八王子Match Vox/RIPS店長 / THE WELL WELLS 奥泰正 インタビュー

八王子Match Vox/RIPS店長 / THE WELL WELLS 奥泰正 インタビュー

奥泰正(読み方 : おくやすまさ)
Twitter : https://twitter.com/09well

八王子Match Vox
HP : http://matchvox.rinky.info/

八王子RIPS
HP : http://rips.rinky.info/

THE WELL WELLS
HP : http://wellwells.com/

東京都唯一の中核市、八王子市。西東京の中でも非常に人口の多い本都市において、数多くのアーティスト達が八王子をベースに成長してきたと言っても過言ではない。それこそマキシマム ザ ホルモンに始まり、TOTALFATやグッドモーニングアメリカ、BIGMAMA、近年だとハルカミライ等、八王子出身のアーティスト達が現在の音楽シーンを揺るがしている。

そんな八王子のライブハウスシーンにおいて、八王子Match Vox及びRIPSの存在は避けては通れない。そして、この2ライブハウスと共に歩んできた名店長の奥泰正氏が今回のキーパーソンとなる。彼は近年、「明日出れない?」と銘打った企画をMatch Voxにて開催し、同イベントにはヒステリックパニック、おはようございます、てんさい。、Graupelの4バンドが集結し、見事大成功を納めた。

今回、奥氏に対して、彼の生い立ちや現在に至るまでの経歴、音楽的ルーツ、八王子の音楽シーンの歴史や想い等を聞くべく、1万字を超えるロングインタビューを実施した。

取材・文 / 宮久保 仁貴 編集 / 松江 佑太郎


 

-TOPPA!!初登場という事で、改めて奥様の自己紹介をお願い致します。

 

奥 : 東京都日野市で生まれて、そのままずっと日野市で育ちました。(※今は八王子在住)家族が音楽をやっていたんで楽器には触れながらも、部活ではサッカーやっていました。そして、日野高校という高校に入ったんですが、OBに忌野清志郎さんや三浦友和さんが先輩にいたりして(※まあ先輩と言っても離れすぎてるんですけど)、中3でバンドを少しかじってたので、軽音部に入りました。そして、高校3年生の時にライブハウスで働き始めて、専門学校で今やってるバンドを組んで、現在に至ります。ざっくりと言えばこんな感じですね。

 

-それでは、ライブハウスで働き始めたきっかけを教えて下さい。

 

奥 :高校1年生の時に最初はLUNA SEAやGLAY、後にHi-Standardとかのコピーバンドをやるようになって、RIPSにまず出始めたんですね。ちょうど僕が高校1年生の時にRIPSが出来たので。それと同時に、八王子にはBEATLANDという老舗のライブハウスがもともとあったんです。活動を続ける中、BEATLANDにも出始めました。バンド活動を続ける中、当時先輩の某有名バンドの方がBEATLANDの店長をやられていて、その人から「俺、ツアーで忙しくなるからお前ヘルプで入っといてくれ。」って言われて入ったまんま、今もヘルプでずっと店長やってるっていう状態ですね(笑)。

その後、BEATLANDが潰れて、Rinky Dink Studioグループが買い取って、BROAD HEART CLUBっていう名前に変わり、そこで19か20歳ぐらいの時にブッキングマネージャーになりました。当時は若過ぎたので年は隠してました。(笑)。今はライブハウスではなく、スタジオとなっています。BROAD HEART CLUBに関して、ライブスペースとしてはかなり狭かったので、「もっと広いところでやってみたいです!」みたいな話を社長に相談した所、Match Voxを作ってくれました。その後、そのまま立ち上げ時のブッキングマネージャーとして働いて、前任の店長が辞めたタイミングで店長になって。RIPSも系列店なんで、その後にRIPSの店長が辞めた時点で僕が両方の店長を兼任するようになったという感じですね。

 

-Match Voxが出来た背景にはその様な事情があったんですね……!
奥様がバンドを始めたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

 

