綿谷剛(読み方 : わたたに こう)
綿谷剛 個人Twitter : https://twitter.com/TRUST_RAD
TRSUT RECORDS HP : http://radcreation.jp/trustrecords/index.html
TRUST RECORDS Twitter : https://twitter.com/TRUST_RECORDS
TRUST RECORDS YouTube : https://www.youtube.com/user/radcreationinc
数々の名バンドの出身地、名古屋。近年だとBACK LIFT、THREE LIGHTS DOWN KINGS、ENTH、EVERLONG等のバンドが名古屋から全国に羽ばたいている。そんな名古屋の音楽シーンを語る上で、「RAD CREATION」の名は、誰しもが必ず一度は目にした事があるはずだ。TRUST RECORDSの運営、栄R.A.D、新栄RAD7、大須RAD HALL等の運営、名古屋最大級の大型無料野外フェス”FREEDOM NAGOYA”や名古屋の大型サーキットフェス”でらロックフェスティバル”の企画・制作等、その活動は多岐に渡る。
今回、RAD CREATION株式会社代表取締役社長の綿谷氏に対し、彼の生い立ちから音楽業界に入ったきっかけ、自身の音楽的ルーツやRAD CREATIONの各事業について話を伺うべく、メールインタビューを行った。
文 / 綿谷剛 編集 / 宮久保仁貴
-TOPPA!!初登場という事で、改めて綿谷様の自己紹介をお願い致します。
綿谷 : RAD CREATION株式会社代表取締役社長綿谷剛、33歳です。愛知県豊川市出身で小学生の時はサッカーに夢中でした。
–ちなみに、綿谷様が一番初めにハマった音楽は何だったのでしょうか?
綿谷 : 中学に上がりL’Arc-en-Ciel/GLAYとの出会いをキッカケにロックに心を奪われました。その後はその流れでLUNA SEAやX JAPAN、DIR EN GRAY等いわゆるヴィジュアル系のロックバンドを聴いていました。その後一転して、GOING STEADY、ガガガSP、STANCE PUNKS、175R、THE BOOGIE JACK等いわゆる青春パンクにハマり、高校生の時は勉強もろくにせずに毎日友達の家に集まってバンド活動に明け暮れました。その後、高校卒業時に「音楽で一旗揚げたい!」と名古屋へ引っ越し、楽器屋のメン募でバンドを結成しました。名古屋に引っ越してからは当時のバンドメンバーの影響でMINOR THREAT、7SECONDS、Gorilla Biscuits、NOFX、No use For a Name、Strung Out、Lagwagon、MxPx、Blink-182、New Found Glory等海外のパンクバンドを聴くようになりました。
–ありがとうございます。それでは、綿谷様が音楽業界で働き始めたきっかけを教えて頂けますか?
綿谷 : そのバンドでは自分がブッキング窓口だった事もあり、バンドの自主企画を行うために常にライブハウスへ遊びに行って、バンドのチラシを撒いたり、カッコいいと思ったバンドに声を掛けたり、打ち上げに参加したり……と毎日バンドの事ばかり考えていました。そんな中で普通のアルバイトの時間すらバンドのプラスに変える時間にしたいと思い、初めてライブをしたライブハウスでアルバイトを始めたのが裏方業の入りです。そんな日々の甲斐も有り、バンド仲間が増え、自主企画はコンスタントに行う事が出来たんです。ただ、当時のメンバーとの音楽性の違いから本当に自分の好きなバンドを集めてイベントがしたいと思い、2004年8月に 『TRUST YOUR SOULS』という個人イベントを立ち上げました。このイベントの立ち上げが今の僕の全てのキッカケになります。
–そこから十数年を経て、現在名古屋を中心とした音楽事情を語るにあたり、RAD CREATIONの存在は揺るぎないものになっている事と思われます。まず初めに、レーベル事業 TRUST RECORDSを立ち上げられたきっかけを教えて下さい。
綿谷 : 元々は個人イベントとして定期的に開催していた『TRUST YOUR SOULS』というイベント名義で仲間のバンドを集めたコンピを出したい、と思い何も分からぬままレーベルを始めたのがキッカケです。その後コンピを定期的に作る中で、単独アーティストをリリースしたいという気持ちになりまして。当時個人的に海外のパンクバンドにハマっていた事もあり、流行していたMySpaceを使って海外のバンドに日本でCDをリリースしないか?と持ち掛けて何バンドかリリースやツアーで日本へ招聘しました。勿論英語は義務教育レベルなので、当時は必死に勉強して英語でメールを送ってましたね。
–ちなみに、日本人アーティスト第一弾はどなただったのでしょうか?
