脇田 : それこそ、僕が今RNR TOURSを始めるきっかけ、そして本を書くすべてのきっかけになったのがブログだったんですよ。元々音楽のルーツを辿る事が凄く好きで、どんなジャンルの音楽書籍でも売っていれば買い集めてしまう程の音楽書籍マニアでもありました。ただ今の自分が取り扱っているようなジャンルの音楽の書籍はあまり種類がなく、それなら自分でこういったジャンルの音楽書籍の簡易版のような物を作ってみようと思って、ブログに自分が聴いた音楽を日常的にアウトプットしていました。パンク以外にも、デスメタルやメタルコアとか。殺害塩化ビニールの事とか、パワーエレクトロとハーシュノイズどっちが好きかとか笑 2015年に聴いたカッコイイブルータルデスメタル / デスメタル / ゴアグラインド TOP25という記事を書いたのですが、(URL : http://romanticnobita.blogspot.jp/2015/12/2015-brutal-death-metaldeath.html )
この記事を見たパブリブという出版社の編集長ハマザキカクさんから連絡を頂いて、ブルータルデスメタルの本を書ける人を探しているのですが一緒に本を作りませんか、と連絡を頂きました。なんでもまずはやってみよう!というタイプなので月に2~3本海外バンドのツアーを組んでる状況だったんですが、「やります!」と返事しましたね。ハマザキさんから丁寧にアドバイスを頂きながら執筆して、寝る間も惜しんで書き狂って、約1年後の2016年10月に『ブルータルデスメタルガイドブック』を出版しました。
執筆と並行して、もっとブルータルデスメタルなどのカルチャーを紹介する場所があれば良いなと思いまして、RIFF CULTという僕が書き物をする為のプロジェクトを立ち上げました。執筆中に仲良くなったVomit Remnantsというバンドの坪井さんという方から、バンド復活イベントの企画オファーを頂き、タイやロシアからのゲストバンドを招いてエクストラショウ含めて2本の企画を行いました。メタルコアのイベントはけっこうやってきたのですが、ブルータルデスメタルは初めてだったので、ライブハウスカルチャーの違いも凄く感じたし、何よりブルータルデスメタルを聴いている人が日本にこんなにもいたのかと驚きました。またRIFF CULTを通じてライブイベントはやりたいですね。
–アウトプットの量は本当に凄いですよね。僕自身も『デスコアガイドブック』を購入したのですが、本のキャッチの「803枚のデイスクレビュー、570バンド紹介」は本当に圧巻の量だと思います!
自分がこのジャンルをもう一度きちんと知りたい気持ちがとても強かったので書き始めたら夢中になってあっという間に原稿が出来ましたね。もちろん簡単な作業ではなくて、実家に1週間篭って外部との連絡もシャットアウトして集中しました笑 知識をアウトプットすることは楽しいですね。執筆している中で、例えばこの国のシーンは、このバンドのメンバーが中心となって形成されていて、この人を中心に後輩バンドがいくつか出来ているのだなとか、シーンの動きを耳だけじゃなく、その他の要素で知れるというのは面白い事だと思うんですよ。今の時代、インターネットにアップされた音楽はどんどん消費されて、いつの間にか広大なインターネットの海に埋もれていきますよね。そのスピードも速くなってきている。インターネットの音楽カルチャーもこうした書籍という形で残さないと、もしかしたら数十年後にはその存在すら忘れ去られてしまうかもしれませんからね。実際に執筆して、MySpaceから掘り起こせる情報に限界があったことが切なかったです。昔はMySpaceは永遠だと思っていましたからね。
–確かに昨今のインターネットカルチャーは、新しい物がどんどん出てきますが、逆にそれらを振り返ることは難しいですよね。そういう意味で、体系化された物があるということは、本当に助かりますね。
脇田 : そうですね。2008年くらいに見ていた音楽ブログやMySpaceは今機能できていないですよね。インターネット廃墟みたいになってて、まだアクセスはできますが、バンドの情報を掘り起こすのは困難です。インターネットにはすべての情報があるべきなのに、時間が経つと無くなってしまう事に気付きました。
インターネットは今のトレンドをもっとグローバルに、例えば日本にいても昨日アメリカで起こったトレンドを体感する事が出来て便利だし、逆に日本の音楽が明日世界のトレンドになるチャンスを持てる場所です。その動きを音楽書籍という形で記して残していく活動はとても有意義だと感じています。また別のジャンルでも書いてみたいです。
–先のお話に続く内容ですが、近年の邦楽ラウド/パンクシーンで、特にこのバンドは来る!というバンドやトレンドはございますか?
