黒沢ダイスケ インタビュー

黒沢ダイスケ インタビュー

黒沢ダイスケ (読み方 : くろさわだいすけ)
HP : http://kuro-music.com/
Twitter : https://twitter.com/kuro_96chang
YouTube : https://www.youtube.com/user/kidokyomei

皆さんは普段音楽ゲームはプレイされるだろうか?据え置きタイプやゲームセンターの筐体タイプ等様々形態やソフトがあるが、その中でも『BEMANI』の存在をご存知の読者も多いのでは無いだろうか。この音楽ゲームを語る上で、黒沢ダイスケ氏の事は外せない。

黒沢氏は1983年生まれのコンポーザー・ギタリスト。彼は2003年DREAM THEATER主催のSongwriting Contestで自作曲「D.N.A.」にて2位を受賞した事をきっかけに、プロギタリスト、そしてコンポーザーとしての道を歩み始めた。その後、2006年から2017年96(クロ)名義にてゲーム音楽作曲家としてKONAMIに在籍し、その間BEMANIシリーズの作編曲やTVアニメ『おそ松さん』のOP「はなまるぴっぴはよいこだけ」やTVアニメ『BORUTO-ボルト-』ED曲「デンシンダマシイ」の編曲を担当する等、マルチスキルを発揮している。

そんな黒沢氏は、2018年8月8日に5年ぶりの2ndソロアルバム『BLACK ALBUM 2』をリリースする。本作は彼のゲーム音楽キャリアにおいて欠かせない珠玉の名曲達がブラッシュアップされて収録されている。

今回、『BLACK ALBUM 2』をリリースする黒沢氏に対し、改めて彼の音楽的ルーツや本作の聴きどころ、彼自身の音楽観等を聞くべく、メールインタビューにて話を伺った。

文 / 黒沢ダイスケ   編集 / 宮久保仁貴


 

-TOPPA!!初登場という事で、改めまして黒沢様の自己紹介をお願い致します。

 

黒沢 : コンポーザー・ギタリストの黒沢ダイスケと申します。2006〜2017まで11年間ゲーム会社のKONAMIでお仕事をさせていただき、入社から一貫して主に音楽ゲームの楽曲制作を担当しておりました。今回のアルバムのようなプログレギターインストのような音楽を得意としておりますが、元々J-POPが好きなので歌物も作るのは好きです。近年ですと、2015年のTVアニメ「おそ松さん」の初代OP曲「はなまるぴっぴはよいこだけ」の作曲を担当しました。

 

それでは、今回改めまして黒沢様の音楽的ルーツを教えて下さい。

 

黒沢 : 元々はJ-POPが好きで、初めて買ったCDはシャ乱Qです。中学3年間アメリカに在住しており、何か習い事をしたいと思い始めたのがギターなので、特定のギターヒーローに憧れて、というパターンではありませんでした。

また、元々ものを作ること全般とパソコンや機械が好きだったので、パソコンで音楽を作るという事も中学時代から始めていました。その後純粋に技術を磨くために、より難しい練習曲を、という流れで必然的にDREAM THEATERに行き着きました。2003年にDREAM THEATERが主催する公式作曲コンテストに応募し、自作曲「D.N.A.」にて2位を受賞しました。その後色々チャンスが広がりましたので、DREAM THEATERは自分の人生にとって今後も絶対的に外せない存在です。

 

この度はソロアルバム『BLACK ALBUM 2』のリリースおめでとうございます!本作は前作から5年ぶりのリリースとなりますね。今回のリリースのきっかけを教えて下さい。


【リリース情報】

【タイトル】
『BLACK ALBUM 2』

 【発売日】
2018/8/8
Amazon 予約URL : http://amzn.asia/asvfeSJ

【価格】
2,800円(※税抜)

【収録曲】
1.INSPION
2.From Hell to Breakfast
3.R.I.
4.Agartha
5.El Nino
6.Phantom Razor
7.Yakudoshi
8.La Nina
9.Dragon Burst
10.Spiral Waves
11.D.N.A. (Revisited 2018)


 

黒沢 : 2017年に独立してから、まず一つの目標として、”自分の裁量でアルバムをリリースする”、という事を掲げてきました。ゲームへの提供曲の公開タイミング等の都合上、1年以上かかってしまいましたが、ようやく正式に発表することが出来ました。「INSPION」を作ってから……と数えると1年以上ですが、その間別のお仕事があったのでその合間を縫いつつ少しずつ進めていました。ジャケのやりとりなど本格的に始めたのは3月あたりからです。

 

本作は「D.N.A.」の再録が収録される等、ファン垂涎の名曲達が収録されていらっしゃいますね。本作の聴きどころを黒沢様視点で語って下さい。また、選曲の基準はございますか?

 

黒沢 : まずは音楽ゲームに収録して頂いている「INSPION」、「R.I.」、「Phantom Razor」を是非聴いてほしいですね!また、今回は今までライブでたくさん演奏してきたオリジナル曲を初音源化した事もキーポイントだと考えています。

選曲基準に関しては、「D.N.A.」は前述のDream Theater作曲コンテスト2位受賞の曲で、これはい自分のターニングポイントになった曲なので収録しました。その他の曲は、ライブで演奏していた頻度が高めの曲をチョイスしています。

 

本作は大和氏やむらたたむ女史等、数多くのテクニカルミュージシャンが参加されていらっしゃいますね。各人をお選びになられたきっかけを教えて下さい。

 

黒沢 : ゲーム収録のリード曲は明確にこの人とやりたい、というのがあり、依頼させて頂きました。その他の曲に関しては、細かいアレンジなどがライブで構築、更新されていった感もあるので、その曲をライブで演奏しているいつものメンバーを中心にご依頼しています。

 

普段の練習の話に変わりまして、黒沢様がアドリブの引き出しを増やされる上で、どのような練習方法を行われたのでしょうか?

