マツケん(マツケン先生/松澤健)インタビュー

マツケん(マツケン先生/松澤健)インタビュー

マツケん : 特にこれというものは無いのですが、Twitter上で見かけた「#昭和再現写真」というハッシュタグなんかはよいですね。昭和の光景風に撮った写真がアップされていて、そういうレトロなものが好きなんですよ。ゲーム音楽のみならず、特に80年代の文化やレトロ的なものを見たりするとぐっときますね。

また、最近だとTwitterなどでバズられる方がいますが、いろんな発想の方がいてとても感心します。ユニークなアイディアとか、何らかの情報物を見ると「そういう発想があったのか!」と思わされることもかなりあるので。そういうものを気軽に見られるのは良い刺激になるし、面白い時代だと思います。

 

確かに。更に細かく言えば、近年、もはや音楽プロモーションや自身の作品・意思を発表する上で、Twitterは勿論、WEB/SNSサービスは欠かせない物になったかと思います。活動当初より、それらをフルに活用されてきたマツケん様視点で、思うことを教えてください。

 

マツケん : まず、私の場合は2007年に発車メロディメドレーがバズったのが全ての始まりで、YouTubeの登場が自分の中ではめちゃくちゃデカいということです。実は2002年から2007年くらいまでホームページを細々と持っていたんですよ。そのページは今はもう閉鎖しちゃったんですけど。当時は容量のデカいファイルは扱えないので、軽いMIDIファイルとかめちゃくちゃ音質を落としたMP3の演奏音源とかを細々と公開していたんですよね。

そこから、2006年ぐらいにYouTubeを知り、「ついに自由に動画を発信できる時代が来たぞ!」と思ったんです。「音だけじゃなくて、容量のデカい動画もアップできるぞ!」と。そこから、今ほどアップされている方が多くはなかった演奏動画などをアップし始めた、という経緯がありまして。

ネットは日本はもちろん、世界中で見られるわけで、思いもしない人に届いたりして、世界が広がっていくことをまさにこの10年間で体験しましたね。ただ、それはあくまで全てではなくて、最終的にオフラインの大事さも感じています。ネット上で話題になったりすることがありつつも、そこから興味持っていただいた方とお会いしたりして、何かの案件に結びついたり、人とのつながりが増えていったり、イベントに出たりテレビに出たり、直で対面することの大事さは変わらないんじゃないかな、と。ネットが発達して誰でも発信できる、有名になれるようになりましたが、かといってオフラインがないがしろになることはなく、変わらずに価値があるものだな、と感じます。

そこに重なる話で、最初私が社会人になった際、浜松にいたんですよ。出身は神奈川県なので、社会人になるまではずっと神奈川住まいで、東京にも行こうと思えばいつでも行ける環境だったんです。でも、浜松に住んで東京から離れてみると、首都圏のありがたみを痛感したんですよね。それまでは当たり前だったんですけど、東京は文化が集まっているし、いろんな人がいるし、刺激も多いし、それを痛感したというか。浜松時代はとにかく首都圏に戻りたいとかTwitterでも言ってたし(笑)、ほぼ毎週末を自腹新幹線で関東で過ごしていました。

結果として、2012年に転勤が受け入れられて今は東京住まいなんですけど、それはオフラインも大事だということにも繋がっています。東京にはいろんな方がいて、世界が広がっていくという意味では魅力的な都市だと思います。ネットで活動する中でも、東京に身を置いて何かあればすぐに出かけられ、直接的にも人と繋がれるのは大事だなと。まぁ、単純に東京という街が好きすぎるだけでもあるんですけど(笑)。

あと、ネット上に自分を発信するというと、怖いなと思う方もいるかと思うし、ある程度マイナスのコメントや評価をされたりすることももちろんあるかと思いますが……それ以上のメリットがあると思うんです。なので、これからの時代、そういうネガティブなイメージへのスルー力を身につけて、どんどん自己発信することは大事だと思いますね。

