APHS Split Release Tour Final Series2018.9.2@ 下北沢ERA ライブレポート

APHS Split Release Tour Final Series2018.9.2@ 下北沢ERA ライブレポート

取材・文・編集 / 鹿野 貴大


 

2018年9月2日、この日は日本のアンダーグラウンドなパンクシーンにおいて重要な日であったと言っても過言ではない。福島いわき市ではTo Overflow Evidenceが主催するONA FESが開催され、代官山UNITでは仙台レゲエハードコアの雄、SPIKE SHOESのワンマンがあったりと、各地で素晴らしいイベントが目白押しであった。

そして、下北沢ERAではAnd ProtectorとHollow Sunsのスプリットのツアーファイナル。6/30の吉祥寺WARPでのライブを皮切りに12本のツアーを経て(※福岡と岡山も予定されていたが、西日本豪雨の影響でキャンセルとなってしまった)、また東京に帰ってきた彼らである。ゲストアクトにATATA、MEANING、ENDZWECKと錚々たる先輩格を呼んで行われた、このファイナル、盛り上がらない訳がない!

今回は終始満員状態であったライブのうち、主催の2組に絞って、レポートさせてもらう。やはりこの2バンドのライブがどうだったかを読んでほしいから。

(※『And Protector / Hollow Suns SPLIT』に関しての両バンド、フロントマン対談はこちら)
URL : https://toppamedia.com/interview-and-protector-hollow-suns/


【Hollow Suns】photo by hiro itou

ATATA、MEANING、ENDZWECKの順にライブが終わり、遂にメインアクトの2バンドの出番。先手は東京のHollow Suns。サウンドチェック中にTatsuru(Dr)がAPの「Flashback」のイントロを叩き始めて、竿隊も少しだけリフを弾いて合わせていて、両バンドが仲良くツアーを周って来た事が垣間見えた。(※ENDZWECKの宇宙(Dr)もサウンドチェック中に同じ曲を叩いていた。)

サウンドチェックが終わり、ハウリングが鳴る中、Hollow Sunsのライブが始まった。一曲目はスプリットから、サビの力強いコーラスが印象的な「Back In My Head」でスタート。BONE$(Gt/Vo)がハンドクラップを求め、客もそれに応える。イントロの捻ったようなリフが印象的なドライブチューン「Out of Touch」が続き、BONE$が「踊りましょう、Let’s Go!!」と煽る。骨太なギターサウンドが心地いい。

Hollow Sunsのサウンドはオルタナやグランジの文脈で語られることが多い。勿論それもあるのだが、ハードコアの跳ねるようなストンプなリズムとSNAPCASEやGLASSJAWなどに影響されたインテリジェンスなリフワーク、そしてFOO FIGHTERSライクな王道のロックサウンドを上手くミックスしていて、「良くいるオルタナロック」とは一線を画したロックをやっている。しっかりとしたバックグラウンドが感じられるからこそ、このバンドはかっこいい。その後1st EPから「Veins」を演奏し、一旦ブレイク。

「東京のHollow Sunsです、よろしくお願いします!」とBONE$が名乗りを上げ、「ネットのインタビューで見た人もいるかもしれないけど、結構なし崩しな感じで決まったスプリットで……。」と今回のツアーの発端を語り、加えてこのツアーが本当に良いツアーだったとMCで振り返った。そして再開した4曲目は1st EPのリードトラック「Chasing Time」ヒロイックな上物のギターリフがかっこいい。続けてスマートホンの特性を活かしたユニークなPVで知られる「Longest Night」、轟音のフィードバックから始まり、浮遊感のあるリードのフレーズが印象的な「Drift Me Off」へと繋いだ。

ここでまたブレイクし、BONE$がMCで「Hollow Sunsは友達が多いバンドとは言えないんですけど、色々なバンドがいる中でリスペクトできるAnd Protectorとスプリットを出せてよかった。おじさん少し嬉しい。」と一緒にツアーを回った仲間へ謝辞を送った。そして「自分の中で信じることのできるものについて歌った」と語り、ラスト「Believe In」へ。優しい響きのあるイントロから何度も語りかけるように「Believe In!!」と歌うBONE$。Hollow Sunsにモッシュパートはない。そういう意味では観客のレスポンスと言うのは目に見える形では他のハードコアバンドよりは少ないかも知れない。しかし、ラストのこの曲では、皆自然と拳を上げて一緒に「Believe In!! Believe In,IBelieve In!!」とシンガロングしていた。ラスサビではダイブまで起こり、とても充実したラストでライブは幕を閉じた。


