もの久保(蟻塚)
Twitter : https://twitter.com/13033303
pixiv : https://www.pixiv.net/users/4545042
もの久保は日本のイラストレーター。風景画やもふもふな巨大な生物、ダークファンタジーを感じさせるイラストを手がけており、WEBサービス「ニコニコ静画」では「蟻塚」名義で活動。また、近年はTVアニメ『魔法少女 俺』全話のエンドカードを担当する他、巨大なもふもふ動物をテーマにした画集『Megalophilia』『メガシア異界譚』を刊行。SNS上でもの久保、あるいは蟻塚名義の彼の作品を目にしたユーザーも多いのでは無いだろうか。
そんなもの久保は、2020年3月19日に第三の作品集『Replicare』を小学館集英社プロダクションより刊行。本作はもの久保がこれまでに描き進めていた「続き物」シリーズが掲載された作品集。濃厚で禁忌的なダークファンタジーが美麗なイラストによって紡がれ、令和時代のマスターピースが完成した。
今回TOPPA!! 編集部は、もの久保に対してメールインタビューを実施。今まで語られる事の無かった過去やパーソナリティから掘り下げ、『Replicare』にまつわる逸話や近年の出来事について伺った。
文 / もの久保 編集 : 宮久保仁貴( https://twitter.com/hermanhalkemen )
-まずはTOPPA!!初登場ですので、もの久保様の自己紹介をお願いします。
もの久保 : ハンドルネームを「もの久保」、もしくは「蟻塚」といいます。2016年頃からイラストレーターとして活動を始めました。
今までにKADOKAWA様より二つの作品集(『Megalophilia』と『メガシア異界譚』)を出版していただいており、今回の『Replicare』(*小学館集英社プロダクションより刊行)で三冊目となります。
それ以外のお仕事ではTCGイラストやゲーム背景イラスト、書籍装画などを担当させていただいております。
▼Megalophilia : https://amzn.to/2Y5cvQt
▼メガシア異界譚 : https://amzn.to/3eR0YtX
-ありがとうございます。今まで、もの久保様のパーソナルな部分が語られる事が無かったように思います。この機会に生い立ちや幼少期・学生時代について教えてください。どのように過ごされたのでしょうか?
もの久保 : 私は静岡生まれです。自然に囲まれて、虫捕りや木登りをして育ちました。
幼少期から絵を描くのが好きで、小中高と、クラスに一人はいる「休み時間中いつも絵を描いているヤツ」でした。
ただ、好んでいたテーマがあまり明るいものではなかったので、担任教師に苦言を呈されることもありました。
学生時代のことで思い出せることはあまり多くありませんが、中学にも高校にも美術部がなく、大学時代にようやく美術部員になれました。
そこで刺激を受けていろいろ挑戦する気になったので、とてもよい経験でした。
-なるほど。ちなみに、初めて「絵」を意識した作品について教えていただけますか?
