礎-ishizue 店長CUBE氏 インタビュー

礎-ishizue 店長CUBE氏 インタビュー

礎-ishizue 店長 CUBE

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人々は、新しい音楽と出会う為にどのような手段を取っているのだろうか?

現在だと、スピードを求める人は月額配信系アプリを使用したり、はたまたアナログなLPでゆっくり音楽を楽しんだり、あるいはフィジカルな経験を求めてライブに行ったり……ひとえに音楽と言っても、その聴取方法は多岐にわたる。

そんな中、大阪のアメリカ村近辺は、各種様々なジャンルのレコードショップが立ち並んでおり、音楽マニアにとっては楽園のようなスポットなのだ。

今回は、国内外問わず、ハードコア・エモ・スクリーモ・パンクなど良質なラウドミュージックのCD・各種グッズを取り扱い、関西ラウドシーンをアメリカ村から発信し続けているショップ、”礎-ishizue”店長 CUBE氏に対して、一音楽業界人として業界に入ったきっかけや個人的なルーツ、これからのシーンの動向などについて、メールインタビューを試みた。

文 / CUBE  編集 / 宮久保 仁貴  写真 / TAKA@tictac-works

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 -CUBE様の現在に到るまでの経歴(生い立ち~現在礎の業務に携わるまで)を教えて下さい

CUBE : 僕は1982年生まれで大阪府出身です。「CUBE」という名前は、懐かしのmixi時代に映画の[CUBE]が好きだったところから付けたんですが、まさかその後ずっとその名前を使い続けることになるとは…。今は完全に本名よりこっちが浸透してますね(笑)。

小、中、高は大阪府内の学校に通い、大学は奈良の天理大学出身です。(これが後に礎で働き始めてから同大学出身者などにつながるとはこの時には微塵も思っていませんでした(笑)。)

大学卒業時は自分のやりたいことがわからず、元々映画が好きだったこともあり某大手レンタルショップでスタッフとして働くことになりました。そこで同じ担当になった先輩スタッフが最初「怖い人」だと思っていたんですが、その人が音楽好きだったので話のきっかけにと音楽のことを色々教えてもらうようになったことで、個人として本格的に音楽に興味を持ち始めました。それまでも音楽を聴いていたりはしましたが、現在のようなラウドなバンド達よりは、海外のロックやボーイズグループ系、J-POP等がメインでした。

その先輩がDJをやっていたミクスチャー/ラウド系のロックDJイベント「BUMP AROUND」に誘われて遊びに行ったことが、その後の自分の音楽人生にとってもかなりの大きなポイントになっています。それまで未知の世界だったクラブイベントに出会い、スポットを浴びながら楽しそうに音楽を流しているステージ上のDJたち、その音を感じ笑顔で身体を動かしているフロアのお客さん達を見て、僕自身もドキドキしながらも、つられて笑顔になり「めっちゃ楽しそうだなぁ」と感じていた思い出は今でも覚えています。その後はそのイベントにスタッフとしても関わらせてもらうようになりました。

2008年、TRIPLE VISON主催で開催された現在のSCREAM OUT FESTの前身となるALESANA / THE BLACKOUTのジャパンツアー「SCREAM OUT IN THE EAST」のアフターパーティーで、その先輩と、もう1人エモ/スクリーモ系のDJとして関西では名前が知られていた友人がDJを担当することになり、それがキッカケで「MY ROMANCES END」というエモ/スクリーモに特化したDJイベントが誕生しました。そして、そこに自分もDJとして参加させてもらうことになります。元々は人前で何かをすることが苦手だったんですが、MREでDJをする話をもらったときは「やりたい!」と思ったのも、今思い返すと不思議な話ですね(笑)。MREでは有難いことに、PIERCE THE VEIL/CONFIDE/BURY TOMORROW来日時の大阪公演での転換DJなども経験させてもらいました。

その当時、まだ盛んだった大阪・アメ村のクラブイベントシーンで音楽をきっかけに様々な人と出会い、自分でも音源を探したりするのが楽しくなってレコード/CDショップへも通うようになったのが礎との出会いです。海外から輸入しないと買えないと思っていた商品が店頭にあった時の、あの喜び、現在の礎オーナーでもある久保さんにオススメしてもらいながら音源を買う楽しさをそこで教えてもらいました。

レンタルショップでの仕事を続けながら、音源を買いDJも定期的にやりという生活で数年が経ち、一旦は営業職として会社勤めをするものの、やはり音楽に関わる仕事がしたいという想いが自分の中にありました。考えた末に、自分がお世話になっていた場所でもあり、音楽に触れる楽しさを教えてもらった礎で働かせてもらえないか、と動いたところから、現在に至ります。

