SLOTHREAT インタビュー 第2弾

SLOTHREAT インタビュー 第2弾

克哉 : とにかく、月並みな言い方ですが昨今は同じようなヘヴィミュージックばかりで溢れているなという思いはあって。

フルアルバムなので、自分の音楽偏差値をしっかりと全ベクトルで見せられる良い機会でした。やはり今回にしてもキーワードは矛盾の両立というところなんですよ。SLOTHREATを作る上での僕の中にある統一している概念を封じていない上で、別のものをいくつもり広げていきました。楽曲同士のちょっとしたアプローチの細かい部分の被りも極限まで撤廃して、ただもちろん芯は感じるように、というところなんですよね。

あと、切り口が今までとは違うところが多々あります。「氷面鏡」が一番分かりやすいかなと思うんですけど、僕まだ一度も使ったことがないビートを取り入れたりしているんですよね。それと、大体じわじわ曲が始まったらひとしきりした後にイントロとかで爆発するんですけど、この曲はなるべく後まで爆発しないように作ろうと思ったんです。ゆったり始まってじわじわ展開するというか、0か100の緩急じゃなくて、1から2になって3から4という感じで展開して行き、サビの後も今までにない流れにしたりしてます。

 

-確かに、これまで発表された楽曲とは違った印象を受けました。

 

克哉 : そして、全体の話では、意図してるところもしてないところもあるんですけど、ブレイクダウンがほぼ無いんですよ。ヘヴィミュージックたらしめるステレオタイプな要素を減らした上でヘヴィミュージックをやろうと思って。形式的なものでヘヴィとかラウドさを表現するんじゃなくて、もっと漠然としたもので形を象って作ろうと、漠然と作ったものが多かったかなとは思いますね。形式張ったことをせずとも、深い部分でソレを表現し形にする事がクリエイティヴィティの見せ所、クリエイターとして有能か無能かが現れる部分だとも僕は思うので。

トータルで見ても自分の中で新しいんじゃないかなと。今までには出てこなかった要素があり、全てにおいてまとまっていて新しいと思います。

ぶっちゃけた話をすると、今までの音楽人生で周りから、「やってることが高次元過ぎてそれじゃ伝わらないよ。」とか、「先に行きすぎてリスナーがついてこられないよ。」とか、「今の時代もっと国内の流行の感じが濃い分かりやすいのしかウケない。」とか、よく言われてきたんですよね。でも昨今の自分の思考の流れだと、最早それも極めてしまえば良いんじゃないかと。ある意味貶されているようなわれ方ですけど、シンプルに見るとそれが僕の音楽的なチャームポイントじゃないですか。周りより先を行ってるとか、ハイクオリティ過ぎるとか。だったらそれを極めようと思って。全てを極限まで突き詰めて1にしました。「1を聞いたら10が出てきた。」というのは本当にそうだろうなと思います。とにかく自分が持ちうる全てと向き合って極めて、それが新しい概念を生むというか。自分にしか思い浮かばないこと、自分がよく考えていることとか、自分が出来ることの構築のバランス、それを極限まで極めたらこうなったという感じですね。

 

孝哉 : SLOTHREATの音楽は極限までキャッチーであるということが大事なんですよね。曲をあまり音楽に興味がない人に聴かせると、そういう人たちはみんないい意味で耳馴染みが良く普通の音楽に感じるらしいんですよ。「ギターとかすごくてメタルっぽいけど普通にキャッチーな音楽だよね。」みたいな。以前に音楽とは全く関係ない知り合いに、「もっと派手なことした方がいいんじゃない?」とも言われたことがあって、いやいやすごい派手なことやってるけど、むしろそれがあなたに伝わらなかったんだったらある意味それは我々の勝ちだよ、という話なんですよね。

 

-二軸のリスナーにアプローチが出来る、と。

 

克哉 : 殺人鬼が普通に街を歩いているような感じだよね(笑)。かなり危険な表現だけど(笑)。

 

孝哉 : 普通は、この人って危なそうだなとかヤンチャなんだなって大体見た目でなんとなくは分かることが多いじゃないですか。でも俺らは、比喩すると空港の手荷物検査とかで、危険物をたくさん詰めてるのに普通に通れちゃってそのまま搭乗してるというような感じなんですよ。不謹慎っぽい言い方なので言いたくないんですが今はこの例えしか思いつきません(笑)。

 

KAZ : パンチラインすぎるでしょ(笑)。

 

一同 : (笑)。

 

克哉 : コアリスナーにはコア要素が伝わるけど、ライトリスナーには表層だけでも聴いてもらえるような音楽なんですよ。これはたぶん俺らにしかできないことですね。

 

孝哉 : 大金持ちだけど服装とかでは一見だと分からない、とかみたいなのともまた近いような……。

 

克哉 : 自分はヤバいんだぞって主張してないけど実は一番ヤバイ、みたいな。

 

KAZ : キャッチーさでいうと、メロディ前回よりもさらにキャッチーになってるし。今までで一番練った

 

孝哉 : あと、結構大きな枠で見ると、再録「Daybreak」、「What are we for?」からの「LIVE FREELY」がすごく新機軸ですね。今回ブレイクダウンはほとんどないんですけど、「What are we for?」はSE・ブレイクダウンだと思ってるんですよ。