奥 : バンドを始めようと思ったきっかけはTHE BLUE HEARTSですね。音楽のきっかけとしては、5歳ぐらいの頃からピアノをやらされてて。そして、小学校になぜかドラムがあったんですよ。それを叩いていたりしてて、それは遊びでやっていたって感じなんですけど、姉が男の子(多分)からもらってきたカセットテープを、「これもう聴かねえからお前にやるわ。」みたいな感じでもらったんです。誰とも分からずなんとなく聴いてて、「ああ、このバンド良いな。」って思ったのがTHE BLUE HEARTSでしたね。

その後、中学校3年生ぐらいの時にゴミ箱からギター拾ってきて、なんとなくギター弾けたらカッコいいかなと思って弾き始めましたね。最初はTHE BLUE HEARTSの曲をコピーしようと思いました。音楽の授業でちょうどTHE BLUE HEARTSの曲をやったことがあって、自主的に音楽を始めようと思ったきっかけはそこですね。

そして、THE BLUE HEARTSのCDのライナーノーツを確かイノマーさんが書いていらっしゃったと思うんですけど、「「1000のバイオリン」を聴いて会社を辞めた奴がいるんだ、夢をもう1回追いかけたやつがいるんだ。」というくだりがあったんです(※記憶が曖昧ですが)。それを読んで、「音楽ってすげえんだな、俺もそういう風に影響を与えられる人間になりたいな!」と衝撃を受けました。実際にバンドやってみようって最初に思ったのはそんな感じですね。

 

-それでは、奥様の音楽的ルーツ、プレイヤーとして影響を受けた音楽を教えて下さい。

 

奥 : 音楽遍歴だと、初めて買ったCDはMr.Childrenの『深海』ですね。あれがたまたま世代だったんで。単純な理由で、好きな女の子がミスチル好きで、俺も発売日に買ったぜと言いたかったからなんですけど(笑)。中学校2年生ぐらいの時ですかね。

その後、THE BLUE HEARTSとかお姉ちゃんが聴いてたCD聴きながら、ヴィジュアル系も聴いて育ちました。その後、高校入った頃はHi-Standardが全盛だったんで聴き始めたんです。そして、そこからDigりまくって、日本のメロコアシーンにどっぷりハマっていくことになりました。当時高1だったんですけどAIR JAM ’98に行き、出演バンドのCD全部買ったり、PIZZA OF DEATH RECORDSのマークがついてれば全部買うとか、CDのサンクスリストに載ってるバンドは全部中古で探して(お金が無かったので……)買うみたいな感じになっていって。

その後、だんだん自主レーベルで音楽活動してるって人たちのシーンに出会い、僕としてはそれがすごくカッコいいなって思いました。具体的に言うと、SHORT CIRCUITとかCAPTAIN HEDGE HOG、今で言うASPARAGUSのメンバーの前身のバンドとかを聴くようになって、ライヴに行くようになったんですよ。その辺のメロコアバンドでpopcatcherっていうバンドがいて。今で言うBEAT CRUSADERSのクボタマサヒコ(Ba)さんとか、ASPARAGUS/MONOEYESの一瀬正和(Dr)さんとか、toeの美濃隆章(Gt)さんが前にやってたバンドで、そのライヴによく行くようになりました。

そこからさらにアンダーグラウンドな道を進み、WATER CLOSETとかLIFE STYLEとか自主レーベルで活動しているバンドのライブに行く様になりました。この人たちみたいに仕事ありきで自主レーベルで音楽やってて、誰の影響も受けずにやっているのがカッコいいなって思い、ライヴハウスで働きながらバンドをやっていこうと思いました。音楽では食っていきたかったんですけど、そのシーンと出会ったことで自分のプレイで食っていこうとは思わなくなって。売れるためにやるっていうのが少しでもあるのが嫌だったんですよね。ただ、バンドもしつつ裏方として食っていこうと思って、ライヴハウスの店員になったって感じですかね。
高校生の時も一人でSET YOU FREEみたいなイベント行って、誰ともしゃべらず帰るみたいな高校生でしたね……暗くはないはずなんですけど、一緒に行ける友達がいなかった(笑)。そんな感じでしたね。放課後によく原付でdisk unionツアーとかもしてました。やっぱり1人で。(笑)

 

-八王子Match Vox及びRIPSもまた、数々のバンド達がプレイした原点ではありますが、この2つのライブハウスを一言で表すなら、どんなライヴハウスでしょうか?