 

-CUBE様のこれまで聴かれてきた音楽的なルーツを教えて下さい

CUBE : 中学、高校は90年代J-POP全盛期で、周りがほぼそういう感じだったので自分も同じように聴いていましたし、音楽番組も観ていました。そんな中で、中学時代に1人だけメタルを聴いてる友人がいて、その子に勧められるがままに買ったCDがIMPELLITTERIの『Screaming Symphony』でした。もしかすると洋楽に一番最初に触れたのはそこかもしれません。当時はメタルとかよくわかっていなかったので、「なんかすごいな、これ…!!」ぐらいの印象でしたが(笑)。あとは兄が持っていたHi-STANDARDのAngry FistやMaking The Roadを、こっそり聴いたりしていました。(当時、兄とはあまり仲が良くなくて…笑)

その後はMR.BIGを聴いたり、Jamiroquaiを聴いたり、Back Street Boysを聴いたりと、どこかで触れて自分の耳に残っていたものをかいつまんで聴いていたようなかんじです。一瞬Jazz系のCDを買ったりした時期もあったのですが、その辺りは今のDANCE GAVIN DANCE等に代表されるプログレッシヴなポストハードコアを好きになるベースを作ってくれていたのかもしれませんね。総じて、メロディがキレイだったり、キャッチーさがあるものが好きでした。

 

現在のエモ/スクリーモが好きになったルーツは、FALL OUT BOYとTHE USEDにハマったことが大きいと思います。FOBはポップパンクですが。でも、彼らの代表曲「Dance, Dance」と「Sugar, We’re Goin Down」に関しては、本当にこの曲達がなかったら洋楽にドップリ浸かっていないんじゃないかと思うぐらい影響が大きいです。あとはTHE USEDの「Take It Away」ですね。

そして、本格的にスクリーモにハマっていくのはA SKYLIT DRIVEやALESANAが出てき始めた2006~07年辺りの事でした。当時はmyspaceで知らないバンドをどんどん辿っていって、気づいたら何時間も経っていた、という事がよくありました。それから、やっぱり衝撃的だったのはATTACK ATTACK!の登場ですね。それを境に、一気にシーンの色が変わったと思うし、彼らがいなかったら、きっと今のエモ/スクリーモ/ラウドシーンは違ったものになっていたはずなので。

 

実は、個人的には最初の頃はあまり激しい音が聴けなかったんです。そういうのを聴けるようにしてくれたのはSLIPKNOTや、ALL THAT REMAINSの「This Calling」の存在でした。そこからメタルコアやデスコア系も聴くようになっていきましたし、ハードコアやビートダウン系は礎で働きながら聴いていったり、教えてもらう中でそれぞれの良さをわかるようになりました。今では、国内外含めてハードコア/ビートダウンも好きで聴いてますし、ルーツでもあるエモ/スクリーモは、変わらず、ずっと好きでいます。

あとは、関わっていたDJイベント「BUMP AROUND」でミクスチャーやラップコア、ニューメタル、ヘヴィネス、ポップパンクなんかをよく聴いていたので、自然と好きなバンドも増えていって、現在のポストハードコア/メタルコアバンドのニューメタル,ミクスチャーリヴァイヴァル的な流れは懐かしさと新鮮さの両方を楽しめています。

 

先日開催されたYOUNG BLOOD Vol.1の手応え、バンドのチョイスについて教えて下さい

CUBE : YOUNG BLOODのことについても触れていただいて有難うございます。2017年10月14日に私CUBEの初主催企画として「YOUNG BLOOD vol.1」を心斎橋HOKAGEにて開催させていただきました。

この企画は、今現在の大阪のラウドシーンを若い世代からも盛り上げていきたい・若手のバンドをピックアップしていける場所を作りたい・これからバンド活動をしようと思ってもらうキッカケ作りの一端になりたいという想いで立ち上げました。

大阪からはAlerion、SUGGESTIONS、Roar、DEVIL’S INLAYの4バンド、府外からはRuns In Bone Marrow、Concealments、Demo’n’Actualの3バンドの合計7バンドの若いバンドに出演をお願いしました。会場のHOKAGEはステージのない、フラットなフロアライブということもあり、普段はあまりその感じで観る事が出来ないバンド、観る事が出来たら面白いだろうな、と思うバンド、そしてその雰囲気がカチッとハマるバンドという所でのチョイスでした。

