BACK-ON「Bring the Noise Vol.1」/ 2018.11.11@ 渋谷WWW イベントレポート

BACK-ON「Bring the Noise Vol.1」/ 2018.11.11@ 渋谷WWW イベントレポート

取材・文・編集 / 宮久保仁貴   写真 / 川澤知弘

 

2018年11月11日ミクスチャーロックバンドBACK-ON主催の対バンイベント「Bring the Noise Vol.1」が渋谷WWWにて開催された。

このイベントは、BACK-ONがジャンルを超えてリスペクトするアーティストを迎える為に開催されたもの。BACK-ONの呼びかけに応じて、記念すべき第一回開催となる本イベントにはあっこゴリラ、FAITHが参戦を発表した。日本のフィメールラッパーの中でも頭角を表しつつあるあっこゴリラ、平均年齢10代後半、今まさにブレイク寸前のポップロックバンドFAITH、そしてBACK-ONの組み合わせを誰が予想しただろうか。ジャンルも違えば、スタイルやオーディエンスも違う。ただ、この3アーティストに共通して言える事は、皆いずれも”ホンモノ”だという事だ。そんなトゥルーなアーティスト、そして彼らを追いかけるトゥルーなオーディエンスがWWWに集結した。


【FAITH】 

「Bring the Noise」の一番手を飾ったのは長野県伊那出身のポップロックバンドFAITH。平均年齢10代後半と、若干初々しさを見せる彼らだが、全力でプレイする姿にグッときてしまう。まずは「Bana Pla」「September 7th」と続けてプレイ、頭からカラッと明るい美エモサウンドを彼らは披露した。時折入るヤジマレイ(Gt)のシブいギターソロが、スパイスとなって楽曲に良く作用している。続く「Damn」では、明るいコーラスワークがきらびやかに鳴り響く。その傍ら、中間部では抜け感の良いムーディーなパートが差し込まれており、彼らの高度なソングライティングスキルに、思わず手に汗を握ってしまう。

MCではアカリ ドリチュラー(Vo)がBACK-ONとオーディエンスに感謝の言葉を述べた後、大好きな地元を想って書いた歌「Yellow Road」をプレイ。曲中、コバヤシレイ(Gt)の美しいギターソロとヤジマレイのダイナミックなギターソロが対比となって、楽曲に彩りを添える。また、荒井藤子(Ba)とメランソンルカ(Dr)の堅いリズムワークも見逃せない。

続く「Paradise」は、奥行きのあるダイナミックなドラムプレイからスタート。アメリカンテイストなギターフレーズも重なり、思わず壮大な光景が目の前に広がるかの様だ。冒頭の疾走パートが印象的な「Tragic」では、ドライブ感溢れるリズム隊のプレイが光る。

「今度は皆の声をお借りしたいな、と思います!」とヤジマレイがMCを担当し、次にFAITHが持ってきた曲は8月にリリースした最新作『UN』のリードトラック「Unexpected」。アカリ ドリチュラーのかけ声に場内の歓声が重なり段々大きくなっていく。

そして、バンドは最後に「Take me away from here」をプレイ。往年の西海岸のポップパンクを思わせる様な、グッドなメロディーにますます引き込まれてしまう。5人とも本当にハッピーな笑顔をしており、その楽しさがオーディエンスにも伝播していくかの様だ。この日の一番手に彼らが出演した事は、一ミリたりとも間違い無いはず。そう実感させてくれる様なステージだった。

-Set List-
1.Bana Pla
2.September 7th
3.Damn
4.Yellow Road
5.Paradise
6.Tragic
7.Unexpected
8.Take me away from here


【あっこゴリラ】

FAITHに続いて登場したのは、フィメールラッパーのあっこゴリラ。SE「100% AKKOGORILLA」が始まると共に、凄まじいリップロールが鳴り響く。「こっちだよ〜!」と声の出どころを振り返れば、何と場内後方からあっこゴリラがゲリラ登場!度肝を抜く登場に続き、「ゲリラ」を披露。オーディエンスの中を練り歩く姿は、コンクリートジャングルに現れたクィーンの様だ。フリースタイルで自己紹介をしつつ、着実に韻を踏むスタイルは流石。一方、ステージ上には彼女を支えるバンドBNNZ(バナナズ)の姿が!黄色の衣装に身を包んだ4人組にあっこゴリラは囲まれ、「地球の歩き方」がスタート。野性味溢れるビートに、あっこゴリラのリズム感良いリリックが重なり、場内の温度を高めていく。

「ゴリラなんて名乗っているから……どんだけ強ええんだとか、ゴリラに詳しいだとか思うかもしれないですけど……対して強くも無いし、詳しくも無いです。ノリでつけました!!」と、あっこゴリラは彼女なりのユーモラスな良い自己紹介を行った。

続いては、あっこゴリラ曰く、バスケが好きすぎるあまり作った曲「電光石火」をプレイ。中毒性のあるリリック「ワンバウンドからのダンクは……やべー!」を繰り返し、オーディエンスにも熱狂が伝わっていく。曲中、BNNZも楽器を一旦置きフリースタイルを披露。楽器も上手ければ、ラップのスキルも高レベル……!縦横無尽にステージを跳ね回る。