 

奥 : 一言で言ったら、「誰でも出れるライヴハウス」っていうのを目指してます。
八王子ってやっぱり学生が多くて、学園都市って呼ばれてるんですけど、大学や高校がたくさんあるんですよね。例えばだけど、マキシマム ザ ホルモン、グッドモーニングアメリカ、TOTALFAT、BIGMAMAとか、あの辺の人たちって八王子って言ってくれてますけど、じゃあ八王子出身者がいるかというとその全体でも2人くらいしかいないんですよ。僕も八王子出身じゃないし。上京してきてとか、初めてライヴやった場所とか、八王子ってそういう場所になることが多いですね。

なので、そういう初めての人とかが、夢を追っていくのもよし、趣味でやっていくのもよし、そういう目指したい山の高さに合わせて寄り添っていければいいなと思っています。八王子の音楽シーンとしては、例えば「ダセえバンドは出さない。」とか、「ヘタクソなバンドは出さない。」とか、「生意気なやつらは出さない。」とかじゃなくて、全員一緒に成長していこうと言えるようなライヴハウスをやりたいという意味で、皆が出られるようなライヴハウスでありたいなと思ってますね。高校生とか、あと社会人の、いわゆる1回上がっちゃった人たち、バンド諦めた人たちとか、完全に趣味でやってる人たちも出られる場所を提供したいなと思っています。

 

-それでは、ライブハウスを運営する上でやっていて良かったという点や、苦労した点を教えて下さい。

 

奥 : やってて良かったなと思うのは、例えば武道館とかに連れて行ってくれて、「八王子から来ました!八王子のバンドです!」とか言ってくれるのはすごく嬉しいなって思います。僕らの仕事って、夢を見ている人と一緒に夢を見てやる仕事なので、その人たちの夢が叶った瞬間って、ある種僕らの夢も叶った瞬間なんですよ。例えば若かった頃に「武道館でやってみたいっすねー。」って言ってたやつが武道館でやってその夢叶えた時に僕の夢も一緒に叶ってるんで、そういう時はやりがいあるなあというか……。まあ途中からは僕の手なんか離れちゃってるんですけど、今でも大事にしてくれてるバンドが有名になってるのとか見ると、やりがいがあるなと思います。

これはキツイなと思うことは、僕もバンドマンなので、「金じゃない!」って言いたいけど、やっぱりライヴハウスをやっていくにあたって、金を稼がなければいけない。そうしないと従業員も守れないし、機材も買えないし。そういう、「金じゃない!」と、お金のバランスっていうのは、いつも僕は悩みます。できれば皆にバック返してあげたいし、ノルマも取らないでやっていきたいんですけど、やっぱりそれじゃあ運営はしていけないので、そこはいつもすごくジレンマみたいなものを感じてます。

 

-Match Vox及びRIPSは、バンドマンが八王子ひいては西東京の音楽シーンで活動する上で必ず通るライブハウスですが、こちらを運営される上で日々感じていることはありますか?

 

奥 : 八王子にいるとコピーバンドをたくさん見るので、流行りというか、今の若者はこういうバンドをやるんだな、というのは敏感に分かったりしますね。西東京でいうと町田だったり立川だったり、素晴らしいライヴハウスがある場所もあるんで、僕らとしてはあんまり他の場所は意識せずに、僕らは僕らなりにやっていこうよということしか考えてないんで、あんまりシーンとかってなっちゃうとちょっと分からないんですけど。