脇田 : パンクに関しては、大阪のwaterweedはグローバルな人気が更に期待できるバンドだと感じています。RNR TOURSのイベントにもよく出演してくださるのですが、海外バンドにもwaterweedはかなり評判が良いです。韓国やインドネシアのツアー経験もありますし、日本の洋楽リスナーにも是非観て頂きたいですね。
SHADOWSも更にグローバルな人気が出るなと感じています。もともとSHADOWSのメンバーはFact時代にメロディックシーンでグローバルな人気があったし、なによりメロディックパンクに関する知識も凄くあるように感じるので、そういう人たちが日本で人気がある事に未来があると思います。
大阪のSIGHTSというバンドも凄くかっこいいですよ!Hot Water MusicとかThe Movielifeとかが好きなパンクロックリスナーから現行ポップパンクリスナーまでチェックすべきフレッシュなバンドですね。
ラウドシーンだと、今一緒にツアーしているAwaken I Amのツアー初日公演に出てくれたThe Last Novemberが相当イケてました。例えるならFor TodayやDarkness Dividedの様なタイプのサウンド。あとはOctaviusもセンスあるし、Daybreak of Silenceもオリジナリティがあってライブ良かったです。At Lastsも海外のポストハードコアの影響を受けつつ、ギターのメロディにオリジナリティがありますね。
日本のバンドって相当テクニックあると思うんですよ。ライブハウスでどうやれば自分たちの力がフルに発揮できるか知っている感じがします。海外の人気バンドとツアーをしている時、向こうのローカルシーンの現状を聞いたりすると、聴くに堪えないバンドが星の数ほどいるというのを良く聞きます……。
–今後の脇田様及びRNR TOURS / RIFF CULTの予定を教えてください。
脇田 : 10月末から年内いっぱいはひたすらツアーが続きます。メロディックパンクだと11月頭のHeartsoundsの再来日公演とAfter The Fallの来日は是非観に来てほしいですね。ラウド系もばっちり最先端のかっこいいのが来ます。デンマークのSiameseはR&BとメタルコアをミックスさせたサウンドでArtery Recordingsから最新作が出ています。日本盤も出てますね。あとは珍しいくらいピュアなメタルコアをプレイするオランダのFor I Am KingやDjentの注目バンド、Ghost Irisもやってきます。12月にはみんなが大好きなSecretsも呼びました。RNR TOURSのホームページから細かい情報がチェックできるので是非ライブハウスに遊びに来てくださいね! www.rnrtours.com
RIFF CULTは当面、執筆活動メインにしていくつもりです。来日のオファーは相当きてるんですが断ってしまってますね……。とにかくまたすぐ本書きたいので年内いっぱいはその構想をじっくり練ります。ブログは日々更新しているので、www.riffcult.comからチェックしてみてください。
–最後に、これからバンドをサポートしたい、音楽に携わりたいけど、どうやればいいか迷っているキッズにメッセージをお願いします。
脇田 : やってみたい事がどうやればいいか分からない、音楽が好きでイベントやりたいけど何をしたらいいのか分からない…… もしそういう人がいれば僕らのイベントに来てもらえればいろいろ話せるし、RNR TOURSを通して学べる事があると思います。実際にRNR TOURSはそういう人たちの集まりなんです。
2年前にRNR TOURSに入ったスタッフが12月に来日するSecretsの国内ブッキングをしつつ、全体スケジュールを立てて、各地に連れて行きます。これまでツアーしてきた経験を自分の力で実行する段階にきました。クルーの成長は見てて嬉しいですし、僕も負けないようにやらないと!という気持ちにさせてくれます。今のRNR TOURSチームは過去最強です。
僕らを通して経験してみたい事がありそうなら一度連絡して下さい。真面目な音楽好きだったら良い経験が得られると思います。
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