大冠祭2018/ 2018.9.30@ kawasaki CLUB CITTA’ イベントレポート

大冠祭2018/ 2018.9.30@ kawasaki CLUB CITTA’ イベントレポート

取材・文・編集 / 宮久保仁貴 写真 / Nozomi Nakajo

 

2018年9月30日THE冠主催のメタル祭”大冠祭 2018”が開催された。

この日はTHE冠始動15周年、及び大冠祭開催5周年を祝う記念すべき一日。冠は勿論の事、オーディエンスもこの宴を待ち望んでいたに違いない。ただ、前日より話題となっていた台風24号の到来により、開催直前までイベント自体の開催が危ぶまれる事態となった。開催するかしまいか……今までにない不測の事態に、冠は相当悩んだに違いない。

その結果、彼は各バンドの持ち時間を5〜10分短縮し、 THE冠の持ち時間を45分短縮し15分のライブを決行、この日来れなかったオーディエンスには払い戻しを行う事を発表した。賛否両論あるだろうが、今回開催を決断した冠を恨む者は少なくともこの現場にはスタッフ・出演者・オーディエンス誰をとっても一人もいない。そんなTHE冠を筆頭に、GYZE、バックドロップシンデレラ、Gacharic Spin、NOCTURNAL BLOODLUST、人間椅子が一人たりとも欠けることなく、メタルの聖地CLUB CITTA’に集結。台風に負けじと、全バンドが熱狂のライブを繰り広げた。


【GYZE】

この日の一番手はメロディックデスメタルバンドのGYZE。上手下手に備え付けられた龍の旗がはためき、神秘的で厳かなSEが鳴り響く。彼らにとって、ヨーロッパツアーから帰ってきて一発目となる本ライブ、この日は「竜神(Dragon Calling)」からスタート。イントロからShujiのブラスト、Ryojiのトレロモリフが炸裂し、凍てつくような怒涛のメロディがオーディエンスの耳を貫いていく。勇壮な出で立ち、オリエンタルでヒロイックな楽曲を奏でる彼らの姿は、まるでアイヌの”カムイ”の如く感じられる。

勢いを落とす事なく、GYZEは続いて彼らのアンセム「Desire」をプレイ。そうそう……これだよ!と言わんばかりに、心を打つメロディがステージ上から溢れ出る。今回、台風の影響で短いセットリストを余儀なくされた彼らだが、その分凝縮された濃厚なセットリストで攻め続ける。

2曲が終了し、スターウォーズのダース・ベイダーのテーマが流れた後、GYZEは最新シングルのタイトルトラック『龍吟』を演奏。Ryojiの力強い叫びに、Aruta(Ba)、Shuji(Dr)の咆哮が呼応する。剛柔相反する表情を持つこの曲……これこそRyojiの繊細なソングライティング力こそ為せる業だろう。終盤ではRyojiの煽りにオーディエンスも大合唱、GYZEは大冠祭一発目から完成されたメタルステージングを披露した。

-Set List-
1.竜神(Dragon Calling)
2.Desire
3.龍吟


【バックドロップシンデレラ】

GYZEに続いては、バックドロップシンデレラの登場だ。ジャジーなギターサウンドと共に、豊島“ペリー来航”渉がぽつりと語り出す。おや……これはよく聴いてみると……今日の台風に合わせて歌詞を変えた、「およげ!たいやきくん!」のアレンジverが!こんな日だからこそ、少しでも楽しませようとする彼らなりのユーモアが伝わって来る。また、1曲目からでんでけあゆみ(Vo)が客中へダイブ!それに合わせてダイブ・モッシュの嵐が巻き起こる!一発目からこの様子……一体何が起こるのだろうか?!

続いては、Gtのカッティングが心地よい「台湾フォーチュン」をプレイ。「祈って下さい!」とでんでけあゆみの鬼気迫るパフォーマンスに、オーディエンスも思わず拝みヘドバンで祈りを捧げる。この勢いでバックドロップシンデレラは続けて「フェスだして」をプレイ。攻めのセトリにオーディエンスの熱はどんどん高まっていき、この日初めての台風(サークルピット)が巻き起こった。

「踊らない奴よりも、踊る奴が偉いのだよ!」とペリーが吐き捨て、バックドロップシンデレラは続いてキラーチューン「月あかりウンザウンザを踊る」をプレイ。オーディエンスが肩を組み、大きな円陣が場内に発生。完全にバックドロップシンデレラがオーディエンスの心を鷲掴みにしている。最後の「さらば青春のパンク」では、開幕するやWall OF Deathが発生。終始、バックドロップシンデレラはポジティブで爆裂したライブをぶちかました。

-Set List-
1.およげ!たいやきくん!
2.台湾フォーチュン
3.フェスだして
4.月あかりウンザウンザを踊る
5.さらば青春のパンク


【Gacharic Spin】

本日の三番手はGacharic Spin。「ぶっ飛んでいくぜ!」とF チョッパー KOGA(Ba)の威勢の良い煽りから、Gacharic Spinは「Never say never」「赤裸ライアー」を続けてプレイ。KOGAとはな(Vo/Dr)の小気味好く跳ねるリズムコンビネーションで、熱冷めやらぬオーディエンスの熱気を更に高めていく。また、まい(Performer 1号)のキレッキレなダンスがオーディエンスの視覚に華を添える。「赤裸ライアー」では、TOMO-ZO(Gt)とオレオレオナ(Vo/Key)のネオクラシカルな早弾きの掛け合いに、メタル要素を感じさせる。初っ端からこれぞ”完成されたエンタメライブ”と言わんばかりの見せつけっぷりだ。