八王子としては、僕らはあまり変わらずという感じですが、僕が接してる日本国内、全国のライヴハウスの話を総じて聞くと、やっぱり夢を見るバカ、愛すべきバカみたいなやつは減ってきてるなと思います。ただ、これだけCDが売れないとか、Twitterとかが発達して、あのバンドマンもこのバンドマンもバイトしてるとか、そういうのを見たらそりゃ夢見ないよなとも思ってるんですよね。それが良いとか悪いとかではなくて。でも、音楽を趣味でやっていこうと思ってるバンド人口自体はそんなに減ってないんじゃないかとは思うんですよね。

大学や専門学校、高校を卒業して、フリーターやりながらバンドやってくってことに現実味を感じてない子は増えたかなという印象があります。僕らの時代だと、専門学校行ってるやつはバンドやりたいから専門学校行ってるみたいなパターンの子が多かったですけど、今は例えばアーティスト科にいる子でもバンドやったことないとかザラなので。技術を磨いてスタジオミュージシャンになりたいっていう気持ちはもちろん分かるんですけど。「こいつギラギラしてるな……!」と思う子は多くないかなって感じですね、言い方は難しいですけど。

 

-今の時代、音楽への携わり方も多様になりましたもんね。それがバンドなのか、はたまた別の手段の表現なのか、今後の時代は中々読めないと思います。

それでは、MatchVoxの話に触れますと、先日は急遽主催企画「明日出れない?」を開催されましたね。ブッキング・告知期間共に時間が無い中、当日はヒステリックパニック、おはようございます、Graupel、てんさい。と豪華なアーティストに加え、大勢のオーディエンスが集まりましたね。
こちらの開催のきっかけを教えて下さい。

 

奥 : きっかけとしては単純で、前日に入っていたイベントが諸事情でキャンセルになっちゃったんです。さてどうしたもんかと。ライヴが無くなるってなると、明日働くはずだった従業員が働けなくなるじゃないですか。だから何かしら俺も頑張ってみるねって皆に送って、とりあえずTwitterでつぶやいてみたんですよ。そしたら真っ先にヒステリックパニックからリプライがあって、「出れますよ。」「え、マジっすか?」みたいなやりとりが始まりました。よくよく経緯を聞いてみると、僕が以前誘ったイベントに彼らが出られなかった背景があったんです。あの子たちホントに義理堅いからそれを申し訳ないと思ってくれてたみたいなんですよ。東京でキャンペーンがあったみたいで、ちょうど名古屋に帰る通り道だからそれやっていこうよ、って言ってくれたみたいなんですね。

ヒステリックパニックが出てくれるってなって、じゃあワンマンでもいっかとなって、チケット代安くしていっぱい人が来れるようにしようよって話をしたら、それと同時におはようございますの鬱Pさんからリプライが来ました。僕はその時、鬱Pさんの事を正直存じ上げていなかったんですが、ウチの若手の反響も凄く、すぐにヒステリックパニックからも電話きて、「僕らも一緒にやりたいんで絶対決めて下さい!」って言われて、「分かりました!」と(笑)。それでTwitterでやり取りして、おはようございますさんが決まりました。てんさい。に関しては、あの子たちもヒステリクッパニックが大好きで、それこそおはようございますさんも結果好きだったって話なんですけど、彼らはヴィジュアル系で全然別のベクトルじゃないですか。あの日は連絡が来たアーティストは全部受け入れようと思ってたのでその3バンドは決まって、最後にGraupelからも連絡が来て、4バンド以上になると土曜日とはいえ長くなりすぎちゃって来にくいかもね、ということでそこで切っちゃった感じです。

本当に、やろうと思ってやったかといえば全然そういうわけではなくて、ヒステリックパニックがたまたま東京にいてその時間空いてて、彼らがちゃんと熱くて義理堅い人間であったから実現したことで、僕がやったことは本当に最初にTwitterでつぶやいたことと、出来るだけバズらせるように面白くやっていたのと、超ダサいフライヤーを作ったことぐらいですかね(笑)。後は本当に皆さんが熱い気持ちで接してくれたので。お客さんも昨日の今日で来てくれてありがたかったなというイベントになりましたね。結構反響があって、特にライヴハウス関係者からすごく連絡きて、「感動した!」とか「すげえな!」とか言って頂いています。ただ、皆に言ってますけど、すごいのは僕じゃなくて、あの立場で引き受けてくれたヒステリックパニック、おはようございます、てんさい。、Graupel、そして当日来てくれたお客さん達だと思います。

 

-今後も開催の予定はありますか?

