kOTOnoha(コトノハ)
Twitter : https://twitter.com/kotonohaband
Facebook : https://www.facebook.com/kOTOnohaband
メンバー :啓志(Vo) 横田和樹(Vo&Gt) とげぴー(Gt) 平林(Ba) 春樹(Dr) かわうちゆうき(Sup Gt)
近年、日本のハードコアシーンを見渡すと、全国各地で様々なサブジャンルのバンドが出現しており、数多のバンドがそれぞれのオリジナリティを確立すべく、日々模索を続けている。スピード感溢れるメロディックや叙情系、巨大なピットを作り出すビートダウン、再評価の機運高まるニュースクール、己の内面をアウトプットした激情系/カオティックなど、その形は様々だ。
そんな中、甲信越地方は長野県長野市から、県内に留まらず、全国区で活動しているハードコアバンド「kOTOnoha」は、東京の名門ラウドレーベルTWILIGHT RECORDSから今年9月にシングル『煤 / 朝5時』をリリースしており、今、日本のハードコアシーンの中でも話題沸騰中の成長筆頭株である事は間違いない。
今回TOPPA!!編集部は、今勢いの止まらない彼らに対して、バンド結成の経緯や現在に至るまでの活動、彼らのルーツやローカルシーンに想う事について、メールインタビューを試みた。
文 / kOTOnoha 編集 / 宮久保 仁貴
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-kOTOnoha様の各メンバー自己紹介、そして結成から、現在に到るまでの経歴を教えて下さい。
啓志:ヴォーカルの啓志です。「ひろし」と読みます。長野県長野市育ちの31歳です。ブッキングと飲酒を担当しています。だいたいライブハウスか居酒屋かtwitter上にいます。
横田和樹:ギターヴォーカルの横田和樹です。kOTOnohaの曲は自分がメインで作っています。また、「185studio」という名義で映像や写真の仕事もしています。
平林:ベースの平林です。この手のバンドでは珍しめのEUB(エレクトリック・アップライト・ベース)を弾いています。個人的にずっとEUBプレイヤーだったわけではなく、バンドの見た目としてのインパクトを狙って2015年3月の加入時に自分から持ち込みました。
春樹:ドラムの春樹です。サポート期間を経て、2016年7月にkOTOnohaに正式加入しました。INVICTUSというデスメタルバンドでも叩いています。
かわうちゆうき:サポートギターのかわうちゆうきです。長野県南部の伊那市という街の出身で、高校時代は邦ロックバンドでギターヴォーカルをやったり、ラウドロックバンドでギターを弾いたりしていました。高校卒業後に上京し、2017年4月からkOTOnoha からお誘いをいただきサポートをしています。
啓志:あと正式ギターで「とげぴー」というメガネの丸っこいおたくがいるんですが、今回は欠席です。炭水化物全般、ハードコア全般、声優の田村ゆかりさん、アニメ「ひだまりスケッチ」が好きということだけ自分の方からご報告させていただきます。
横田和樹:kOTOnohaの結成は2013年11月、初ライブは2014年の6月です。初期メンバー全員がそれぞれ長野県内で別ジャンルのバンドをやっていたんですが、飲みの席での「半年に1本くらいのペースでライブするお遊びバンドを組もう」という話から結成に至りました。元々はベースレスの4人編成でした。
啓志:「kOTOnoha」(コトノハ)というバンド名については、初見で読めて、かつ略されない名前を考えている中で浮かびました。「OTO」の3文字が大文字なのは「言葉の中から生まれる音」みたいな思いを込めています。
先日、初めてスタジオでジャムセッションした時の録音を久しぶりに聴いたのですが、変拍子や抑揚のないラップ~ポエトリーリーディングを多用したような、現在よりずっとダークな音楽をやっていて、我ながら衝撃を受けました(笑)。たしか結成時に意識していたバンドは反好旗やZAZEN BOYS、キウイロールあたりだったと記憶していますが、今や片鱗もありませんね…。
その後2015年3月に平林がベースとして、2016年7月に春樹がドラムとして、それぞれサポート期間を経て加入してくれました。2017年3月にオリジナルギターのとげぴーが一身上の都合で無期限のお休みに入りまして、翌4月から継続サポートギタリストとしてかわうちゆうきに手伝ってもらっています。