もの久保 : それは作品として仕上げることを意識した自作品ということでよろしいでしょうか。
だとするとおそらく、小学生の頃夏休みの宿題で描いたどうぶつの絵コンクールの絵かと思います。
何年生の頃何を描いたかは忘れましたが、長いこと参加して色々描きました。真っ白で大きな画用紙を前にしたワクワクだけはよく覚えています。
ただ、描いたものの思い出としてきちんと覚えていることが、絵を描くために動物園に連れて行ってもらってオオアリクイを描いたものの、どうしようもない出来で、入賞はなく、無駄足を踏まされた両親には小言をもらい、という……どうも悲しいことの方がよく記憶に残るようです。
他者の作品について言えば、月刊コロコロコミックに連載されていた「機獣新世紀ZOIDS」が初めです。ジークが初登場するシーンに心を奪われ、薄い紙を持ってきて、上からなぞって写しました。
-ZOIDS!懐かしい作品ですね。続いては、イラスト活動を生業にしようと思ったきっかけを教えてください。
もの久保 : イラストを仕事にすることは中学生の頃に志し始めました。単に絵を描くのが好きだったからです。
しかし自信がなく、美術科のある高校へも美大へも行くことはありませんでした。結局大学二年生の頃に登録したイラストレーター仲介サイトでお仕事をいただいて、一年で学費程度の稼ぎにはなったので、もう少し頑張ってやってみたらどうだろうかと思った次第です。
-そこから、今や三冊の作品集を刊行されるまで成長されました。ちなみに、ニコニコ静画では蟻塚名義で活動を行われています。こちらの名義分けの理由はどのようなものなのでしょうか?蟻塚名義経由でもの久保様の存在を知る方も多いと思います。
もの久保 : もともとのイラストレーターとしての名義が「蟻塚」で、twitterの交流用アカウントの名前が「久保」でした。ま行の予測変換を名前の前につけると云々というようなタグに乗ったときの名前(もの久保)が長らくそのままになっており、その状態でtwitter経由のお仕事を頂くようになった結果、第一名義として固定してしまった形です。同じハンドルネームの人間はいないようですし、覚えやすい名前かとも思いますので怪我の功名です。
-わかりました。さて、もの久保様の絵の特徴として、まるで絵画を思わせるかのような色彩美、ファンタジーをモチーフとした内容があげられるかと思います。これらの絵を手がける上で、普段どのような事を考えたり、どういった事から着想を得て創作活動に臨まれていらっしゃいますか?
もの久保 : ありがとうございます。
絵柄の面で言うと、私は海外のイラストレーターさんに影響を受けることが多いです。
特にPiotr Jabłońskiのイラストが好きで、質感をよく真似ています。
普段特に心がけて考えていることは特にありませんが、散歩をしたりネットサーフィンをしたりして脳内に蓄積されたものがたまによい形になって出てきます。
-また、巨大な生き物……それこそ猫や犬、鳥など様々なもふもふな動物達も特徴的です。こちらのイラストを手がけられる際、どのような物や事からアイデアを得られる事が多いですか?
もの久保 : 家で飼っている猫だったり、ネット上の動画だったり、写真だったり、外で見た様子だったり、いろいろです。
-ちなみに、もの久保様の中で一番好きな動物は何ですか?
もの久保 : 性格や手触りを含めた総合では猫で、見た目だけで言うと馬です。
おそらく、犬を飼っている人間は犬と答えるでしょう。私は猫を飼っています。
-もの久保様の頭の中を覗き込んでみたいです。いずれの作品も、「塗り」の技術に驚かされます。もの久保様の絵の技術のルーツはありますか?
もの久保 : ありがとうございます。
前述しましたが、絵柄や質感はPiotr Jabłońskiに影響を受けています。
また、描き方(画法と言うのでしょうか)はよー清水さんに強い影響を受けています。
よー清水さんの講座を見ることで、当初二週間から一ヶ月かかっていたイラストを長くても三日か四日で仕上げられるようになりました。本当に感謝しております。
-スピードに関して、凄まじい進歩をされたのですね。普段使用されている機材を教えてください。こだわりのものはありますか?
もの久保 : 機材はノートパソコンとWacomのCintiq13HD、ソフトはphotoshopCCを使用しています。
こだわりというものはないつもりですが、もう長いことこの機材とソフトを使っているので、これ以外のものでは描けないかもしれません。
-改めまして、この度は画集『Replicare {レプリカーレ}』発売おめでとうございます。活動初期から発表されてきた「続き物」シリーズが収録された本作ですが、改めて今回発売に至った経緯を教えてください。初期作品の構想から現在に至るまで、どれだけの時間をかけられたのでしょうか。
【『Replicare {レプリカーレ}』書籍情報】
著者:もの久保(蟻塚)
仕様:240×182mm・並製・160ページ・本文4C
定価:本体2,200円+税
発売日:2020年3月19日(木)
ISBN:978-4-7968-7796-1
発売元:小学館集英社プロダクション
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