 

奥 : いやあ、もう本当にやりたくないですね(笑)。
これを定期的にしちゃったり、持ちネタみたいにしちゃったらやっぱりダサいなと思うんですよ。これはもう奇跡の出来事なんで、これがもう1回起きることもないでしょうし、これをありきで組むっていうのもなんか違う気がして。こうやって1回目バズっちゃうと、例えば2回目は組んじゃった後に、それこそ人気があるバンドが決まって、1回目上手くいったから2回目やりませんかって話になりそうなもんですけど、僕はちょっと、出来ればもう……。

Vol.1ってつけたのはギャグで、Vol.1ってなんやねん、2あるつもりなのかっていうツッコミが欲しくて書いただけです。僕そういうVol.1とかファイナルとかってつけるの好きなんですよ(笑)。なので、絶対ないとは言い切れないですけど、皆さんが忘れるくらい時間が経ってからにしたいし、今はみんなにキャンセルして欲しくないなって思ってます(笑)。

 

-話は変わりまして、最近聴いた中で感銘を受けたバンドを教えて下さい。

 

奥 : やっぱり地元のバンドになっちゃうんですけど、ハルカミライっていうバンドがいて、あのバンドは元々ガチガチにウチのバンドなんですが、やっぱり彼らは良いですね。気持ちも良いですし、心も強いし、曲ももちろん良いし。
なんか僕の世代で体感した青春パンクムーヴメントみたいなものがあって、ガガガSPとかSTANCE PUNKSとか、もちろん今も現役ですけど、その方たちが日本全国でドカーッ!っと行った時の感覚を彼らには感じていて、新しいムーヴメントというか、それこそ時代はやっぱり繰り返すって僕は思っていて、あの時のものをさらに進化させて、新しいシーンを築いていく先頭を走るんじゃないかって期待しています。最近はありがたいことにいろんなフェスとかにも引っ張りだこで。僕自身もライヴを見て普通に泣いちゃったりするので、贔屓目なしに良いバンドだと思います。

 

 

そして、八王子のバンドっていっぱいいるんで、ぜひ注目して欲しいなって思いますね。まあ売れてるバンドだと、ホルモンがいて、さっきも言いましたけどグッドモーニングアメリカ、TOTALFAT、BIGMAMA。あとはニューロティカ、花団、フラチナリズムとかもいますし、例えば今元FUNKY MONKEY BABYSのファンキー加藤さんやモン吉さんもいらっしゃいますし。まだまだ売れてないけど頑張ってるバンドだと、ハルカミライ、INKYMAP、rem time rem time、POETASTER、あとはもちろんnecozenecoもそうですし、一番若手だとOCEANSっていうバンドもこれから絶対人気出てくると思います。八王子は他の土地にはない癖が必ずあると思うので、1個八王子のバンド気に入ったら、そこから芋蔓式に全部聴いてもらったらきっと気に入ってくれると思います!

僕らが目指してるのは、ジャンル全然関係なく八王子のシーンのバンドと言われるところですね。いわゆる地元の中学の友達とかってその後全然違うジャンルに進んでたとしても会うと楽しいじゃないですか。やっぱジャンルじゃなくて地元だよな!みたいな。(笑)そして今戦っている戦場にまた戻っていくというか。彼らが売れた後でも帰ってきたくなるようなライブハウスでありたくて。グッドモーニングアメリカやTOTALFATやBIGMAMAの時代を僕も一緒に走って来て、少しづつやってきた結果、さっき言ったハルカミライやINKYMAPとかのバンド達もみんな繋がってていきましたし。同じ釜の飯食ったじゃないですけど、同じグラスのテキーラ飲んだみたいな子たちなので、絶対どこか通じるところあると思うし、これ読んだ方はひとまず全バンドチェックしてもらって、ライヴも見に行ってあげてください。