平林:自分はもともと加入以前からkOTOnohaが好きで、それこそ初ライブから客として見に行っていました。2015年1月にサポートギターとして声を掛けてもらったんですが、いざライブしてみたらフィーリングも合うし、当時のkOTOnohaはベースレス編制だったから、内心「俺にベースやらせてくれないかな~」と思っていた矢先にバンドから誘ってもらって正式加入しました。パズルのピースがぴったりハマったような気持ちでしたね。
–バンドとしての音楽的ルーツ、そして、各メンバーの音楽ルーツを教えて下さい。
啓志:結成時から一貫している要素は全編日本語詞、僕と横田のツインVo、00年代初頭のエモ~オルタナ的なGtフレーズとラップ~シャウトの組み合わせですね。
また、その日しか鳴らせないライブをしたい!という気持ちが強くあり、フリースタイルやジャム的な即興要素も取り入れています。これも自分達の持ち味かなと思っています。
そして、個人的なルーツを語らせてもらいますと、非常に長くなります(笑)!Voとして影響を受けた方は数えきれないのですが、その中でもRED JETS(富山)のアライコウスケさん、Cailn(横浜)のKenさん、ex.ANGAGEMENT(東京)のWAJOEさん、EACH OF THE DAYS(名古屋)のNorioさんには多大な影響を受けています。スキルやスタイルではなく、ライブに全身全霊で挑む精神や真摯な人間性に憧れていますね。ラッパーのHAIIRO DE ROSSIさん、レゲエディージェイのARAREさんにも「リリカルかつリズミカル」という点で影響されています。
リスナーとしての音楽ルーツとなると、ヘヴィメタル、ハードコア、ヴィジュアル系、日本語ラップの4つが自分の核になっています。
中学2年生の秋、激しい音楽を求めてX JAPANに出会うのですが、彼らの「BLUE BLOOD」や「紅」みたいな曲がメタルだということを知り、そこからメタルつながりで聴いてみたGAMMA RAYの3rd「Insanity and Genius」で完全にメタルに魅せられてしまいました。
また、メタルにハマった直後にXからの流れでLUNA SEAにもハマりSLAVEと化しました。曲で言うと「gravity」「4:00AM」等の空間系エフェクターを多用した曲が大好きで、高校時代にこういう音楽って他に無いのかな?と調べていくうち、ハードコアとの出会いが待っていました。
当時のタワーレコード長野店(現在は閉店)にはYさんという、パンク/ハードコアに物凄く造詣の深いバイヤーさんがいらして、彼に「LUNA SEAの遅い曲が凄く好きなんですけど、オススメありませんか」という質問をしまして。これ、今思えば絶対こんなやつ接客したくないな、という感じですね…。
そこでYさんに勧めていただいたのが日本のenvyなど、いわゆる激情系ハードコアのバンドでした。envyは当時アルバム「a dead sinking story」をリリースしたばかりで、ポストロック方面へ向かっていた時期だったので、自分の中でのハードコア原体験はエモや激情系ということになります。
同時期にEDGE OF SPIRIT「影と光」やENDZWECK「A Farewell to Arms」といった名盤にも触れ、ハードコアにハマるきっかけになりました。高校卒業後、大学進学で上京した際にひょんなことからNABEさん(ANGAGEMENT Gt)と出会い、LOYAL TO THE GRAVEなどのライブに連れて行ってもらい、ライブの醍醐味や店では手に入らないdemo CDの魅力を知りました。NABEさんとは知り合って10年以上経ちますが、自分の音楽人生に最も多大な影響を与えてくれた兄貴的存在です。これはいつかインタビューを受ける時、必ず言いたいと思っていました(笑)。
また、LUNA SEAからの流れで、中学3年くらいからヴィジュアル系もよく聴いていました。ハードコアやヒップホップと同じく、独自のマナーに則った様々な「文化」があるのが好きですね。さすがに現行の若手バンドは分からなくなりましたが、一番好きな音楽は今でもヴィジュアル系です。
