岡田早由 インタビュー

岡田早由 インタビュー

東欧ではNSBMやネオナチも多いと思うのですが、嫌な目に遭ったり、危険な目に遭ったりした事はないのでしょうか?

 

岡田早由 : これまで、NS系のバンドやレーベルの方に連絡を取ったことがあるのですが、意外と気さくだったり、丁寧だったりする方が多く、そういった方々から差別など嫌な目に遭ったことはありません。案外面倒なのが、この手の音楽のファンなんです。NS思想についてはテーマにしていなくとも愛国心の強めのバンドなら、すべて「ネオナチ」というジャンルに落とし込んで一緒くたにしている人もいます。もちろん全員が全員そういう考えを持っているわけではないんですけどね。しかし、先日ポーランドでペイガン・フォークバンドのライブを観た時も、おそらくその手のファンが「ジークハイル!」と叫んでナチス式敬礼をしていました。

ただ、自分に対して面と向かって差別されたことは一度だけだったと記憶しています。その人も上記のようなあまり何も考えていない類の人間だと思うのですが、「アジア人は軽蔑する」と平気で言ってしまうような人です。

あ!そういえば以前、ポーランドの中堅クラスのバンドの人が、Facebookでわたしのことを「糞黄色人種、調子乗るな」と書いていたことを思い出しました……ちなみに特にNS系のバンドの人ではないので、単純に私のことが目障りなだけかもしれませんけど(笑)。

と、嫌なこともありますが、NSBMファンでもわたしに対しては普通に、むしろ気さくに接してくれる人の方が多いように感じます。そうでなかったら、わたしは今ポーランドにいないでしょうね。

 

-ブラックメタルとは言ってもサブジャンルが多岐に渡ると思います。岡田様が一番好きなスタイルは何ですか?

 

岡田早由 : 色々と好きなサブジャンルはあるものの、特に好きなのはアトモスフェリック・ブラックメタルです。アトモスフェリックというその名の通り、「大気」を感じさせるようなフワフワとした雰囲気をシンセサイザーやキーボードなどで表現していて、歌詞も「自然」や「民話」などといったのどかなものが多いです。世界中に素晴らしいアトモスフェリック・ブラックメタルバンドは存在しますが、わたしはポーランドのWEDRUJACY WIATRをオススメします。ポーランド語で「彷徨う風」という名前の二人組のユニットで、一人はタトラ山脈のふもとの小さな田舎町に、もう一人は湖が多く自然豊かなヴァルミア地方に住んでいて、ポーランドの自然や伝説などについて歌っています。音質をあえてローファイにしていて、温かみを感じさせるブラックメタルを演奏しています。

ただ、他のサブジャンルにもそれぞれ良いバンドはいるので、一番を決めるのはなかなか難しいですね。

 

-ちなみに、岡田様はデスメタルやグラインドコアなどその他のエクストリーム音楽ジャンルは好きなのでしょうか?

 

岡田早由 : あまり詳しくは無いのですが、デスメタルバンドをやっている知人もいるので、時々デスメタルのライブに行くことはあります。ポーランドだと、デスメタルのライブもブラックメタルと客層がかぶっていて、会場で見知った顔をよく見かけるのが面白いですね(笑)!グラインドコアに関してはさらに無知ですが、ポーランドでもグラインドコア系のライブがちょこちょこ開催されているので、機会があったらどんなものなのか体験してみたいです。

 

-今現在、そして今後岡田様と同じくパブリブで『世界過激音楽』を書いていたり、書くこととなる未来の著者さん達への、執筆者としての心得やアドバイスなどお願いします。

 

岡田早由 : 執筆中はスランプに陥ったりすることもあるかと思いますが、あまり根を詰め過ぎずほどほどに息抜きしながら執筆していただけたらと思います。あと、わたし自身文章を書くのは幼い頃から好きだったのですが、執筆しながら「あぁ、わたしって語彙力ないんだなぁ……。」「実は文章書くのはあんまり上手じゃないんだなぁ……。」と、何かと現実に向き合わされて、ちょっとショックだったりもしました(笑)。みなさんも執筆を進めていくうちに何かしらの問題にぶつかるかもしれませんが、自分の好きな分野で文章を書いて、それが書籍として出版されると思うと、きっと頑張れるはずです(笑)。自分の書いたものが形になり、たくさんの人の元に届くというのはなかなか無いチャンスだと思います。どうかこの機会を逃さず、あきらめずに頑張ってくださいね!

 

-そう言えば、岡田様が行われているディストロ「Dekalog11」について教えて下さい。レーベルにはしないのですか?

Dekalog11 : http://dekalog11.com/

 

岡田早由 : Dekalog11について説明しますと、2017年の1月に立ち上げたディストロです。主に東欧を中心としたブラックメタルバンドの音源やマーチを取り扱っています。また、ディストロ活動だけでなく、バンドへのインタビューやライブ撮影などもしており、それもサイトに掲載しています。

ディストロを始めたきっかけをお話しすると、実は2017年の1月に日本の某TV番組に出演したのですが、それを機に色々と考えるようになりまして……番組製作スタッフさんに取材に来ていただいて、様々な質問に答えて行くうちに、改めて自分自身を顧みることになりました。

そこで気付いたのが、「わたし、せっかく良い環境にいるはずなのに、この環境を生かし切れていないな」と。取材に来ていただかなかったら、今でもその事実から目を背けていたかもしれません。そして、ポーランドで自分ができることは何かな?と連日考えて、これならできそうだなと思って始めたのがディストロでした。

ただ、それまで自分で商売をしたことが無かったので、最初はとても不安で仕方なかったです。わたし商才無さそうだしきっとすぐ閉鎖するだろうと(笑)。一番最初に商品を発注した時は、「これ本当に売れるのかな?欲しい人なんているのか?誰も買ってくれなかったらどうしよう、嫌だ~怖いよ~」と、なかなか発注に踏み切れなかったのを覚えています(笑)。

しかし不安とは裏腹に、ディストロサイトをオープンさせた途端に何件もオーダーをいただき、やってみるもんだな~と思いましたね。今はリピーターさんもかなり増えて、皆様のおかげでどうにか1年以上続けられています。

レーベルも考えたことはあったのですが、今はどちらかというとレーベル経営よりもライブやフェスの開催に興味があります。そのうちポーランドで、自分の好きなバンドを集めてライブを開催できたら良いなぁと思い描いています。まだ何も具体的なことは決まっていないんですけどね(笑)。

 

-この度は遠く離れた地からのご回答、ありがとうございました!それでは最後にTOPPA!!読者へのメッセージをどうぞ。

 

岡田早由 :こちらこそ、貴重なインタビューの機会をいただき、ありがとうございました!また、最後まで読んでくださった皆様もありがとうございます。このインタビューで、ブラックメタルや東欧のメタルシーンについて興味を持ってくださった方は、ぜひ『東欧ブラックメタルガイドブック』を手に取っていただきたいです。ブラックメタルマニアはもちろん、初心者にも楽しんでいただけるように、冒頭にブラックメタルのサブジャンルの解説なども載っています。バンドのインタビューやコラムなども載っていて、リアルな東欧のメタルシーンを感じられる一冊になっています。

さらに、わたしの運営しているディストロDekalog11(dekalog11.com)でも、東欧のバンドを中心に色々と取り揃えていますので、ぜひ実際に音源を入手したい方はご利用いただけたら幸いです。

 

Dekalog11 : http://dekalog11.com/

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