Justice For Reason / 5PM Promises やんち インタビュー

Justice For Reason / 5PM Promise やんち
個人Twitter : https://twitter.com/yanchi_jfr
Dig! × Dig! × Dig!(ブログ) : http://digxdigxdig.blog.fc2.com/

近年、インターネットひいては各種SNSの発展により、新しい音楽に出会う事が昔に比べて非常に容易になったのは間違いない。その結果、音楽の探究心(≒Dig)が人並み外れたマニアが数多く誕生する結果となった。今回ご紹介する”やんち”氏もその一人だ。彼は社畜コア”Justic For Reason”や叙情ハードコア”5PM Promise”で活動する傍ら、自身のTwitterアカウントやブログ「Dig! × Dig! × Dig!」にて、国内外問わず数多くのメタル・パンク・ハードコア等のバンドを紹介している。

今回TOPPA!!編集部は、やんち氏に対し、改めて彼の生い立ちから現在に至るまで、音楽的側面やDigにかける情熱等を聞くべく、メールインタビューを実施した。

文 / やんち 編集 / 宮久保 仁貴 写真 / 後藤壮太郎


 

-TOPPA!!初登場ということで、改めて自己紹介、そして現在に至るまでの経歴を教えて下さい。

 

やんち : 生まれは兵庫県の加古郡という田舎で、父親の転勤で鳥取県米子市に移り、育ちました。中学時代はアニメ/声優/特撮/音ゲー等に色々手を出してた所謂ヲタクでした。

 

-最初に聴かれた音楽はどのアーティストだったのでしょうか?

 

やんち : 中2の頃にたまたまANGRAのCarry Onを聴いた事がきっかけでメロスピにハマり、一度は通る「DRAGONFORCE最強!」とか言っちゃう厨2スタイルから、どんどんメタルの沼へハマっていきました。

 

-その2バンドはパワーメタルの王道ですよね!そこからバンド活動を始められる訳ですが、最初のきっかけを教えて下さい。

 

やんち : 高校は5年制度の高専に入学するのですが、そこで友達に軽音部見学に誘われて一緒に見学に行きます。部室に入るとそこで先輩達がMETALLICAの「St.Anger」を演奏していて、それが衝撃的だったんですよ。楽器は出来なかったのにその場で入部を決めました。
同じタイミングで見学に来ていた4人でバンドを結成し、私はベースを始める事にしました。バンドではRED HOT CHILI PEPPERSやINCUBUSをコピーして学園祭でもスラップなんかも用いてライブしたんですが、先輩から陰陽座のボーカルやって欲しいというオファーがあり、陰陽座で初めてボーカルデビューしました。周りはELLEGARDENのコピーバンドでチヤホヤされてる中、ベースでは、METALLICA/ムック/DIR EN GREY、ボーカルではDEFTONES/PANTERA/マキシマムザホルモン等のコピーバンドをやっていた学生時代でした。

 

-メタル道を邁進されていらっしゃいますね!

 

やんち : そうなんです(笑)。その後、2009年に就職で滋賀に移り、大阪まで気軽にライブに行ける様になり、海外バンドの来日イベントを中心にライブハウスへ遊びに行く事が増えました。そこで、「Know Reason Why」という大阪アメ村のCDショップ「礎」が主催しているイベントでCrossfaith/HER NAME IN BLOOD/fate in spiral等の国内のバンドに衝撃を受けて、「俺もオリジナルのバンドやりたい!」という想いが強くなりました。もちろん、関西に友達は居なかったため、当時主流だったSNS「mixi」を使ってメンバー募集を始めました。長い間メンバーは見つからなかったのですが、2010年のBETWEEN THE BURIED AND MEの来日でライブハウスに向かう途中、突然「君、バンドメンバー探しているでしょ?俺ギター弾くよ!」とよくライブハウスで見かけたけど、初対面の人に声をかけられ、私の関西でのバンドはスタートします。実はこれが京都カオティックハードコアVision of Fatimaの始まりだったりします。

 

-そんな事実があったんですね……!初めて知りました。

 

やんち : そんな訳で、実は私Vision of Fatimaの設立者だったりするのですが、1枚ジャーマンメタルコア直系のデモを作った後、2011年春に諸々あって脱退します(笑)。その後、Justice For Reasonの前身バンドに加入し、スーツを着たり色々と”社畜コア”としてリニューアルして、2011年の年末に現在の形で活動を始めました。当時から体制は変わってますが、今まで活動を続けています。