 

黒沢 : 全体を見ると、自分はさほどアドリブ得意ではない方かと思うのですが、そのジャンルそれぞれの定番フレーズ(リック)というのはあるかと思います。そういったものを研究して、断片的に集め、自分なりにつなぎ合わせるというのを繰り返していくと、いつしか自分のオリジナリティのあるアドリブフレーズになるのではないかと思います。

 

黒沢様の作風はプログレッシヴな作風が特徴的ですが、プログレテイストを出す為に、工夫されていらっしゃる点はございますか?

 

黒沢 : 「70年代以降全くプログレス(進化)しない音楽がプログレである」という自虐ネタもあるように(笑)、もはや単なるジャンル名で、本来の「前衛的」という意味合いはあまりないのですが、これも前述同様、それぞれのジャンルの特徴となっているパーツを掴む事が重要かと思います。リズムパターンだったりコード進行だったり、そういった「あるある成分」をしっかり研究して、抽出して、さらにそれを自分のテイストで割る、というのが大事かなと思っています。

 

曲中に出てくる変拍子は、普段どの様にして生み出されていらっしゃるのでしょうか?

 

黒沢 : 変拍子も無作為に入れると本当にただの「変な拍子」になってしまうので、その変拍子固有のリズムパターンをしっかりと作り、「ノれる変拍子」を作ることが大事だと思います。一番基礎的な手法としては4/4や6/8といった普通のパターンから足し算引き算する事です。あとは、ある程度同じパターンをループさせて「ここは7ですよ。」とわかりやすくしてあげるのも「ノれる変拍子」にする手法のひとつです。

 

黒沢様は特徴的なギター(※Kiesel)を使用されていらっしゃいますが、ギターを選ぶ際、重視している点をお教え下さい。

 

黒沢 : まずは最低限の求める機能、フレット数やピックアップの配置などを満たしていれば、ますはルックス重視で、そこに改造、改良を加えていくのが良いと思います。その点では、Kieselのギターが今一番気に入っています。

 

黒沢様はコンポーザーとして多数曲を作り提供する反面,やはりプレイヤーである「ギタリスト」としての黒沢様の熱狂的なファンも多いかと思います。普段「プレイ」するという点において、こだわりの点はございますか?

 

黒沢 : 自分は”たまたま一番得意な楽器がギターだった”という感じなので、実は世の中の化け物クラスの超絶ギタリスト達ほどこだわりはないんです。強いて言えば、”極力楽しんでプレイする”事でしょうか。ライブでは楽しんでプレイする事で、お客さんに感動が伝播すると思いますし、練習では楽しんで取り組んだ方が伸び率が圧倒的に上がると思います。

 

話は変わりますが、最近黒沢様が触れた中で感銘を受けた方を教えて下さい。

 

黒沢 : ARCH ECHO、INTERVALSあたりのFusion+Djent的なアーティストです。国内だとこれはお世辞抜きに今回ゲスト参加いただいた大和さんです。ギターテク、作編曲スキル、ミックススキル等々、総合力で国内ナンバーワンだと思っています。

 

 

 

 

黒沢様が今まで活動されて来た中で、一番印象深かった出来事を教えて下さい。

 

黒沢 : 2011年にファンタジーロックフェス@CLUB CITTAにて、植松伸夫さん、桜庭統さん、遊佐未森さんと共演させて頂いた事ですね。ちょうど震災の時期だったり、ライブ活動はしばらくお休みしていた時期だったんですが、あの日久々に皆さんの前で演奏出来た事は今でも忘れられません。

 

近年機材やインターネットの発達から、昔に比べてコンポーザーやアレンジャーが爆発的に増えたと思います。現在の作編曲シーンについて感じる事を教えて下さい。

 

黒沢 : いまは作編曲以外にもミックスのスキルも必要不可欠になってきていると思います。EDM系はだいぶ前からコンポーザー自身がミックスも行う事が多いと思いますが、海外のロック系バンドもメンバーが自身でミックスするアーティストが増えていると思います。バンドものの録音やミックスはまだハードルが少し高いかもしれませんが、だからこそ挑戦すべき課題と思い、今回のアルバムは大和さんがミックスした2曲以外は自分でミックスしました。

 

それでは、今後の予定を教えて下さい。

 

黒沢 : 『BLACK ALBUM 2』のレコ発ツアーを今年の9月24日大阪は梅田ALWAYSから始まり、名古屋、神戸、静岡、京都、そして2019年2月23日東京は吉祥寺Silver Elephantにて行います。全日程土日祝の日程ですので、若いギターキッズの皆さんも、社会人で普段お忙しい皆さんも是非お越し頂ければ、と思います。

公演詳細 : http://kuro-music.com/blackalbum2/

 

今回は諸々ご回答頂きましてありがとうございました!最後に、これからコンポーザー・アレンジャーを目指される方に対してメッセージをどうぞ。

 

黒沢 : 前述の通り、作編曲のみならずミックス能力などマルチなスキルが今後さらに必要不可欠となってくると思います。あるいは音楽以外の絵を描いたり文章を書いたりする能力もある方はそれを組み合わせても良いと思います。より多角的、複合的なスキルが複雑に組み合わさって、唯一無二の作品というのが生まれるのではないでしょうか……と、真面目な事を語ってしまいましたが、是非とも『BLACK ALBUM 2』を手に取って頂けますと、と幸運が訪れると思います。何卒よろしくお願い致します!

 

 

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