というのは、『Allium』だとSEってシンセ系の音色というか、演奏しないものだったんですけど、今度は演奏をするインタールード的なものを入れたいと思ってたんです。もともとは2曲目の「ILLUMINATE」の前にSEが入るはずだったんですけどそれはやめて、「LIVE FREELY」が1曲だけ他と全然違う曲調なので、それの前にSEを入れようとなり、ああいうものを作るしかないなという話になりました。

 

克哉 : 孝哉にSEを作ってくれと頼んで。イメージをすべて共有してあとは任せたという感じで。

 

孝哉 : 結果、ブレイクダウン的な感じに仕上げました。

 

克哉 : なぜSEを入れようと思ったかというと、僕らの曲って基本的に大体マイナーキーなんですけど、「LIVE FREELY」はその辺がひと味違うんですよね、Aメロからカノン進行だったりとか。だから絶対に完璧に溶け込ませたかったのもあって、SEを挟んだ上で、「Daybreak」とSEの入りの間調の前後関係をさらに強固にする変換のつなぎも意識したりしてます。

 

孝哉 : そこはよく考えたというか、その変換のつなぎはそもそもSEのトラック含ませようかと言ってたんですけど、二人で作りつつ話した結果、これは『THEMIS』における「Daybreak」だってことだからこうした方がいいんじゃないかという結論に着地して、ああいう感じになりました。これはメンバーにも何も言わずにしれっと入れました、マスター聴いた時に驚かせたかったので(笑)。

 

克哉 :  その辺SHINYAが真っ先に気付いて言ってきたね(笑)。

 

SHINYA:そう、これに気付いた時は驚いて、聴いたらブチ上がりましたね(笑)。

 

KAZ : 先に気付きたかったな。 気付いた時には先にSHINYAに言われてたから悔しくて言えなかった(笑)。

 

孝哉 : この他、俺的には、リードソングである「ILLUMINATE」とかも大分好きなんですけど、マスター仕上がった時にリスナー的目線というかテンション的な意味でぶち上がったのは「Face It」だったりするんですよね。まあ、「Deceive & Leave」とかもそうなんですけど。でも「Face It」は特に、例えば前作とかだと「sin of pride」とかがあったんですけど、死角をなくすためのピースの1つだと思っているんです。「Face It」はここ数年ぐらいのトレンドのリフの使いをしてて、「ILLUMINATE」も間奏とかでそういうアプローチはしてるんですけど、「Face It」が一番分かりやすい感じかなと。マスターをチェックした時にすごく音圧も詰められていて、シンプルにかっこよくて、アグレッションの強い曲だなと思いましたね。

あと再録系だと、「軀謳」とかは今回初めて聴く人も多いと思うんですけど、基軸としては一定のノリの曲じゃないですか。お洒落な質感でチューニングが低く、ギターのセッティングとかも大分変えてるんですけど、音もザクザクで。そこに昭和歌謡的なアプローチや、ギターソロが入ってるのもSLOTHREATの曲を一気に聴いた時に、ひとつ箸休め的なポジションになる曲かと思いますね。もともとギターソロを入れる予定はなかったんですけど、克哉に「ソロを入れたらメリハリもつくと思うから入れてみたい。」と言って、ギターソロ用にセクションを空けてもらって、そこに乗せてみたらすごくハマったんです。一定だったノリの曲にひとつ緩急がついたみたいな。自分自身はもともと高校くらいまでは練習で難しめのギターソロ弾いたりとか楽しんでやってたタイプなんですけど、でも自分たちの作品として何か作る上ではテクニック披露大会みたいに弾きまくるのはあまり好きじゃなくて。その中でも、こいつたぶんもう少しは弾けるんだろうなというような予想ができる仕上がりというかバランスにしたつもりです。結果的に流れにもすごくハマって良かったし、曲の立ち位置もより確立されたのかなと思います。

 

克哉 : 「軀謳」は結構モダンだと思ってます。ラウドミュージック的にモダンというよりは、昨今のシティポップっぽい感じもあるので、ああいうのができるヘヴィロックのバンドって限られるというか、ここまでチューニングを下げてあのような曲をやってるバンドってもはやいないと思うんですよね。

 

孝哉 : やろうとしてるバンドは勿論いるかもしれないけど。ドラムもゴスペルチョップやってたりしてかっこいいんだよね。

 

SHINYA : ギターソロのセクションで言うとビートにライドのカップを8分裏で入れたりしました。フュージョン的な良い意味でのクサさだったりとか、さっきシティポップって言ってましたけどそれこそVaporwaveとか、数年前からリバイバルで山下達郎さんを始めとする80’s〜90’s初期のポップスが流行ってたりするので、そういう空気感も伝わるようなお洒落なアプローチができたらと思って。それに加えてゴスペルチョップっぽいフレーズだったり、ヘヴィなバンドではあまりやっていなさそうな感じのフレーズ考えたりしましたね。

 

-温故知新・またその逆も然りと言うべきか、SLOTHREATの音楽を語るにあたり、更に良い意味で一辺倒な切り口だけでは語りきれなくなりましたね。続きまして、改めて今回は過去再録曲もあるとは言え、フルアルバムになります。制作時の裏話はありますか?

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