綿谷 : 時を同じくして、高校時代の地元のバンド仲間が岐阜の大学へ進学して結成した『ARU』というバンドとライブハウスで再会しました。一目観た瞬間に彼らの音楽性に惹かれて、「是非、日本人アーティスト第1弾としてリリースしたい!」と打診しました。当時TRUST RECORDSは全くの無名レーベルでプロモーションの仕方も全く分かっていなかったんですが、純粋に彼らの音楽の良さが認められ、デビューミニアルバムは3000枚近くCDが売れました。そこからレーベルにのめり込んで行く事になります。
–数多くのアーティストをリリースして来たTRUST RECORDSですが、綿谷様の中でお持ちの、”リリースされるアーティスト様の基準”をお教えください。
綿谷 : 音痴な自分が言うのも気が引けるのですが……1番重要視しているのはボーカルです。上手い下手いは関係無く歌は気持ちですと言いたい所ですが……やはりピッチの取り方が上手だったり、表現力が高いボーカルが初見の人の心も掴めると思いますね。
勿論歌が上手ければ誰でも良い訳では無いですけどね。
–なるほど。それでは他事業の話に移りたいと思います。アーティストが名古屋でライブをする上で、RAD系列のライブハウスは欠かせない存在となっていますね。一番初めに立ち上がったのは、どのライブハウスなのでしょうか。
綿谷 : 1番始めは栄R.A.Dです。キャパ150程で天井もステージも低いライブハウスではありますが、立ち上げ当初は毎日僕と専務の2人で受付・ドリンクを担当していましたね。そして、ライブが終わったら箱で打ち上げをする為料理を作って、ドリンクを出して、ベロッベロに酔っぱらってソファで力尽きて……気がついたら朝で、片付けをして自宅で身支度を整えて、また昼から次の営業を……とハードな日々を過ごしていました(笑)。
–そんな歴史があったのですね!今や名古屋でライブをする際は、どのアーティストにとってもR.A.Dは避けて通れない存在ですね。さて、話はイベントの方に移りまして、近年名古屋は野外・サーキットイベントが盛んですが、その中でもFREEDOM NAGOYAとでらロックフェスティバルの存在は最早金字塔と言っても過言では無いかと思われます。この2イベントの開催のきっかけを教えて下さい。
綿谷 : FREEDOM NAGOYAに関しては、神戸で開催されていた(る)無料野外フェス「GOING KOBE(※現COMING KOBE)」の影響を受けています。勿論何のノウハウも無い中では有りましたが、R.A.Dに来てくれるバンドやお客さん達に1年に1度の恩返しの気持ちも込め、野外で無料で自由に遊べる楽しい場が作りたかったんです。そして音楽をあまり聴かない人やライブを体感した事が無い方々にも、音楽やライブの楽しさを知って、あわよくばライブハウスに来て欲しいという気持ちで2010年に初開催しました。
でらロックフェスティバルについては、元々「GRANDLINE」というイベント名で2011年に初開催しました。当時まだサーキットイベントはそこまで盛んでは無かったと記憶しています。名古屋にはZIP-FMさんが主催している「SAKAE SP-RING」という素晴らしいサーキットイベントが有りますが、「GRANDLINE」に関しては、FREEDOM NAGOYAと同じでR.A.Dに来てくれるバンドやお客さん達と遊べる楽しい場所が作りたい思い、沢山バンドが出演出来るサーキットイベントというスタイルを選び、開催に至りました。
-FREEDOM NAGOYAは野外の無料イベントの中でもかなりの大規模なイベントとなりますが、こちらを運営される上で良かった事、難しかった事を教えて下さい。
綿谷 : 先述の通りで、開催当初はノウハウが無かったので色々な事がありました。2010年開催時は勢いだけで乗り越えれた部分はありましたが、2011年はCrossfaithのライブ中にドラムヘッドが破れてしまいまして。当時はそんな事も想定出来ていなかったので、予備が無く最寄りの楽器屋まで買いに走るという事がありました(その節は本当に申し訳有りませんでした)。
結果、予定の2時間以上押してイベントを終了する事になり、その翌年から終演時間を1分でも押したら2度と開催出来ないという約束をする事になりました。
2013年開催時は想定以上の来場者に会場の駐車場がパンクしてしまい、至る所に路上駐車や違法駐車が多発しました。その翌年から車両での来場を一切禁止、公共交通機関での来場をお願いするようになりました。
大変な事も多いので、正直何度も辞めた方が良いのではと何度も自問自答しました。規模感が上がるにつれ、「自分が良ければ他人はどうでも良い、ルールもマナーも知りません。」という方も現れて、FREEDOM NAGOYAとしての主旨を伝えれてない自分の力不足を痛感しましたね。勿論無料のイベントなので、利益どころか大赤字を背負って開催していたので、1年掛けて大変な思いをして準備をしても、当日近隣の方々に迷惑を掛けてしまう可能性が出て来てしまい、もう何がしたいのか自分でもよくわからなくなってしまう時期は有りました。