【And Protector】photo by Chikako Asai

そして、この日の締めくくりは静岡県三島インディパンクAnd Protector!1曲目は最早ライブの定番になっている「Twilight」から。スローなビートで始まりシンガロングパート大盛りで進んでいき、終盤ビートアップと共に一気に熱量を増す。オープナーに相応しい曲だ。続く2曲目はスプリットから「憂い」、「あの日の夜と同じだ」という歌詞が印象的で、最初から観客のシンガロングの勢いがすごく、ほぼ最初から最後まで歌っている人もいるほどだった。この曲は1stの再録で、過去の彼らのインタビューでも語られていたが、余計な部分を削ぎ落としグッと締まった感じで生まれ変わった。バンドの成熟度を実感させられるような曲である。ラストのシンプルな8ビートのアウトロが美しく映える。

続いて「3月10日」イントロの哀愁を感じるギターソロが鳴る中…なにやらムラオカ(Dr)の様子がおかしい…そして演奏が一旦中断したが、どうやらツアファイに対して気合が入りすぎて逆に盛大にミスってしまったらしい(笑)。突如「ムーラオカ!ムーラオカ!」と始まるコール。こういう感じも愛されているバンドだな〜という証拠だ。仕切り直してもう一度初めから「3月10日」をやった後、4曲目「思考の果て」が続く! この曲ではラストにツトム(Ba/Vo)が後ろに引っ込み、BONE$氏が歌うサプライズも。その後スプリットから「ゴーストタウン」が始まった。この日思ったことだが、Hollow SunsとAPのサウンドは対照的でHSはドッシリとした骨太な印象で、APはささくれ立ってて疾走感が強い。同じシーンにいながらもこういう対照的な2組が一緒に作品を出すことにスプリットの面白さがあると思う。

そして、「Flashback」イントロの8ビートでサイドトゥサイド(いわゆる横モッシュ)からのステージダイブという黄金オールドスクールパターン。この日はステージダイブが多かった。とても。(その分トラブルも多かったけど。)「Flashback」は分かりやすいモッシュパートは最初しかないものの、やさぐれた雰囲気や、ハードコアっぽいリズムの作り方も相俟ってかなりモッシーな曲である。そして、興奮冷めやらぬ内に間髪入れずにツトムの「envy!!」のタイトルコールのシャウトから、次の「envy」に雪崩れ込んだ。初めから待ってましたと言わんばかりにフロアはモッシュ、ステージはダイバーの嵐と一瞬でライブハウスは戦場に。叙情的で琴線に触れる曲をやりつつ、こういった曲で一気にフロアを搔きまわすことができる、そこがAPの凄みを感じる部分である。ラストは阿鼻叫喚のフロアにツトムがマイクスタンドを放り出して、群がるシンガロングでぶっ壊して締めた。そこから空気は一変、轟音のフィードバックと暗い青の照明に包まれる。そしてギャリギャリにささくれ立ったギターのコードストロークから「残花」でそれまでのアッパーな雰囲気に思い切り影を落とす。そして同アルバム『COLD』から「トマト」でまたパンキッシュな雰囲気に盛り上げ再びのMCタイムに。

ツトムが10本ほど周ったツアーを振り返り、「BONE$さんは父であり、弟のような人だ!」と言えば、袖にいるBONE$からは「兄じゃねーのかよ!」とツッコミが飛んでいた(笑)。そして、本編ラストはまさかの「ボトルシップ」!! APの曲の中でも強いメッセージ性が込められたこの曲。途中ベースのストラップが外れるトラブルの為か、ラストでツトムがベースを下ろしピンボーカルのスタイルでマイクを取って鬼気迫る表情で叫んでいたのも、逆に熱さを増していた。頂点に達した盛り上がりの中締めくくられるかと思いきや、間髪入れずにお客さんから「ワンモア!」の声が。アンコール前のMCで「今回のツアーでスタッフも含めて5人でAPっていうチームになれた気がします、これからの俺ら楽しみにしててください。」と頼もしい発言が。そしてアンコールは「エゴサーチ」を投下して幕を閉じた。

And ProtectorとHollow Suns、両バンドの今後もまた楽しみだし、彼らが発した日本のパンクロックシーンの熱量を誰かが繋いで、またはこの記事を読んで、何かを思ってライブハウスに足を運んでくれたり、何かしらの変化を生み出せたらこれ以上に嬉しいことはないと思う。

 

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