seeeeecun ( しーくん )インタビュー

seeeeecun ( しーくん )インタビュー

  

seeeeecun:音楽アーティストというと、かつてはバンドだったり弾き語りだったりで、全国のライブハウスを渡り歩いて、事務所の目に止まってそこから“CDデビュー!”みたいな流れから発生することが多かったと思うんです。

でも、最近は変わってきている。PCで楽器を打ち込む技術が一般化されて、一人で制作できる環境が前よりもグッと整っている。その例がボカロPで、この中から何人もメジャーに行ったり有名になったりしているのは、時代の流れからするとすごく自然だと思います。音楽の作り方が多様化している。僕は外面では色んな人と協調しているように見えるけど、結構一人でやりたいタイプなので、「バンドでのし上がろう!」っていうのは向いていなかったと思うんです。だからこそ、一人で楽曲を作ったり歌ったりできる現代は自分に合っていて有難いですね。

 

-確かにおっしゃる通り自然な流れではありますよね。音楽アーティストを志す側にしても選択肢が増えることはいいことだと思います。活動を始めてから、5年が経過しました。現在の心境はいかがですか? 活動当初との気持ちや環境の変化はありますか?

 

seeeeecun:それはもうかなり変わりましたね。そもそも自分がこうやってインタビューされたり、CDを全国発売したり、ワンマンライブをしたりすることなんて想像していませんでしたから。もちろん活動当初も「自分の楽曲の再生数が伸びたらいいな。」という期待を抱きながら毎回投稿していました。

でも、それが実現できるかなんて誰も分からない。自分すらも予想していない。とはいえ、普通に会社に行って仕事して帰って寝て起きてまた会社に行くという自分も想像していなかったので。本当に先なんて見えないし、とにかくがむしゃらに進んでいくしかない。進んだ結果、見える景色で更に向かいたい方向に進んでいくしかない。というのが今の自分の心境です。

 

-かなり清々しい心境だと思います。そして頼もしく感じます。もう少しseeeeecunさん自身のことをお聞かせください。ボカロP活動を始めた当初より、リスペクトしているはいますか?

 

seeeeecun:活動を始めた当初というより、音楽人生を通して影響を受けた2人がいまして、それが桜井和寿さんとフレディ・マーキュリーです。

桜井さんはすごく優しそうな感じなのに、時々歌詞がえげつなかったり、ライブでシャウトしたりとすごく素敵なギャップがある方で、本当に尊敬しています。多分自分が歌詞にこだわっているのも桜井さんの影響で、Mr.Childrenのアルバムを買ったら歌詞カードを食い入るように見る学生でした。言葉には力が宿るって思っていて、それを感じたのは桜井さんの書く歌詞がきっかけだったと思います。

フレディは僕の中のヒーローで、先述したクラスメイトの前で歌った楽曲は、まさにQueenの「We Will Rock You」でした。初めてライブ映像を見た時「なんだこの人…」って釘付けになりましたね。自分はライブでかなりはっちゃける方なんですけど、多分桜井さんとフレディの影響もりもりだと思います(笑)。

 

-ここで人間性や音楽性の影響だけでなく、ライブでの振る舞いについて聞けたのは思わぬ収穫です(笑)。では、ここからは8月7日にリリースを控えるアルバム『Bohemian Bloom』についてお聞かせください。今作は「疑神暗鬼」、「ケモサビ」や、ボカロ曲「ローファイ・タイムズ」のセルフカバーなどに新曲9曲を追加した初のボーカルアルバムとなっています。まずは初のボーカルアルバムに挑戦した経緯や思いをお聞かせください。


【リリース情報】

▼タイトル
『Bohemian Bloom』

▼発売日/価格
2019/8/7
¥2,500(税別)

▼収録曲
1. Bloom
2. アジャイル・フラジャイル
3. ケモサビ
4. ハンマーヘッズ
5. デジャヴ・ラブユー
6. 有象無象空想C荘
7. Mags
8. 七転罵倒
9. ラビッシュ
10. ヘレシー・クエスチョン
11. ピーナッツと慟哭
12. Bohemian
13. バスストップギャラリー
14. 疑神暗鬼
15. ローファイ・タイムズ(Rearranged)