 

-今後の音楽シーンや業界について思う所を教えてください。

 

奥 : どんどん自分たちでやっていく事が増えていくんじゃないかなと思います。
例えばYouTuberとかもそうですし、TwitterとかInstagramとかでバズってる方もいらっしゃいますけど、要はプロモーションを自分たちで手軽にできるっていう時代になって来ていて。僕が目指してきたというか、「突っ張って自分たちでやっている」っていうのがパンクでありカッコいい時代から、自分たちで何でもやっていくのが当たり前っていうスタンスに今後はなっていくんだろうなとは思っています。それはやっぱり寂しくもあり面白くもあるとは思うんですが、レーベルや事務所っていう形とかも今後変わっていくんだろうな、と。アーティスト主体になっていくのかなと思いつつ。

ライヴハウスシーンで言えば、乱立されていったライヴハウスが、ちょっと今アイドルが下火になって来ているのと同時に、今後さらに下火になっていくにつれ、やっぱり淘汰されていくのかなと思います。あとは建物自体の耐久性ですね。リンキィの系列店の新宿JAMもそうだったんですけど、いわゆる老舗が、ビルが耐えられなくなってくる時期が来ると思うんですよ。ウチもそうなんですけど。例えば渋谷でもclub乙-kinoto-やDESEOが再開発で移転するってなってますけど。しっかりとした筋や柱、信念を持っているライヴハウスはそんな問題をも飛び越えて行くと信じています。

 

-それでは、MatchVox及びRIPSとしての今後の目標を教えて下さい。

 

奥 : 目標についてですが、まあ僕らはこれからも変わらないですね。みんなが出れるライヴハウスで。でも音楽以外のこともどんどんやっていきたいと思います。例えばお笑いとか、ダンスとか、舞台とかでもいいですし、空間を使った面白いことをやっていきたいです。切り絵のパフォーマーとか、マジシャンのライヴとか、別に音楽にはこだわらずいろいろなことを。せっかく空間があって大きい音が出せるので、どんどん使いたいと思う人がいれば使いに来てほしいなと思いますね。そういう意味でも誰でも出れる。例えば子供の発表会とかに使ってもらっても良いし。

ライヴハウスの人ってなんかある程度プライドみたいなものがあるじゃないですか、俺たちはこれ以上のヘタクソなやつは出さないとか、集客何人以上じゃなきゃ出さないとか。僕はTwitterでよく見かける、「客が0人のライヴなんかやる意味ねえ。」って言ってる人のこと分からないタイプなんで。客が0人のライヴっていうのを経験することが、僕はバンドにとって超大事だと思ってるんですよ。お客さんが全然いないけど、「じゃあPAにCD買わせたるわ!」みたいな。もちろんスタッフはいるわけなので、「絶対に良かったって言わせたるわ!」みたいな気持ちでライヴ出来るやつなのか腐っちゃって出来ないやつなのか、それが悔しくて絶対次は客呼ぶぞってなるやつなのか、もうライヴやりたくねえってなるやつなのか、僕はすごく大事だと思ってて。例えば集客が全然なくても、めちゃくちゃヘタクソでも、僕は全然良いと思います。

なので、これからもこんな感じでやっていければいいな、こういうこと言い続けたいなとも思いますね。いつかこう、「売上ヤバいな。」とか、「ライヴハウス埋まってなくて、なりふりかまってられないなあ。」みたいなことにはなりたくないですね。常にある程度面白いことをやりたいと思っています。

 

-それでは、MatchVox及びRIPS、そして奥様の今後の予定をお教え下さい

 