ただ、勿論嫌な事ばかりでは無く、FREEDOM NAGOYAを愛してくれる沢山の人達に救われ、支えられて1年1年様々な問題をクリアして来ました。そして、ここ何年かは自信を持って、愛知に無くてはならないフェスだと自負出来る程素晴らしいフェスだと言えるようになりました。これは本当に皆様のお力添えのおかげです。
–今後も末長く続く事、期待しております!それでは、名古屋という土地で音楽事業を行われている中で、日々感じている事を教えて下さい。
綿谷 : 名古屋には沢山の素晴らしいライブハウスがあるので、その中で“RADとしていかに個性を出せるか”という事をスタッフとよく話しています。出演するアーティストに対しては、そのアーティストが「RADに出演して良かった!」と思ってもらえる様な”何か”を生み出すのが僕らの仕事だと思います。その”何か”はアーティスト毎に違うので、アーティストとコミュニケーションを取って感じ取らねばならないですね。そして、お客様には「このライブ楽しそう!」と思って頂ける様な魅力的なイベントを開催する事、その為にはどうすれば良いか、スタッフと共に常に考えています。
–付随する話になりますが、名古屋の音楽シーンに対して、シーンのど真ん中で活動し続けてきた綿谷様だからこそ、思う所をお話し下さい。
綿谷 : 04 Limited Sazabysの出現はここ10年の名古屋の音楽シーンで1番大きかったと思います。R.A.Dオープン時には月何度もブッキングライブに出演してくれて、同世代のBACK LIFT、THREE LIGHTS DOWN KINGSと共に切磋琢磨して、R.A.Dオープン当初を支えてくれました。今や日本武道館を売り切る彼ら(04 Limited Sazabys)ですが、今月R.A.Dに帰って来てくれるのも本当に嬉しいですね。その1つ下の世代にENTH/EVERLONGが出て来たのも大きいと思います。
今は若くて良質な将来性の高いバンドがすごく多いなと感じます。LUCCI、ONIONRING、Five State Drive、All Found Bright Lights、SAME、SUNs、THE NOiSE、KUZIRA、THRASHOUT、NOSE GRIND、MACVES、UPPERCUT、moon drop、Maki、Side Chest、SWING、ハローモンテスキュー、REBUILD YOUTH等……上げたらキリが無いくらい将来が楽しみなバンドが多いです。TRUST RECORDS所属の有無を問わず、僕に出来る事は全力で協力したいと思ってるので、バンドの皆さんは何かあれば気軽に相談して欲しいです。
–名古屋のこれからのシーンが楽しみですね!それでは、会社として、そして綿谷様個人としての今後の目標をお教え下さい。
綿谷 : 個人の目標ですが、近い将来、仕事終わりにゆっくり飲める隠れ家的なBARを作りたいと思ってます。音楽をおざなりにするつもりは有りませんが、料理をしたりお酒を飲んだりするのが唯一の趣味なので、飲食店の展開にはすごく興味があります。
会社としては来年設立10年を迎えるので、何かワクワクする事をまた立ち上げたいと思ってます。そして、大きな目標としては、僕の周りにいてくれる大好きな人達が夢を叶える為に大きく力貸せる……そんな人間になりたいです。
–これからのRAD CREATION、綿谷様の今後に期待しております!それでは、RAD CREATIONとしての今後の予定を教えて下さい。
綿谷 : 2018年11月18日(日)にZepp Nagoyaでレーベルイベント『TRUST NIGHT 2018』を開催します。ENTH、POT、EVERLONG、LUCCI、SAME、All Found Bright Lights、Maki、moon drop、KUZIRA、ニアフレンズの10組が出演します。過去最大規模のレーベルイベントです。是非遊びに来て欲しいです。
チケット購入 : http://eplus.jp/sys/T1U14P002199902P0050001
-今回はお忙しい中、ご回答いただきましてありがとうございました!それでは最後に、音楽業界で働いてみたいと思う方にメッセージをどうぞ。
綿谷 : 僕は勉強も運動も特段出来ないし、特別に人に誇れる事も無い人間ですが、音楽に出会って、音楽に救われて、音楽に夢中になって、今こうして大好きな音楽に囲まれて日々を過ごせています。
よく、華々しい事ばかりでは無いとか、そんなに甘い世界では無いとか、安月給で休みが無いとか、ネガティブなイメージも耳にすると思います。実際に心半ばにして辞めて行った人達も沢山見て来ました。
あくまで僕個人の場合ですが、ライブハウスのアルバイトとして音楽業界に飛び込んで約15年。毎日大好きな音楽聴いてライブ観て、打ち上げでお酒飲んで夢を熱く語り合って、楽しい事の方が圧倒的に多かったです。ただ、ライブハウスのアルバイト時代も社員時代もお金と休みは殆ど無かった、と言う事だけはちゃんとお伝えしておかないとフェアじゃないですが。
そこを苦痛に感じて志半ば諦めるか、それすら楽しく乗り越えて夢を掴むかは、貴方次第かと思います。RAD CREATIONでは志高い仲間を常に探しています。
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