そして、日本語ラップも大好きです。きっかけは中学2年生の頃リリースされたZEEBRAさんのソロ2nd「BASED ON A TRUE STORY」ですね。ラッパ我リヤなどの走馬党、Da.Me.Records、MSCやコンピ「CONCRETE GREEN」周辺アーティストにもハマりました。海外のラップは言葉遊びの妙が分からずあまり触れていないのですが、Wu-Tang ClanとCee Lo Green(Goodie Mob)は大好きですね。
横田和樹:高校で軽音部に入ったんですが、部の先輩たちがメロコアをやっていて、その影響で当時はメロコアをやっていました。完全にキッズでしたね。放課後はもっぱらバイトか、ライブハウスの事務所で雑談か…みたいな青春のカケラもない高校生活を送りました。
高校3年生の時、たまたまフライヤーで見かけたHOLSTEINの解散コメントに完全に胸打たれ、オルタナ~エモ方面も聞くようになりました。周囲のライブハウススタッフさんや先輩バンドマンにも恵まれ「それが好きならこれもオススメ!」と毎月のようにCDを貸してもらっていましたね。それらを入口に激情ハードコア、オルタナ、インストバンドにハマります。ちなみに高校卒業直前の18歳からkOTOnoha結成直前までやっていたバンドは、残響レコード系のバンドに影響を受け過ぎていました。ド下手でしたが…(笑)。
現在、自分が作る曲や歌詞の根底にあるのはtoe、amazarashi、ATATA、bacho、my name is…、akutagawa、the cabsあたりです。
平林:中学生の時にL’Arc~en~Cielで音楽に興味を持って、hideさんや黒夢、SADSあたりが入口でした。その後、姉の影響でパンク~メロコアを聴くようになり、ベタですけどHi-STANDARDはめっちゃ好きでした。アルバムを録音したMDを友達と交換したりして…。青春ですね。
その後色々なジャンルを経てスクリーモにもハマり、国内バンドでは特にTRIBAL CHAIRが好きでした。kOTOnoha加入以前にやっていたバンドもズバリTRIBAL CHAIRみたいな音楽をやりたい!というコンセプトで組んでいましたね。あとアニヲタなので、アニソンも好きです。「ひだまりスケッチ」の主題歌集は永遠に聴いていたいです。
春樹:ドラマーとして影響を受けたのはDir en greyのShinya さんとL’Arc〜en〜Cielのyukihiroさんです。バンドに興味を持つきっかけはThe Atarisの4thアルバム「So Long Astoria」ですね。このアルバムをきっかけに洋楽にかぶれ、Funeral For A FriendやThe Used、Story of the Year、Linkin Parkなどが僕の青春です。同郷で同世代のドラマー・SEKIGUCHI LOUIE(ex. The Mirraz、現フレンズ)の紹介で初めて本格的なオリジナルバンドに加入し、長野県内のライブハウスでの活動を経てkOTOnohaのメンバーと出会い、今に至ります。
かわうちゆうき:自分の音楽的ルーツとなっているのはRADWIMPS や東京事変などの邦ロックバンドです。歌詞や世界観、キャッチーさなどに惹かれて音楽を聴き始めましたが、ギターを弾くようになってから演奏面や音楽の本質的な部分を掘り進めていくなかでLarry CarltonやJoe PassといったJAZZギターも聴くようになりました。現在のプレイスタイルやライブパフォーマンスにはその両方が組み込まれていると思います。
–先日発表された「煤/朝5時」の聴きどころについて教えてください。
啓志:今作は東京のTWILIGHT RECORDSからリリースしていただきました!仲の良い東京のミクスチャーバンド・PRAISEも所属していますし、レーベルからのリリースはひとつの夢だったので、お話をいただけて本当に感動しました。
Track 1「煤」はPRAISEのVo「Yuta Kobayashi」くんを客演に迎えた全編ラップの曲になっています。原曲はRYOTARO OSAWAさん(The Banana Plantations/伊那GRAMHOUSEオーナー)という別のゲストを迎えた形で存在していたのですが、YutaくんとPRAISEに出会い、彼らの企画ライブへ誘ってもらった時に「一緒にやってみない?」と歌詞を書き下ろしてもらったのが始まりです。今ではkOTOnohaにとって欠かせない曲に成長しました。Yutaくんがいない時は僕が1ヴァースまるまるフリースタイルしています。他のバンドから客演を迎えることもありますね。先日はラッパーの「春ねむり」ちゃんが参加してくれました。