1バンド目からトリまで、かなり熱量のこもったライブをしてくれていたんじゃないかなと思っています。HOKAGEが初めてだったバンドも実際いたんですが、お客さんとの距離感を楽しんでくれていましたし、お客さん側も、より一層アーティストとの距離感が近いライブを楽しんでもらえていたんじゃないかと思います。

1回目を終えて感じた事は、若いバンドがそれぞれに競い合える場所があった方が良いし、それをシーンのお客さん達に観てもらえる事って、とても大事だなと感じました。先輩バンドの背中を追いかけると共に、若い同世代が切磋琢磨しながら、盛り上がりの底上げが出来ればと思います。そして、それを観ている下の世代や、まだバンドを始めていない子に対して、何かのキッカケになれれば良いな、とも思います。

 

大阪のラウド・パンク・ハードコアシーンで勢いのあるバンドや、今後のシーンの動向について教えて下さい

CUBE : 大阪のラウドシーンはLast Day Dreamが牽引、ハードコアシーンではTIGERがかなり全国的に飛び回って活躍してくれていますね。あとは先日のイベントでRoarはライブでの惹きつける力がやっぱり強いなと再認識させられたり、そこより下の世代で精力的に活動しているなという印象のあるバンドは、自分の企画にも出てもらったDEVIL’S INLAYやSUGGESTIONS、Alerion、他にはBetrayer Death Penalty、Cruel Parasite Eve、HAZARD、EYE HAVE YOU等の若手バンド達ですね。関西圏の同世代では、先に全国へと飛び出したBreathe my Wordsや、TRIPLE VISIONからリリースされた国内コンピレーション「BRAT PACK 2017」に参加しているSkygraphなどは頑張って欲しいな、と思っています。この辺りは同世代という事もあって、バンド同士の繋がりも強く、互いに高めあいながら活動している印象が強いです。

 

今後のシーンの動向だと、ここ数年はデスコア系バンドの台頭などもあり、エクストリームなサウンドや激しめな音を押し出したバンドが人気ですよね。その先にはどういったムーヴメントが来るのか……トレンドを読み解くのは難しいですね。ただ、現在の海外のトレンドは90’sだったり、00年代のニューメタル/ミクスチャーサウンドのリヴァイヴァル的な流れがあったりしますが、日本でも少しそういうバンドが出始めていますね。例えば、東京のPRAISEとか。時代は回るじゃないですけど、日本でももっとその流れが広がると、また違ったタイプのバンドが出てきたりして、面白いのかもしれません。

あとは、個人的な気持ちとしてはメロディラインが強みのバンドが少し増えてほしいなというところはあります。Survive Said The Prophetや、少しタイプは違いますが、埼玉は越谷のAzamiのメロディの使い方も絶妙ですよね。日本人の琴線を刺激するというか。日本人だからこそ出来るメロディの表現がラウドなシーンと交わってくると良いな、と思います。

 

これからシーンに何か貢献したい、仕事として携わりたいと考えているキッズにメッセージをどうぞ

CUBE : 自分もまだまだ全然なんですが、「音楽を聴く」ってやっぱり大事な事だな、と思います。ジャンルにあまりこだわらずに、自分の耳で聴いて良いなと思えるのって大切ですよね。今の時代、自分で聴く前にどこかしらのサイトで批評が見えたり、SNSで感想が流れてきたり。それが原因で、バイアスがかかって純粋に聴けないのっていうのは、勿体無いんじゃないかなって個人的に思います。だから、そういうしがらみを抜きにして聴いてみて、それでも合わなかったら仕方ないと思います。でも、聴いてみて、「めっちゃかっこいい!」とか「思ってたより好きな感じ!」とか、新たなアーティストに出会えたらラッキーでしょう、と思います。

あとは、CDを売ってる立場だから言っているんじゃ、と思われるかもしれないですが、音源はやはりフィジカルで買うのが良いなという気持ちはずっと抱いてます。ストリーミングサービスも当たり前になってきて、あれが便利なのも正直わかるんです。でも、せめて好きなバンドの音源は手元に持っていて欲しいな、と思います。月並みな言い方になりますが、音源を買って家に帰って封を開けて、ジャケットのデザインやカードの中身、盤面のデザイン、裏ジャケットのデザインなどを一通り確認して、小さな発見とかもしながら、プレイヤーで再生してトータルで楽しむ一連の流れはデジタルには絶対味わえないと思ってます!バンドマンは、特に自分達が音源を作るときの参考にも出来ると思います。

そういう楽しさも含めて、お店では色々と話をしながら、「音源を買う」以上の何かを持って帰ってもらえれば、非常に嬉しいですね!

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