そして、昨年には滋賀のスクリーモ/叙情派ハードコア「5PM Promise」にもボーカルで加入しました。5PM Promiseは実は1度解散しているのですが、解散ライブがJustice For Reasonのデビュー戦だったり、定期的に近江牛会と題して焼肉したりする仲で同じ滋賀に住んでいるという事もあり、加入を決めました。

 

-それでは、改めましてやんち様の音楽的ルーツを更に掘り下げて教えて下さい。

 

やんち : 中学時代はアニソンからメロスピに入って、正統派ヘヴィメタル/メロデス/デスメタルと展開していきました。近所にTSUTAYAが出来た事をきっかけに、メタルコーナーにあるCDをその場で視聴して、気に入ったCDはすべて借りて聴く生活を行ってました。近所のTSUTAYA結構品揃えが今考えても異常で、普通の洋楽コーナにしれっとCRYPTOPSYやSOILWORKが置いているんですよね(笑)。メタルコーナーのCDはほぼすべて借りたのではないか?というくらい隅から隅までチェックしました。当時借りたCDは手元にはないため、最近見つけたら買う様にしています。高校時代は流行という事もあり、ミクスチャーやニューメタルにハマってました。世界中のバンドをチェックしていたので、この辺りが私の青春の音楽だと思います。

その後、高校から某イタリア料理屋でバイトを始めて、自分のお金でCDを買える様になりました。そのお金を握りしめて、CD屋さんに出向くのですが、私の地元には田舎でありながら、手書きのポップアップで愛情のこもった素晴らしいメタルコーナーの展開を行っていた「COSMO」というCD屋さんがありまして(※今は閉店しましたが……)、そこで色々なバンドのCDと出会いがありました。担当の店員さんとは今でも交流があるのですが、本当にバンド愛に溢れた素晴らしい人で私は米子市民で良かったなとも思っています(笑)!

バンドマンとしてのルーツは、叙情派ハードコアやメタルコアになりますが、この辺りチェックしたのは、10代後半辺りです。Djentが登場してから、衝撃を受けて色々なバンドをチェックしました。この頃は毎日斬新な音に出会えて凄く楽しかった事を覚えています。

今は浅~く広~く、色々なジャンルをつまみ食いしている感覚ですね。毎年少しずつ好みが変わってその変化を自分でも楽しんでいます。最終的にはSunn O)))の音源を純粋に良いと思える様になれたらいいなと思っています。
ボーカルスタイルとして、尊敬している人はTHE BLACK DAHLIA MURDERのTrevor(Vo)ですね。ハイトローの使い方が素晴らしいです。国内では、日本語を日本語して意識して聞かせない歌い方の参考にArise in StabilityのHosuke(Vo)さんのスタイルに影響を受けました。フロアで歌うライブスタイルはBlind Colored Schemeの脇田(Vo)氏に影響を受けています。

 

-皆、独自の世界観を持ったボーカルですよね!それでは、やんち様は日々のサイクルの中で、どれだけの時間を音楽Digに費やされていらっしゃいますか?

 

やんち : 平日はサラリーマンをしているため、自由に使える時間が限られるのですが、起床後、昼休憩、退勤後、通勤時はFBのフィード等でニュースをチェックしてます。
帰宅後はPCで寝るまで新作音源をチェックしてるので、実質食事/風呂等に必要な時間以外はDigっているといってもいいと思います。最近はいつ寝ても朝は眠い事に気が付いたので、夜更かしが加速し、深夜の2時3時までPCに向き合ってる事も増え、睡眠時間がドンドン短くなっています。休日は外に出ない限り、ずっとPCと向き合っている事が多いです。大体12時間くらい音源求めてインターネットの海を彷徨ってるのではないでしょうか?

私はドラマやアニメを含め、そもそもTVを見ませんし、映画も飛行機の中でしかここ数年見てません。ゲームやスポーツもほとんどしません。その様な娯楽の時間を自分の好きな音楽の時間に割り当てている感覚ですね(笑)。

 

-やんち様のDigに関しては、毎回鬼の様なDig力で感心させられるばかりですが、音楽をDigするに辺り、どの媒体/メディアから主に情報を得られていらっしゃるのでしょうか?