僕の歌詞は2014年1月に若くして亡くなった地元バンドの後輩について書いたものですが、追悼ではなく「こっちは今も生きて音楽を楽しんでるぜ!」というポジティブな歌詞です。
また、今回Track 4に歌なしのインスト版も収録しているのですが、これはヒップホップの12インチシングルのB面にインスト版が収録されているアレのオマージュです。腕に覚えのある人はぜひオリジナルの歌詞を書いてもらって、勝手にtwitterとかYouTubeにアップしてほしいです(笑)。
PRAISEは音楽的にカッコいいのはもちろん人間的にも物凄く大好きで、本当に兄弟みたいな存在です。彼らはいまや飛ぶ鳥を落とす勢いですし、メインストリームでも暴れまくって欲しいですね。
Track 2「朝4時59分」とTrack 3「朝5時」はkOTOnohaを結成して最初に完成した曲です。初音源(廃盤)に収録していたものを現在のライブアレンジで再録しました。歌詞については、朝5時という時間が、人によっては仕事に向かう「始まり」の時間だったり、人によっては遊び疲れて帰る「終わり」の時間だったりするように、物事を色んな側面から観た時、実は自分自身の心ですら不確かだよね?という趣旨ですね。サウンド的にもkOTOnohaらしさが詰まっていると思います。ちなみに原曲を収録した初音源「ウツロヒ」は定価10円というふざけた値段で売っていたのですが、そろそろメル●リとかヤ●オクに300円くらいで出品されないかな~と思っています。
横田和樹:Track 1「煤」に関しては、Yutaさんを客演に迎えて曲を再構築するにあたり、自分のギターパートを原曲から全部アレンジしました。「人力生演奏のラップトラック」を念頭に置いてラップを邪魔しないループ的フレーズにしたんですが、ギターだけを意識して聴いてもかっけぇ、みたいなところを狙いました。Track 3「朝5時」も基本的にはループ展開なんですが、こちらは逆にループに聴こえないようなつくりにしました。歌詞も再録にあたってほんの少しだけ変更しています。
–昨今のラウドシーンで勢いのあるバンド、今後のシーンの流行について思うことを教えて下さい。
啓志:勢いのある若手バンドとしては、まず東京都立川市のSoldier who fights against Painの名前を挙げたいです。ライブが圧倒的なんですよ。とにかく1回ステージを観て欲しいですね。去年、立川BABELでのツアーファイナルを観ていて「あっこれ勝てないわ」と思わされました。ただのファンです。
若手といえば東京のSECONDLOWやjailbreak、Sable Hills、埼玉のDemo’n’Actual、新潟のCall Sign Eagle、福岡のuniverse last a ward、Paledusk等もめちゃくちゃ記憶に残る存在ですね。メンバーが個々にガンガン自己主張しつつ、バンド全体にも物凄いパワーを感じる。
20代後半になってくるといよいよ引き返せない修羅みたいなやつがワンサカいるんですが、特に東京のnhommeとRiTTLEBOY、大阪のRoar、京都のVISION OF FATIMAあたりは「こいつら明日死ぬんじゃないの…」的な鬼気迫ったライブをかましていると思いますね。
で、30代以降になるともう鬼みたいな人や平気な顔して狂っている人が多いし、そういう人たちがやっているバンドはだいたいライブが死ぬほどカッコいいので名前を挙げきれません(笑)。
今後のシーンについては自分達が口出しすることではないと思うのですが、長野県出身のバンドマンに大活躍してほしいと日々願ってはいます(笑)。若手ではC-GATE、Falling Asleep、SECONDLOWのGt折井、See You SmileのGtショーン& Drぎりおだ、WittgensteinのDrケンなど。挙げてみると結構いますね。ベテランではHopeless RavenのVoムネくん、The RabiesのVo五味さんとはお会いするたびお酒片手に長野県最高~!と話しています。
あと、先日CRYSTAL LAKEと初めて対バンしたんですが、なんとGtのShinyaさんのご実家と僕の実家が自転車で10分ちょいの距離と発覚し、一気にグルーヴが高まりました(笑)。
–長野県から見た他都市のシーンについてはどのように感じますか?