 

オンライン・オフライン両方共に、最終的には動いた者勝ちではありますよね。また、そんな活動をされている方々の走りとして、「演奏してみた」シーンのフィールドで活動されている方がいらっしゃると思います。そんな近年の「演奏してみた」シーンについて、思うことを教えてください。

 

マツケん : 最近はそんなにチェックできていないんですけど、今はもう飽和しきっているので、演奏自体でビュー数を稼ぐのは難しくなっていると思いますね。2007年に発車メロディはたまたま当たりましたけど、今同じことをやっても埋もれるだけで。あれは運も良かったし、まだ人が少なかったからこそ、というのもあります。今多くの人に見られるためには、純粋にめちゃめちゃ上手いか、いかに独自性を持っているか、どれだけ分かりやすいか、思いっきりネタに走るか、ですかね。あまり他の人がやっていないことをやるというか。

あと、注目のされ方っていうのは演奏だけではなくて、その人のキャラクターもありますよね。やっぱり生配信とかもそうですけど、インタラクティブなやりとりを上手くできる方は強いと感じますね。

 

ある意味距離が近くなった分、スーパーヒーローよりも、身近で親近感を持てる方の方が強いのかもしれませんね。さて、続いてはマツケん様の今後の目標、そして予定を教えてください。

 

マツケん : 私は会社員で音楽は本業ではないものの、有難くいただけるオファーや発信活動などには全力で取り組んでいきたいし、自分の可能性を広げていきたいです。また、今後も私のモチベーションの根底は、良いと思ったものを多くの人に良いと伝えていきたいというところにあると思います。それは今後も変わらないと思うし、そういったものを発信していくことは変わらずに続けていくと思います。

目標としては、バンド活動や動画投稿活動が多くの人の目に触れることは純粋に嬉しいので、そういうものを広げていきたいですね。ここ数年はオリジナル曲の作曲もしているんですが、それを良いと言ってくださる方もいたりして。自分が生み出したものに対して反応があるのは嬉しいですし、オリジナルの作品も世に放っていきたいです。

予定の話ですと、今年2019年は3月にコンサートをやります。今はNES BANDとGB BANDという2つのバンドをやっていて、それぞれファミコン、ゲームボーイの実機を音源として使うバンドなんですが、今回はそれにプラスしてPCエンジンとスーパーファミコンの実機音源を鳴らす環境が整ってきているんですよ。PCE BANDとSUPER NES BANDという新たな2つのバンドを加えて、ゲーム実機音源楽団という名前で4つのバンドをまとめて披露する第1回コンサートを3月2日に行う予定です。無料公演なんですが、おかげさまで現状では一旦チケットは埋まっています。ただ、座席数の最終調整で追加を募集するかもしれません。

そして、NES BANDのモチベーションの根底として、原曲が好きなんですよね。ゲーム音楽って、今でこそ演奏してる方はいっぱいいますし、アレンジしてももちろん面白いし、元々が良い音楽なので素晴らしいんですけど。ただ、僕が好きな点としては、それぞれのゲーム機の音源や、当時の3音とかしか出ない時代に上手くやりくりしている原曲そのものがすごく好きなんです。NES BANDはそれをそのまま伝えるのがコンセプトなんですけど、それをついにPCエンジンやスーファミでも同じようにできそうということで……僕自身がわくわくしてるし、ご好評いただけるように頑張っていきたいです!

 

好きに対して忠実に……ですね!今回はご回答いただきましてありがとうございました!それでは最後に、TOPPA!!読者に対してメッセージをどうぞ。

 

マツケん : まずは、本記事をご覧いただきありがとうございます。音楽に限らず、何か好きなものをお持ちの方は、それを自分なりに咀嚼した上で、何らかの形に組み立てて発信してみることをオススメします。その上で、自分のオリジナルなことも発信できるとより素晴らしいと思います。

 

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