 

やんち : 基本的にはFacebookの公式バンドコミュニティがメインとなります。BandcampやYoutubeも使いますが、情報の速さのアドバンテージを考えると、今の段階では海外の情報は源流となるFBが最も活用出来ると考えています。

新規のバンドチェックはさーっとフィードを眺めながら、好みのジャケットをピックアップしています。結局これが効率良いと辿り着きました。1時間あれば、10曲くらいはチェック出来るのでその中で1バンドでも当たりがあればラッキーですね。100バンドくらいチェックすれば、確実に好みのバンドは見つかると思います。最近はジャケとロゴ見れば大体音楽性が見える事が多いので、すぐに好みのバンドに辿り着ける様にはなってきました。
まとめて情報をチェックするだけであれば、DreamboundやBeheadingTheTraitorの様なYoutubeのプロモーションアカウントを活用するのが無駄が無くて良いですね。

Dreambound YouTube Channel : https://www.youtube.com/user/FLHPromotions

BeheadingTheTraitor YouTube Channel : https://www.youtube.com/user/BeheadingTheTraitor

 

-そんなやんちさんが尊敬するDiggerを教えて下さい。

 

やんち : 国内では、やはりSailing Before The WindのBitoku(Ba)先生を尊敬しております。敵いません。

 

 

海外では、中国出身/台湾在住でAN EMPTY CITYのMatt(Gt)はとにかく情報早く、知識量も異常です。彼から日本のバンドの新曲情報をいつも貰ってます(笑)。

 

 

アジアンバンドの情報をまとめた”UniteAsia(https://uniteasia.org/)”というポータルサイトがあるのですが、中の人は香港ハードコア界のレジェンドで”荔枝王”で永年ボーカルを務め、現在は”Dagger”でギターボーカルを担当しているRizさんが運営しており、日々凄い情報量で更新しているので驚かされます。香港行った際には会ってるのですが、先日「他の国は基本的にはFacebookで発信するけど、日本のバンドの発信はTwitterがメインだからDigるのが大変だ」と不満を漏らしてました(笑)。

 

 

-2013年より音楽のDiglogとして「Dig! × Dig! × Dig!」を開設されていらっしゃいますね。
こちらを始められたきっかけを教えて下さい。

Dig! × Dig! × Dig!(ブログ) : http://digxdigxdig.blog.fc2.com/

 

やんち : 元々、学生時代からCDレビューや特集をまとめたブログを書いていたんですが、時代の流れでmixiに移動し、その後Twitterに発信の場を変えています。

本ブログは情報が溢れている現代の中で、特に気になったバンドは後で振り返れる様にまとめておこうとしたのがきっかけです。運営している中でインタビューや特集が増えていきました。
セルビアのSenshiというバンドは、Twitterの投稿が思いの他伸びて、インタビューも実施したのですが、これがきっかけで今年の秋に来日が実現します。流石にこれはやって良かったなと感じました。9/9の京都場所は私の企画で仕切らせて頂きますので、良かったらチェックしてみて下さい。
https://camp-fire.jp/updates/view/49646#main

現在、ブログ上ではあまりバンドを紹介出来ておらず、Twitter上で完結している事が多いのですが、気になるバンドのCDを世界中から集めたディストロを活発化させてますので、良かったら一度覗いてみて下さい。もしかしたら、欲しかったCDがあるかもしれません。
DIG! × DIG! × DIG! × DISTRO!:https://digxdigxdig.thebase.in/

 

-話は変わりまして、近年digした中で感銘を受けたアーティストを教えて下さい。

 

やんち : 最近はSnail’s HouseやYUC’e といった”Kawaii Future Bass”にハマってました。その中でもFIELD OF FORESTのかっさんとせらくんのユニットで最近彗星の如く登場した”Neko Hacker”はTOPPA!さんでもインタビューされてたと思いますが、”Kawaii Future Rock”スタイルに完全にヤラれました。間違いなく売れると思います。

Neko Hacker インタビュー | TOPPA!! : https://toppamedia.com/interview-neko-hacker/

 

海外の音源ではチリ産叙情ハードコア”No Todo Está Perdido”の新譜が震える程、かっこよくてヘヴィロテですね。(https://ntephardcore.bandcamp.com/)
チリはここ最近良質なバンドがガンガン登場していて当たりが多い印象です。

 

 