啓志:個人的に「シーン」という言葉はとても重いものだと思っているし、一端を垣間見ただけでその街を語るのは野暮だと思うのでダラダラ語るのは控えたいのですが、自分が素晴らしいと思ったのは福岡、新潟、福島郡山ですね。この三都市では10代、20代、30代が断絶せずしっかり交流していました。自分もそうありたいと背筋が伸びます。
-現在の長野県のシーンの動向について教えて下さい。
啓志:近しいところでいくと、信州叙情ハードコアPsalms of Planetsと松本発メタルコアFalling Asleepは兄弟みたいな存在ですね。彼らとは「ヤバイヨル」という無料3マンイベントを共同で企画したのですが、告知フライヤーや映像制作、当日のフードまで全て自分達で作り上げ、200人近い動員を達成しました。音楽的なスタイルは違えども、強く意識しているライバル的な存在です。お互いのメンバーがサポートでステージに立つこともあります。僕も1回だけFalling AsleepのサポートVoをやりました(笑)。
また、「長野県の音楽シーン」という言葉を使うとすれば、kOTOnohaがその中心にいるということは全くありません。各都市にそれぞれ自分の街のライブハウスを盛り立てているバンドやイベンターさんがいます。
前提として、我々の地元に対するスタンスを表明しておこうと思います。僕たちはライブ冒頭で必ず「長野県長野市から来ました」と名乗るのですが、これは長野県にもバンドがいると知ってもらい、ゆくゆくは県外の方にも長野県の音楽全体に興味を持ってもらう役割を担いたいと思っているためです。kOTOnohaは地元で全然ライブをやらないと言われることもありますが、自分としては「長野県」という名前を外に持ち出して広めてくるのも、県内で活動するのと同じくらい大切なことだと思っています。
自分個人としてはkOTOnohaの前に在籍していたバンドで長野県のラウド系をまとめたフリーサンプラーを作ったり、ヴィジュアル系など他ジャンルとの共同企画をしたりと「中を盛り上げる」活動に重きを置いていたのですが、新たに「中から外へ広げる」活動をしてみたいと思い、県外に出るようになっていきました。
承前、長野県の音楽の話をすると、全体的傾向として、ここ3年程で大学生~社会人のバンドがかなり減っており、やや寂しさを感じますね。県外でもライブするバンドは多くありませんが、各ジャンルのテンプレートにはまらない独自進化をとげた個性的なバンドが多く、音楽的なレベルは決して低くないと思います。
我が県は南北に広く、それぞれの都市のライブハウスに独特の色や空気がありますので、今回は大きく5エリアに分けてご紹介しようと思います。
僕が住んでいる長野市エリアは昔からハードコアパンク、グラインドコアの文化が根付いていて、一昔前はヴィジュアル系も盛んでした。長野駅前には我々のホーム「LIVE HOUSE J」をはじめ、メジャーバンドがよく訪れる「CLUB JUNK BOX」、フラットステージの「India Live The Sky」といったライブハウスがあります。また、駅前エリアから少し離れた「NEONHALL」ではライブだけでなく演劇や朗読、絵画のイベントなども行われており、トータルでカルチャー渦巻く空間になっています。「the Venue」をはじめクラブも複数あり、ヒップホップやレゲエのイベントも行われています。
松本エリアは現在東京で活躍するC-GATEやFalling Asleepを輩出した街で、メタルコアや当代的なポストハードコアのバンドが最もツアーで訪れるのもこの街です。ライブハウスで言うと「ALECX」、「MOLE HALL」、「Sound Hall a.C」ですね。「瓦レコード」や「give me little more.」といった小規模なライブスペースを中心にNEW WAVEやオルタナ、アヴァンポップの文化も根強く存在しています。また、面識はないのですが、MASS-HOLEさん(Kingpinz)らラッパーのイベントが行われる「SONIC」というスペースもあります。
上田エリアには「Radius」というライブハウスがあり、ベテランメロコアバンドALL ROUNDやex. HEAVY CLAFTのメンバー等が運営していて、メロコア系のバンドがよく訪れますね。現在地元バンドが最も精力的に活動しているのもこのエリアだと感じています。BLUE PARADOGS、MORTAL SHADOW、Lazy Damn Boysといったバンドは是非県外の方にもチェックしていただきたいです。高校生バンドの登竜門的な「#break」というライブハウスや「LOFT」というクラブもあります。
