蜂屋ななし インタビュー

蜂屋ななし インタビュー

蜂屋ななし : 本来はこのアルバムはセルフカバーをやる予定だったんですが、コロナの影響で時間が足らなくなってしまいまして。「ノイローゼ」や「オペ」を今自分がいる環境でミックスして、良い音を届けたいなと思って再ミックスして入れました。

 

-そうだったんですね。

 

蜂屋ななし:コミケに久しぶりに受かったり、ニコニコ超会議への出演も決まっていたんですよね。なのでそういったイベントにおいて、直接会ってちゃんと渡せるものを用意していこうと思って作りました。

それまでは手焼きだったんですけど、これはちゃんと作ったものだったので、サインも準備してたんですけどね(笑)。

 

-コロナの影響が…。直接人に渡せるものを考えて用意していたんですね。

 

蜂屋ななし:ちゃんと取っておいてもらえたり、部屋に飾れるものを意識しました。

 

-先月MVも公開された新曲「こころばなし」も収録されています。各パートにそれぞれアーティストやクリエイターを招聘しております。こちらの楽曲のコンセプトについて蜂屋ななしからお聞かせください。

 

 

蜂屋ななし:いろんな方をお呼びしたのは、ただの僕の趣味で。タイムラインで面白いと思った人がどういう演奏をしてくれるのかなと思って、こちらからその時の衝動でお声がけしました。いちファンとして一緒にやりたい人と作り上げました。

コンセプトは七夕ですね。「こころばなし」って”むかしばなし”っていうことばの遊びにもできるし、”心の話”であったり、”心が離れる”っていう意味、ダブルミーニングにも出来るのでこのタイトルにしました。

 

-言葉遊びでいうとTwitterでは歌詞についての解説もされていましたね。『いっそ僕らは7になって』七と七。『二人は割れなくて』七は割れない(別れない)『きっと二人は対になって、きっと代わりは何もなくて』ペア、七月七日。『きっと二人で割り切れて、きっと答えは一つになるだろう』7÷7=1。など。

 

 

蜂屋ななし : そういう言葉遊びがあることをファンの人に気づいてもらいたいなと思ってツイートしました。

今までの曲もいっぱい言葉遊びはしてたんですが、「こころばなし」については気付いてもらうのが難しいと思ったので尚更発信したくなったんです。

実はあえて言わないでおこうっていう歌詞もあって、今までの曲の歌詞にも発掘されてないものもたくさんあるんですよ。なので、他の曲のも探して欲しいですね。

 

-そこで『ゾートロープ』は歌詞カードを加えた復刻となったんですね。

 

蜂屋ななし:歌詞カードで発音だけじゃわからないところを実際の歌詞に書いていきました。近年サブスクリプションサービスもありますけど、歌詞カードの文化は絶対なくなって欲しくないと思いますね。

 

-本当にそうですね。続いて『ゾートロープ』の聴きどころを教えてください。

 

蜂屋ななし:これは全部ミクとGUMIでやっているんですけど、「短冊」っていう曲も強くてコードも凝っているのでゆっくり聴いて欲しいのですが、あとはもう歌詞カードとCDの中身を見て欲しいですね。

 

-ありがとうございます。話は変わりまして最近ではTHE BINARYのあかまるさん歌唱の楽曲「夜食」の楽曲提供も行っています。こちらは、シティ・ポップス風なサウンドであかまるさんの歌声も艶っぽく聴こえます。制作エピソードやこちらに至った経緯を教えてください。

 

関連 : THE BINARY インタビュー
https://toppamedia.com/interview-2020-7-the-binary/

 

蜂屋ななし:制作の時に「大人の恋愛、ひねくれものの恋愛を書いて欲しい」というお話があって。

今までの楽曲を聴いた感じ僕のイメージとして、あかまるさんの声が透き通っていて、大人っぽい感じであったんです。これまでは跳ねるような曲を歌っていたので、そうではなく地に足をつけた落ち着いた曲を描きたいと思ってやりました。

曲で聴かすよりは声を聴かす音楽を作ったほうがいいんじゃないかと思いまして。今回はボカロではないのでボカロじゃない素晴らしさってやぱり、声の美しさだと思うんですよ。そして自分の曲で、あかまるさんの声を汚したくないと思って作曲しました。

 

-では蜂屋さんにとっては挑戦でもあったんですね。作曲に苦労されたんですか?

