蜂屋ななし インタビュー

蜂屋ななし インタビュー

蜂屋ななし:2パターンありまして、自ら作ろうと思って作る曲とふと降りてくる曲。基本、曲が降りてきていけるって作った時の方がみんなの評判が良いんですよね。

sasakure.UKさんと話してあるあるってなったのが、寝落ちしそうなタイミングに曲が降りてくる。良い曲の時って、メロとコード、歌詞が同時に浮かぶんですよね。僕の中で一番最強の時は、その全部頭がの中できているときですね。

 

-夢のなかって聞くとTHE BEATLESのPaul Mcartneyを彷彿とさせますね(笑)。夢から目覚めたら、覚えているもんなんですか?

 

蜂屋ななし:睡魔に勝てるメロディだと「これめっちゃいい」ってなって起きるんですよ。やばいと思ったら、苦しみながら起きてやる。これぐらいなら別にいいかなという曲なら寝てしまう。その場合は、次の日に絶対に忘れていますね。きっとそれまでのメロディだったので。

 

-忘れてしまった曲はその後思い出すことはないんですか?

 

蜂屋ななし:完全に忘れちゃいますね。感覚的に全てが出てきた曲は、普段思っていることやモヤモヤしていることが凝縮された曲なのでふわふわしてるものではなく、明確なものなので忘れないんですよね。

 

-出てきたイメージを明確にするにあたり、どういうツールでアウトプットしているんですか?

 

蜂屋ななし:出てきたものはコードほとんどができてるのでミックスをPRO TOOLSでRECしています。

曲のアイデア出しはSONARを使っていたんですけど、なくなっちゃって。Cubaseに移行しようかと思っているんですが、今はBandLabで羽休めしています。そこでメロとコードと打って、6時間くらいあれば、だいたい作曲はいけますね。ただ、編曲は地獄ですね(苦笑)。

 

-楽曲を聴いていると編曲に気を使われているイメージがあります。作詞についてはいかがですか?

 

蜂屋ななし:ぽろっと曲が出てきたものは、たいてい歌詞も含めてもう8割くらいできているんですよ。それを見直して少しリライトしたりしています。ただ1から詞を作ろうとするものは、1ヶ月くらい生活中ずっと考えています。

 

-曲を作るにあたり、詞合わせか、曲合わせかどちらのパターンが多いですか?

 

蜂屋ななし:同時に思い浮かんだ時はそこまで苦労しないです。基本的には曲先行で、そのサウンドが伝えたいとこえを詞をつけていく。詞が先に出ることはほとんどないですね。

 

-なるほど。蜂屋ななしさんの楽曲は所謂ギターロックを中心としてEDMやバロックポップなどの他要素を孕んだと感じました。そして何よりラウドにもポップネスにも振り切れる爽快さが魅力に感じます。

 

蜂屋ななし:BUMP OF CHICKENを聴くまでは洋楽を聴いて育ったんですよ。車のなかでEARTH WIND AND FIREやCELINE DIONE、ABBAなど流れていて。

ポップ調のストリングスとか打ち込みっぽいとことかそういうところで覚えたんですかね。あとはSTEVIE WONDERからの流れでJAMIROQUAIとかも聴いていました。

 

-そこの部分が今の音楽性に現れているんですね。意外でした。また、鳴らされている楽器それぞれが邪魔することなく綺麗に響き渡っている。ないしは立体的と感じる音響配置が施されていると思います。このようなデザイン性のある作曲スタイルはどのように身につけられたのでしょうか? 

 

蜂屋ななし:これはミックスで苦しみまくっている結果かもしれませんね。作曲が楽しくていろんなオーケストラバージョンだとこうだとか、副旋律を作っていて。

自分で言うのもアレですけど、もともとアンサンブルがしっかりしているのかなと思います。

 

-確かにアンサンブルは特に秀でていると思います。上記の質問と重複してしまうかもしれませんが、楽曲制作を行う際に心がけていることやリスナーにどのように届けようとしているのか考えていることがありましたら教えてください。

 

蜂屋ななし:楽曲に感情や思いをすべて入れようと心がけています。その感情や思いが具体的にどういうものなのかは、Twitterなどではさわりだけ触れておいて全ては言わずにいるんですが、でもその半面中々届かないことももどかしく感じているのも事実です。なので1~2割の人には届いてくれたらなーと思って曲を作っていますね。

本当に届いて欲しい人には自分のことではないと思うから届かないんだろうなと諦めつつ、でも届くようにひっかりある強い曲を作ろうと心掛けている。僕が歌詞書く時は明確に、こういうことをこういう人に言いたいっていうのがあって、このフレーズはこの層に向けて言っていることもあります。

ただやっぱり届かないんですよね。そもそもいじめをしてる人はわかっていればいじめをしないと思うので、さっきいったモヤモヤが圧縮された曲っていうのはそういうところなんだと思います。

 

-良い話が聴けました。また初音ミクやGUMI、v flowerなどを使用しておりますが、こちらの経緯についてや楽曲によって使い分けている理由もありましたらお願いいたします。

 

蜂屋ななし: キャラとかは特に考えてなくて声の質的に、ロックだとflowerだなとかで使い分けていますね。ただ最近はあんまりライブラリ関係なく、やっていった方が良いかなと思い始めてます。

曲に合うか合わないかで考えるようにしていて、完全に声質で使い分けていたらflowerが歌ったらこれだけど、ミクが歌ったらこうだよねとか。

 

-そうなんですね。曲を作る中で、自分で歌わずにボカロを選んだ理由は何かあるんですか?

 

蜂屋ななし:幼少期に歌声を家族に笑われた経験があって、恥ずかしい気持ちがあったんですけど、実はようやく最近自分でも歌おうと思っていまして。

最近自粛期間中にSNSで流行っていたハッシュタグの歌つなぎがまわってきて歌う機会が増えまして。それでみんなが「良い」と言ってくれたので、頑張って自分で歌ってみようと思い始めてます。

 

-今年に入りミニアルバム『空が落ちた日』とEP『ゾートロープ』を立て続けにリリースされました。これらについてお聞きします。まずは『空が落ちた日』について。こちらは「ノイローゼ」や「オペ」といった代表曲の再ミックスバージョンが収録されていますが、その経緯について教えてください。

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