国で言えば、近年はオーストラリア/ロシア/タイ/中国辺りのバンドを集中的にチェックしていましたが、そこにチリも加えています。

シーンで言えば、特に中国は非常に面白いと思います。前提として中国バンドは国外に情報発信が難しく、バンドの情報をキャッチするのも簡単ではありません。そのため、中国のSNSに潜入して情報を拾いに行く事も出来るのですが、そこまでは少々めんどうで出来ていないのが現状です。近年だと中国Djent”ONCE N FOR ALL”やバンド名にパンチがあり過ぎるデスコア”HENTAI MAID”等世界基準のバンドがドンドン登場しています。まだまだ中国には知名度は無い/発信を全くしていない良質なバンドが隠れているのではないかと考えるとワクワクします。Hentai Maidにはインタビューも実施したので良かったらチェックして頂きたいです。(http://digxdigxdig.blog.fc2.com/blog-entry-663.html)

 

 

MVではロシア産マスコア”TRIUMPHANT”の新しいMVがアグレッシブでディレクションが異常でした。

 

 

また、昨年リリースにはなりますが、UK産叙情”DEFERENCE”のMVもエモ過ぎて優勝ですね、衝撃的でした。

 

 

-去年のやんち様の活動を振り返ると、どんな年でしたか?また、今年の目標を教えて下さい。

 

やんち : 去年はバンドとしては、5PM Promiseで新曲をリリースしたくらいで、CD媒体でのリリースはしてないのですが、続ける事が大切を合言葉にマイペースに何とか活動を続けてます。個人的には時間に余裕があれば、海外へ旅行してライブを見に行ったり、現地のバンドマンと交流する機会を増やしました。

今年の目標としては、海外でライブを行う/野外フェスに出演すると定めてたのですが、先日、5PM Promiseで台湾フェス”山海屯音樂祭”に出演した形としては叶えてしまったので、機会があればもっと様々な国でライブしたいですね。今年はちゃんと新作をリリースする事を目標にしたいと思います。

 

 

-それでは、昨今の音楽シーンに対して思う所を教えて下さい。

 

やんち : 今はWarnerに売却されましたが、元Artery Recordingsの社長と去年韓国のバーにて隣で話す機会がありました。そこでCDを渡した時に「俺CDプレイヤー持ってないんだ。Spotifyはあるかい?」と回答された事に衝撃を受けました。CDたくさん貰うから断る為の返答とも捉えれますが、CDを売る立場の大手レーベルの社長でもマインドは変わりつつあるのかな?と素直に受け取りました。CDは世界的にコレクターズアイテムになって来てると思いますが、さらに加速するのではないかと思います。ストーリミングサービスは純粋に便利な事は間違いありません。どちらも良い悪しはありますが、CDで欲しいという人は買えば良いだけですし、「CDで買わなければいけない」という押し付けだけは無い様にしたいですね。

Djentの登場以降、画期的な新しいタイプの音楽は出て来ていない様に感じますが、しいて言うならニューメタルコアくらいでしょうか?爆発的には流行ってない印象はあります。結局のところ、ニューメタルの現代版リバイバルであり、ヘヴィに加速させるのか、エモやオルタナ等 90’s~00’sの音楽をさらに昇華させるのか、バンドの色を組み合わせるスタイルで、今年はさらに色んな融合が見れるのではないかと思います。最近のニューメタルコアバンドだとオーストラリアの”生 Conform 死”(これで正式名称)の新譜はかなり面白かったです。

 

国内では、デスコアやDjentバンドも登場して一般的な音楽になりつつあるのは、純粋に凄い事だと思います。国内は正直今何がトレンドなのかわからなくて困っています(笑)。

 

-やんち様の今後の予定を教えて下さい。

 

やんち : Justice For Reasonは新作へ向けて音源製作しておりますが、リリース時期は未定です。5PM Promiseは夏頃とあるレーベルから音源をリリース予定です。予定は未定ですが……どちらのバンドもライブはあまり決まっておりませんので、是非お誘い気軽に頂けると幸いです。
個人としては、まだ告知は出来ませんが、色々仕込んでいる事もありますので、また各SNSチェック頂ければ幸いです。

Justice For Reason : https://twitter.com/Justice4Reason
5PM Promise : https://twitter.com/5PMpromise

 

-今回は貴重なお話をありがとうございました!最後にTOPPA!!読者へのメッセージをどうぞ。

 

やんち : ここまで読んで頂き、ありがとうございます。JFR/5PM共に少しでもチェックして頂けると幸いです。
たまに議論になっているのを見かけますが、Digをしている人が偉いとかそういうのは絶対ありません。読者の皆様は音楽が好きな人が多いかと思いますが、音楽の愛情は人それぞれです。娯楽の一つとして、好きな様に楽しむのが一番だと思います。
本日はこちらこそ貴重なお時間、誠にありがとうございました。