DiverCore vol.3

DiverCore vol.3

ヘヴィーミュージックに特化したプレイリスト『DiverCore』(読み方 : ダイバーコア)の第三弾、【DiverCore vol.3】をSpotifyとApple Musicにて公開した。

このプレイリストは国内外問わず“今聴くべきヘヴィーミュージック”をプレイリストというフォーマットを使ってキュレーションするもので、今月は厳選された45曲をセレクト。

文・編集 / ynott(https://twitter.com/ynott1986)


胎動するネクスト・ディケイドへのリバイバル

2020年の2月にリリースがアナウンスされたThe1975のニューアルバム『Notes On A Conditional Form』からの先行でリリースされた彼らの最新曲「People」がSNS上で波紋を呼んでいる。これまでの洒脱なイメージから一転、一気にゴシカルに変容したハードなビジュアルのインパクトも然る事ながら、Nine Inch Nails等を彷彿させるインダストリアル・ロックに影響されたヘヴィーなサウンドは、これまでのポップでカジュアルな彼らのイメージの真逆を行くナンバーになっている。

ここで面白いのはThe 1975が「People」で提示した“ヘヴィーミュージック×インダストリアルロック”というサウンドが、先日リリースされたNorthlaneのニューアルバム『Alien』やSlipknotのニューアルバム『We Are Not Your Kind』等をはじめとした、現在ヘヴィーミュージックシーンで巻き起こっているNu-Metalリバイバルのムーブメントにも共振している事だろう。2019年に入ってBRING ME THE HORIZON『That’s the Sprit』以降の脱ヘヴィネスの流れへのカウンターとして、Nu-Metalリバイバル等の所謂ヘヴィネス回帰の流れが生まれている事は感じていたが、このムーブメントの後押しするのが現代きってのポップバンドであるThe 1975だと誰も予想できなかったのではないだろうか。


共鳴し始めた日本のアニソンとヘヴィーミュージック

更に興味深いのは、ここ日本において2020年以降のヘヴィーミュージックのキーワードの一つにもなりそうな“ヘヴィーミュージック×インダストリアル”の流れに共振しているのが、劇伴作家の澤野弘之氏と彼のプロジェクトSawanoHiroyuki[nZk]と、彼の作品にも参加経験のあるフィメールシンガーAimerの存在。

澤野氏のソロプロジェクトであるSawanoHiroyuki[nZk]は、彼の劇伴作家としての特性であるヘヴィーかつインダストリアルなサウンドをJ-POP、アニソンフィールドに落とし込んだもので、兼ねてからアニソンシーンにおいて独自のインダストリアルヘヴィネスを提示してきた。

これまでex-イツエの瑞葵やSurvive Said The ProphetのYosh、Aimerなどオルタナティヴに活躍するボーカリストをフィーチャリングしてきたこのプロジェクトだが、最新アルバム『R∃/MEMBER』では、ポルノグラフィティやスキマスイッチ、西川貴教等ビッグネームを起用し、サウンドプロダクションはそのままにJ-POPフィールドへと拡張を試みた作品。彼がインダストリアルを本格的にマスに持ち込んだタイミングで、世界的にもインダストリアルなテクスチャが再燃しているのは偶然にしては出来過ぎている。

また、SawanoHiroyuki[nZk]に参加しているAimerもまた2020年以降のヘヴィーミュージックシーンの新たな担い手に成り得る存在と言っても過言ではない。

これまでも澤野氏のコラボ曲「RE:I AM」「StarRingChild」は勿論、ヘヴィーミュージック×インダストリアルな「zero」「holLow wORlD」等をリリースしていて、実はこれまでもヘヴィーミュージックと大いに接点があった彼女。ドラマタイアップにもなった新曲「STAND-ALONE」は、J-POP的で在りながらもオルタナティヴロックやハードロック、Djentメタルコア、ゴシック等の要素を呑み込んだ2020年以降のヘヴィーミュージックの可能性を示すような1曲になっている。

元々日本のアニソンシーンにはメタルやゴシック、インダストリアルの文脈が根付いていてそれは様式美として今でも脈々と受け継がれている。SawanoHiroyuki[nZk]やAimerのアティテュードはその様式美をポップフィールドへと押し広げんとするもので、彼らとThe 1975やSlipknot等との共鳴は新たなディケイドを迎える2020年以降のヘヴィーミュージックを拡張しようとしている地殻変動の現れだと捉えれば、これほど面白い事はないだろう。

既に海外に向けて広い間口が開かれている日本のアニソンシーン、例えばそこに2020年以降の日本のヘヴィーミュージックの潮流が合流し、既に海外で活躍しているCRYSTAL LAKEやCrossfaithとは違った文脈で伝播、拡大していく、そんな事が2020以降に実現するのであれば更なる興奮が待っているのは間違いないだろう。そんな妄想に耽りながら日本のヘヴィーミュージックが作る新たな未来地図に期待したい。

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