奥 : 今RIPSが20周年なので、今年の5月から来年の5月まで20周年イヤーという事で1年間いろいろやっていこうかなと思ってるのが1つですね。

それと、僕個人として6:2recordsというレーベルをやっていて、necozenecoっていうバンドの2nd ミニアルバムが8月22日に出るのと、カルナロッタというバンドがいるんですが、そのバンドの主宰したオムニバスをこのレーベルから出します。それこそハルカミライとか39degreesとか、結構頑張ってるバンドが16バンドぐらい参加してくれて、それが500円で出るので、ぜひ興味ある方がいればチェックしていただければと思います。レーベルにはまだ3バンドぐらいしか所属してないんですけどね。necozenecoと、カルナロッタと、ユタ州の3バンド。

それともう1つ、別口のレーベル呑福盤印でギロッポンっていうバンドもリリースしています。変なバンド名ばっかりなんですけど、CD出してます。こちらもチェックしていただければ。

そして、8月には劇団鹿殺しの舞台でベースを弾く仕事があり、10~12日に大阪の3日間と、15日から東京サンシャイン劇場でバコーンってやりますので、ぜひ見に来ていただけたらいいかなと思います。

僕のバンド活動について触れますと、ライブハウスの店長をやる傍ら、THE WELL WELLSっていうバンドもやっていて、今年で結成から17か18年目ぐらいになるんですけど、自分の奥さんと一緒に活動を続けています(※僕が奥って名前なんで分かりづらいんですけど(笑))。今は奥さんに子供が産まれたばっかりなので活動休止中で、今のところは復活の目処は立ってないんですが落ち着いたらまたやり始めたいなと思っています。もう3枚アルバム出してるので、4枚目とか出して復活になったらいいなあ……と思ってます。

 

最後に、最近は八王子市ともいろいろ協力してやってて、HACHIDORIっていうフェスをやってます。それはサーキット型のロックフェスなんですけど、八王子の駅前で、ライヴバーとか、楽器屋さんのスタジオとか、ちょっとした空きスペースとか、それからめちゃくちゃ狭い個人居酒屋とかを貸し切って、去年は19か所で開催しました!チケットは2500円って安く設定していて、それをリストバンドと交換して町を回るようなイベントになってます。ロックで町おこしっていうのを掲げていて、クーポンというか雑誌がついてきて、それにライヴハウスの会場の地図とタイムスケジュール、さらに飲食店のクーポンがついていて、ライヴをわざと7時半ぐらいに終わらせるようにしてあって、終わった後はみんな町に散ってご飯食べてってください、飲んでってください、っていうイベントをやっていて。

最近は八王子のお祭りとか、ちょっとしたイベントとかにも顔出してというか制作で入っていろいろやってるんですが、いつか八王子のどこかで野外フェスみたいなのやりたいなと思ってコソコソ動いているので、「やるならめっちゃお金出すよ!」っていう人がいたらぜひ連絡ください(笑)。

 

-奥様のバイオグラフィーから八王子ライブハウスシーンの歴史、今後の展望等、幅広いお話をお聴かせ頂きましてありがとうございました!それでは最後に、音楽業界で働きたいと考えている方へのメッセージをどうぞ。

 

奥 : まず……最初は絶対食えないです(笑)。
僕、実は専門学校の講師もやってて、そこでもいつも言うんですが、やっぱり『金じゃない』と思っておかないとライヴハウスではやっていけないと思います。お金よりも大事なことや楽しいことを自分たちで作っていこうとか、誰かのために働くとか誰かの褌を借りてやるとかじゃなくて、ちゃんと自分のやりたいライヴハウスにしたいとか、自分の見たい景色が見たいとか、そういうことをちゃんと持っておかないと絶対に続かない仕事だと思うので。絶対にこんなはずじゃなかったとか、自分の働きたいライヴハウスってこんなんじゃねえんだよなっていうところを覆してこういうもんだろライヴハウスって、と自分で思えるようなものにするぐらいの気持ちが必要だと思います。

もし八王子Match VoxやRIPSで働きたいという人がいれば、僕から奪うぐらいの気持ちでぜひ来ていただけたら僕もとてもうれしいです。奪われないように僕も頑張ります(笑)。

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