▼店舗別購入特典
・タワーレコード
オリジナル スペシャルCD:オーディオコメンタリー(seeeeecun&YUUKI MIYAKE)+「真夏の若人、純情たれ」(Rearranged by seeeeecun)
https://tower.jp/item/4917449

・ヴィレッジ・ヴァンガード
オリジナル スペシャルCD:オーディオコメンタリー(seeeeecun&みつきさなぎ)+「ルサンチマン・クラブ」(Rearranged by seeeeecun)
https://vvstore.jp/i/vv_000000000183529/

・アニメイト
オリジナル スペシャルCD:オーディオコメンタリー(seeeeecun&はるまきごはん)+「雲散霧消」(Rearranged by seeeeecun)
https://www.animate-onlineshop.jp/pn/pd/1656633/

・Amazon オリジナル スペシャルCD:
オーディオコメンタリー(seeeeecun&和田たけあき)+「あのプリズムによろしく」(Rearranged by seeeeecun)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07SPFW928/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_6ui-CbDKPQ1DF

※特典は数に限りがあり、なくなり次第終了となります。ご注文の際、店舗にお問い合わせください。 


 

seeeeecun:「これが自分のやりたかったことだったんだ」という充実感にようやく出会えた感じです。もちろんボーカロイドをボーカルとして楽曲を作っていた時代も楽しかったのですが、僕はやっぱり歌を歌うのが好きだったので。それに、自分の好きなアーティストは自分で曲を作って歌う人が多かったのもあり、ようやく憧れに近づく第一歩を踏めた感じがします。

ただ、本当に大変だったのも事実で。歌うのって体力をものすごく消費するんです。ただでさえ楽曲を作る労力って凄まじいのに、その後に何十回も歌を録って、録って、録りまくるんですよね。単純に歌うだけならまだいいんですけど、「ここはバーン!って感じで歌った方がいいな」とか「ここはしっとりしてからサビにいった方がメリハリがついていいな」とか、歌っていく中でも試行錯誤しているので、とにかくリテイク、リテイク、リテイクの連続でした。

でも、そのおかげでボーカロイドや他の人に歌ってもらったもの以上に自分の感情を随所に吹き込めたので、とにかく楽しい感じになっています。

 

-まさにその楽しい感じが随所に感じられますね。先日公開のアルバム収録曲「バスストップギャラリー」と「七転罵倒」は爽やかなギターリバーブと甘美なディレイが幻想に響いていて、ギター・ワークのレイヤーが心地よい楽曲でした。サウンドからはseeeeecunさんの音楽性がさらにアップデートされた印象を受けましたが、今作のコンセプトを教えてください。タイトルの『Bohemian Bloom』は直訳すると“自由奔放に咲く”という意味ですよね?

 

 

seeeeecun:そんな感じです。ボカロPからシンガーソングライターに転身するって、一部の人からすると「裏切り者」だし「異端児」なんですよね。でも、自分は気にするのはやめようと思ったんです。それを気にしだしたら、学生時代に周りの顔をうかがって本音を心にしまっていた頃に逆戻りですからね。ある意味これまでの立場を捨てて放浪するわけなんですが、それが自分のサウンドにも影響を与えているような気がします。これまでの音楽性を踏まえた上で、次に何がやりたいか、そのやりたいことと皆に受け入れてもらえるキャッチーさはどこにあるのか、それを試行錯誤しながら作ったのが「七転罵倒」でした。シンガーソングライターとして一発目というアルバムなので、ある意味名刺代わりの一枚だと思うんです。自由奔放な自分が、名刺代わりのこのアルバムを通じていつか花開くように、という意味を込めてこのタイトルにしました。

 

-一部ネットでは「ボカロ踏み台論」みたいなのも上がっていましたね。今アルバムについてお聞きしましたが改めてぴったりなタイトルだと確信しました。アートワークは、これまでもMVを手掛けてきたイラストレーターのみつきさなぎさんが担当されています。こちらの経緯とアートワークのコンセプトも教えてください。

 

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