて、続いてはマツケん様がプレイヤー、そしてアレンジャー・コンポーザーとして影響を受けた音楽を教えてください。

 

マツケん : 好きな作曲家トップ3は、これは昔から変わらないんですけど、すぎやまこういちさん、ショパン、X JAPANのYOSHIKIさんです。

プレイヤーとしての影響ではYMOはあると思いますね。派手なことをすることなく、淡々と演奏する味というか、機材に囲まれている感じとか。NES BANDにもその影響はあると思います。僕は激しいパフォーマンスをするよりは黙々と演奏するタイプで、それは激しいことはできないだけというのもあるんですけど(笑)。ピアニストだとスタニスラフ・ブーニン、マウリツィオ・ポリーニ、サンソン・フランソワ、山本貴志さんなどが好きです。

創作的なところだと、幼稚園の頃に聴いていた昭和歌謡はルーツにあります。あと、奥田民生さんが好きなので、コード進行とかだとその影響もあるなと思っています。あとは、自分が作った楽曲のエッセンスを辿ると、大学の時にハマったハロプロの影響はあると思います。

 

ありがとうございます。さて、現在NES BANDを筆頭に、ゲーム実機音源楽団として活動されていらっしゃるマツケん様ですが、普段愛用されている機材・ソフトを教えてください。

 

マツケん : ではまず、実際のプレイにおける物からご説明します。まずはDX7II-FDですね。DX7というとシンセサイザーの歴史の中でもヒット作で、FM音源が出せる1980年代のシリーズなんですけど、いまだに使っていますね。最近のシンセでも一応似た音は出るんですけど、やっぱり本物のその場で発音されるFM音源ってアタックというか、音の立ち上がりが早いんですよ。ソリッドな音で弾いてて気持ちいいというのもあるし、いかにも電子音って感じでゲーム音楽との親和性も高いです。それが好きでいまだにライブでも使ったりしてますね。

DX7II-FD  : https://jp.yamaha.com/products/music_production/synthesizers/dx7ii-fd/index.html

あとは、NES BANDで使っている機材はMIDIキーボードで、61SL MkIIを使っています。NES BANDでは、原曲に近づけるために音色や音量とかいろいろなパラメーターをいじる必要がありまして、それは鍵盤演奏よりも忙しかったりするんですけど、そのためにはたくさんのボタンやスライダーが付いている機材が必要なので、行き着いた先がこの61SL MkIIで。これぐらいじゃないと賄えないんですよ。コントロールできるボタンとかがとても多い、という理由で重宝しています。

61SL MkII  : https://novationmusic.com/keys/sl-mkii

それと、Nord Waveっていう真っ赤なシンセですね。

Nord Wave  : http://www.nordkeyboards.jp/products/nord_wave/index.html

YMOが好きなのでProphet-5も持っているんですけど、デカくて繊細なので持ち運びはしにくいです。最近出た現代版のProphet-6っていうのがあって、それも使ったりしてます。

Prophet-6  : http://www.fukusan.com/products/DSI/prophet6.html

あと、MONTAGE7というヤマハが出してる現行の総合シンセですね。生系の音も出る感じで。

MONTAGE7  : https://jp.yamaha.com/products/music_production/synthesizers/montage/index.html

実際の演奏で使うのはこんな感じです。ハードウェアシンセは大学の頃に収集することにハマって、ピンキリ含めると40台以上は持っていると思います。

 

音に忠実に、かつ複数使い分けがいるからこそ、数多くのギアを使われているのですね。ちなみに、普段宅録に使われているソフトも教えていただけますか?

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