諏訪エリアの「CLUB ROCK HEARTS」からはINKY MAPや、先日SUMMER SONICに出演を果たしたJacob Jr.など、00年代メロコアにルーツを持つ若くてメロディアスな歌ものロックバンドが生まれました。一方ですぐ近くの「DOORS」では30代~40代のガレージ/ブルーズ系のロックバンドたちがバリバリ活動していますね。
伊那エリアには「GRAMHOUSE」というハコがあり、このライブハウスが街の音楽好きをリードし、育てている感があります。大人と高校生が同じ空間で爆音バンドやインストバンドで踊っている姿は良い意味で異常です(笑)。先日「未確認フェスティバル2017」で話題になった高校生バンド・FAITHもここが拠点です。
隣接の駒ヶ根市には「G-Studio NIRVASH」というハコがあり、こちらでも毎週ライブが行われているほか、高校生RAP選手権で一躍有名になったMC☆ニガリ a.k.a. 赤い稲妻氏が拠点にしていたというエピソードもあります。
どのエリアも東京からおおむね3時間圏内なので、県外の方にもぜひ一度は遊びに来てみてほしいですね。ライブハウス周りの美味しいお店もご紹介しますよ。
–今後のkOTOnoha様の予定を教えて下さい。
啓志:ありがたいことに各地でお誘いをいただいており、ほぼ毎週どこかでライブをしています。詳細は公式Facebookページをチェックしていただけますと嬉しいです!
https://www.facebook.com/kOTOnohaband/
横田和樹:いま新曲もガシガシ作っています。そう遠くないうちに新音源もリリースしたいなと思っています。
啓志:個人的にはConcealments(東京)のアルバム「The Watershed」の「Kaigan-Dori」という曲で客演させていただいたのが凄く楽しかったので、色んな客演に呼ばれるようになりたいです。バンドさんやトラックメイカーさん、気軽に誘ってください(笑)。
–これからシーンを担うキッズ、バンドマンへのメッセージをどうぞ。
平林:友達とか先輩とか、色んな人が色んなことを言うと思います。音楽性だとか活動の仕方だとか。時にはディスられたりするかもしれませんが、バンドが10組あったら10通り、バンドマンが100人いたら100通り、それぞれの正解があっていいはずです。もちろん自分の信じる通りに進んでいけば必ず報われる……などと無責任なことは言えませんが、そう捉えた方が絶対に楽しいと思いますよ。自分自身、音楽でメシを食おうとか東京に出て勝負しようとか思いませんけど、単にライブを演ったり観たりしているのが楽しいので。シンプルに「音が楽しい」でいいと思っています。
啓志:「シーン」という言葉は本当に重いと思います。もしその言葉を使うなら、まずシーンとは何かを自分なりにしっかりイメージ/定義したうえで、俺が/私が同世代を引っ張っていくぞ!くらいの気持ちでガンガン行動してほしいですね。もちろん背伸びをする必要は全然なくて、自分の楽しい場所を広げるにはどうしたら良いのか?自分や仲間がもっとのびのび活動するにはどうしたら良いのか?といった根本的なところをじっくり考えて、無理なく実践・継続していってほしいです。「自主企画vol.1が楽しかったから、バイトしてお金を貯めて絶対vol.2もやるぞ!」みたいなポジティブな会話が増えてほしいです。
横田和樹:音楽的な話でいくと「このジャンルをやるならこれは必ず聴いておけ!」みたいな言葉って、誰しも言われたことがあると思うんですが、正直そんな固定観念で曲を作ったところで本当に自分達の曲にはならないと思っています。「自分のバックグラウンドを昇華させた自分達らしい音楽」を追求するのもバンドの醍醐味の1つだと思います。
啓志:そして、これを最後まで読んでくれた画面の向こうの「あなた」にも、ぜひ長野県に遊びに来てほしいです。ライブを毎週やっているのも、自主企画を頻繁にやっているのも、毎年音源を作っているのも、根本にあるのは色々な人に会って長野県を知ってもらいたい気持ちですね。
平林:それではまた、ライブハウスで会いましょう。
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