そして、元ドラマーでもあるあっこゴリラが即興でドラムをプレイ!めまぐるしく移り変わるステージにグイグイ引き込まれていく。

「1年くらい前からラブコールを頂いてまして!やっとスケジュールが合って今回このイベントに出れて嬉しいです!マジでありがと〜!」と、あっこゴリラはBACK-ONにリスペクトを表したMCを行なった。続いては、彼女が12月にリリースするメジャー1stアルバム『GRRRLISM』から「エビバディ BO」「オーバー・ザ・ボーダー」を披露。「エビバディ BO」では、SP(BNNZ/Gt)のギターのリズム感良いカッティングが小気味良い。曲中、あっこゴリラが最前のオーディエンスをステージ上に挙げるサプライズが!まさにこの空間……いや、ジャングルを支配しきっている。

そして、彼女は最後に「ウルトラジェンダー」をプレイ。SPとKAHADIO(BNNZ/Dr)がバックダンサーとしてステージを彩り、Ryo(Sax/Synth)がサックスを手に持ち、場内はダンスホールに一変。

「男の子、女の子、性別、国籍、年齢……全部超えて行こうぜ!」ウルトラジェンダーラッパー”あっこゴリラ”ならでは……この言葉に全てが込められている。ソウルフルなバイブスを以って、彼女は見えない壁をブチ壊す名演を見せた。

-Set List-
1.100% AKKOGORILLA
2.ゲリラ
3.地球の歩きかた
4.電光石火
5.エビバティBO
6.オーバー・ザ・ボーダー
7.ウルトラジェンダー


【BACK-ON】

時間が過ぎるのもあっという間。満を辞して、本日のホストBACK-ONが登場!「Bring the Noise」のダークなビートにTEEDA(MC)の高速フロウが乗っかり、王者の貫禄をオーディエンスに見せつけていく。間髪入れずに、バンドは新生BACK-ONを代表する「Clown」を披露。和の要素を感じさせる刺激的なトラップ・トラックにディストーションサウンドが絡み合う。

そして、KENJI03(Vo/Gt)がギターを持ち、「Carry on」をプレイ。バンド名の如く、爆音で掻き鳴らされるギターが痛快にホールに鳴り響き、田中真二(Support Dr)のダンサンブルなビートに、オーディエンスも心身共に高まっていく。

「Bring the Noise、アガって行こうぜ!」とTEEDAの掛け声と共に、アメリカンな雰囲気の「Switch」と疾走曲「Lough Now」がスタート。グルーヴ感溢れるTEEDAのリリックとKENJI03の高らかな美声は、真っ青な空や広大な大地を思わせる。

「東京で久々のライブっていう事もあって、楽しくて楽しくてしょうがないです!」とTEEDAが感謝の気持ちを述べると共に、「今回対バン2組は完全に僕らで選ばせて頂きました。接点が全く無い中で、音だけ好きでオファーして、2組とも快く出演して頂きました!改めて第一回……この2組で良かったと思います!」と、KENJI03から今回のイベントの趣旨説明が行われた。また、このトゥルーな2組に共通する点として、BACK-ON自身のルーツとなった音楽ジャンルである事も重ねて説明された。その後、KENJI03の口から来年3月から4月にかけてツアーを開催し、来年再びこのWWWに彼らが戻ってくる事が発表された。

「喋るのはここまでにして、続き行きましょうか!」とKENJI03は言い放ち、バンドはキラーチューン「STRIKE BACK」「セルリアン」を続けてプレイ。メッセージの強いリリック、名曲のオンパレードにオーディエンスの温度も急激に高まっていく。そこから一転、ダークなバラード「Misty rain」がスタート。肩を揺らす様なリズムでトラックが流れ、ステージ上の3人に視線が集約する。

その後、エモーショナルな「Chain」が続き、再び場内は湧き始める。また、終盤でTEEDAによるフリースタイルがスタート!「もっと高鳴らしてくれ俺の心臓!」と言い放ち、「New world」に繋いだ。止まらないTEEDAの高速フロウに乗せられて、オーディエンスがブチ上がる準備は着実に整いつつある。

「New world」が終わるやいなや、「Butterfly」のトラックが綺麗な形でスタート。バンドにとって、間のつなぎ方を含めてこそライブの真価が問われると思うが、BACK-ONは素晴らしい形でトラックの繋げ方を行なっていた。この体制だからこそ成し得るスムーズなライブ運びに、流石と言わざるを得ない。そして、KENJI03が「早いもんで、次の曲でラストとなります!残りは来年のツアーで会いましょう!」が宣言し、BACK-ONがラストに持ってきた曲は名バラード「Flower」。不器用だけれども、まっすぐでエモーショナルな歌詞に、場内の気持ちはBACK-ON一色に集約された。

改めて、ジャンルも違えば、活動しているシーンや年齢、性別も違うバラバラの3組が集まった「Bring the Noise」。ただ、蓋を開けてみれば、トゥルーなアーティスト達によるトゥルーなサウンドがどの部分を切り取っても展開され……結果としてトゥルーなイベントが完成した。この3アーティストが届けた”Noise”は、きっとこの場所にいた全ての人に響いたはず。そして、今回はあくまで”Vol.1”……次回のVol.2は一体どんなアーティストが集まるのだろうか、次回開催が非常に待ち遠しい。

-Set List-
1.Bring the Noise
2.Clown
3.Carry on
4.Switch
5.Laugh now
6.STRIKE BACK
7.セルリアン
8.Misty rain
9.Chain
10.New world
11.Butterfly
12.Flower

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