 

蜂屋ななし:イメージが固まっていたので全然苦労しなかったですね。逆にそれしか思いつかなかったくらいです。THE BINARYについては前から存じ上げていたので。

 

-ちなみですが、蜂屋さんから見たTHE BINARYの印象も気になります。

 

蜂屋ななし:曲の印象が強いんですけど、曲を書いたあとにCDともに手紙も送ってくださって。すごくしっかりされた方だなーと。マメな方たちだなと思います。

 

-THE BINARYもそうですが最近は特にボカロPやバーチャルシンガーといったネット発のクリエイターたちがメジャーに進出して、ネット音楽シーンも活発化しています。蜂屋ななしさんから見て感じることがありましたら教えてください。

 

蜂屋ななし:みんな楽しくやっていて良いなと。自分は北海道出身なので。自分はシーンにいる感覚はなくて、本州の人たち活発やねーみたいな感じです(笑)。

 

-(笑)。自身が入っているというよりは、外から見ているイメージ?

 

蜂屋ななし:みんながやっていることを外から望遠鏡でのぞいているみたいな。

そして、僕がいる孤島にたまに便箋が届くイメージがある感じです。僕は僕で好きな事をやっているから、みんなも好きなことやって良いね!みたいな感覚です。

 

-また、その中で今後コラボしてみたいアーティストはいますか? その理由も教えてください。

 

蜂屋ななし:こないだ友達の煮ル果実くんと音楽を作ったんですけど、遊びの延長線上というか。コラボというよりは、まぁコラボなんですけど(笑)。

なので誰かとコラボしたいうよりは実際に会わなくてもネット上で喋ったり、ゲームしたり、仲良くなった人とその延長線上でやっていければと思っています。

 

-なるほど。これまで活動してきて楽しかったことや辛かったこと、印象に残っていることなどありますか?

 

蜂屋ななし : 改めて初めて作った曲を投稿した時なんですけど、みんなを不快にさせてやろうと投稿したんです。

でもその曲についたコメントが、「私この曲好き!」っていうコメントだったんです。びっくりしちゃって僕。悪意を持って殴りかかったら善意のラリアット、カウンターを食らっちゃって。じゃあ、僕も善意のカウンターを食らわしてやろうみたいな感じで今までやってきました。まだそのサイクルが続いていて、ずっと楽しくやっています。

逆に楽しくはやってきたんですけど、最近やっとやりたい音楽や表現の実力がついてきて、ちょっとは作曲に詳しくなったんです。

そこで今までセーブしていた事も見えてきて。僕のスタートが最悪なスタートだったんで、その時に囚われていたことも見えてきたんですよね。

例えばマイナスな時の気持ちだったり、諸々の環境だったりトラウマだったり。そういう自分の中のモヤモヤを断ち切って、自分がセーブしていたところを一回リセットしようと思っています。顔を出さなかったり、自分で歌わなかったりとか、これが今まで諸々の理由でセーブしていたんですけど、これを振り切って変わるべき時期なんだろうなーと思っています。

 

 

-新しい気持ちが芽生えてきたんですね。

 

蜂屋ななし:すごい急なのですがそういうのを一回過去の囚われているものからの決別も必要かなーと。

 

-なんだか新しい動きもでてきそうですね。そんな蜂屋ななしさんにとってボカロとはどのようなものですか?

    Comments are closed, but trackbacks and pingbacks are open.