MCでは、KOGAが今回大冠祭に出演出来た事に対するお礼を冠に述べ、ステージに冠を呼び込んだ。ただ、出てきたのは冠では無く……助っ人として、北欧からやってきたティアラ(METALLIC SPIN/Vo)が現れた。すごく……冠に似ている気がするが……彼はティアラなのだ。登場するやいなや、数々の下ネタを繰り広げる暴れっぷりをティアラは見せる。冠不在のまま、Gacharic SpinはOZZY OSBOURNEの「Bark at the moon」をプレイ。先ほどのすっとこ節から180度変わった勇ましさで、ティアラはその美声を披露する。また、TOMO-ZOの本家に忠実なギタートーンにメタル魂を感じさせる。

曲が終わり、ティアラは退場。再びGacharic Spinとしてステージが再開し、「ハンティングサマー」をプレイ。オレオレオナもダンサーとして加わり、オーディエンスを煽っていく。「ダンガンビート」では、オーディエンスのタオル回しによって、CLUB CITTA内に熱帯低気圧が巻き起こる。場内一体を熱狂の渦に巻き込み、Gacharic Spinはエンタメ魂溢れたライブを繰り広げた幕を閉じた。

-Set List-
1.Never say never
2.赤裸ライアー
3.Bark at the moon
4.ハンティングサマー
5.ダンガンビート


【NOCTURNAL BLOODLUST】

早いもので、本日も残すは3バンド。イベントも中盤戦になる中、エクストリームミュージックの異端児、NOCTURNAL BLOODLUSTが登場。本日の出演者の中で、一番チューニングが低い彼ら。「Let’s get the party start!」と尋(Vo)のタフなシャウトから「Pleasure of Torture」がスタート。この曲はバンド初期から存在する純然たるデスコア曲。先ほどまでのハッピーな雰囲気から一転、低音弦とピッキングハーモニクスを多用したCazqui(Gt)とDaichi(Gt)の残虐なリフと、Masa(Ba)とNatsu(Dr)、リズム隊の強烈な音圧がオーディエンスを襲う。

続いてNOCTURNAL BLOODLUSTは「Malice Against」をプレイ。高速トレモロとブラストビートに寒気すら感じさせる。踊り狂いながらも正確無比なプレイを行うCazquiの姿は、まるで魔神そのもの。殺傷力の高いセットリストで、全くオーディエンスを休ませる気が無い。音の暴力がそこにあった。

「ルールなんて無用だよ!殴れるもんなら、殴ってみろ!」と尋が短いMCを挟み、続いては「Punch me if you can」。尋がそれまで着ていたジャケットを脱ぎすてるやいなや……そこにはまるでギリシャの彫刻の如き偉丈夫が!これは殴ろうにも殴れまい。続く「V.I.P」ではチャラつきパートからの、尋の煽りからBIGな台風(サークルピット)が舞い上がる。そして、最後に「別れろMother fxxkers!」と尋が吐き捨て、NOCTURNAL BLOODLUSTは「銃創」をプレイ。Wall Of Deathからの、本日一番大きな台風(サークルピット)を巻き起こす。オーディエンスの心に大きな爪痕を残し、NOTURNAL BLOODLUSTの出番が終了した。

-Set List-
1.Pleasure of Torture
2.Malice Against
3.Punch me if you can
4.V.I.P
5.銃創


【人間椅子】

いよいよトリのTHE冠まで残り1バンド。鈴の音が鳴り響き、鈴木研一(Vo/Ba)、和嶋慎治(Vo/Gt)、ナカジマノブ(Vo&Dr)の3人の古武者が登場。今回で大冠祭3回目の出演となる彼らだが、今年もまた、内外ともに滲み出ている彼らの強烈なオーラに圧倒されてしまいそうだ。1曲目に彼らが選んだのは「なまはげ」。鈴木研一のおどろおどろしいうめき声に、ワジーのドゥーミーなギターが絡みつき……渾然一体となった彼らの情念がオーディエンスに襲いかかってくる。彼らの世界観に引き込まれる中、ノブが鳴らした銅鑼で、ハッと現実に引き戻される。疾走感溢れる「芳一受難」では、ワジーのブルージーなプレイに、王者の貫禄を感じさせる。

「僕らは今年でこれが最後のライブ。今年最初のライブが大雪、今年の仕事納めがこの台風!」とワジーが畳み掛けるようにMCを続け、バンドは続いてはアップテンポな「悪夢の添乗員」を演奏。「アニキって呼んでくれ!」と豪語し、独唱するノブの姿は勇ましい。「今日にふさわしい歌!」とワジーが続き、「雪女」をセレクト。轟音でかき鳴らされるギターサウンドはまるでブリザードそのもの。呪文のようなワジーと鈴木のコーラスが、オーディエンスを幻の雪山に誘う。そして、最後に人間椅子は代表曲「針の山」を演奏。純然たるハードロックってこういう音だよな……!と思わせんばかりの黄金の構成、言い換えれば方程式。そこから導き出された彼らの様式美サウンドに、改めて”ハードロックとは何か”と意識させられた数十分だった。

-Set List-
1.なまはげ
2.芳一受難
3.悪夢の添乗員
4.雪女
5.針の山


【THE冠】写真 / Nozomi Nakajo

遂に、笑っても泣いても最後の出演者THE冠が登場!幕が 開けるやいなや、ステージ上に板付きで5人が姿を見せる。

「最高の15分見せたろかい!」と冠が言い放ち、「帰って きたヘビーメタル」がスタート!泣く泣く本日は最短の出演時間となったが、開幕当初から彼らのMAXの熱気がムン ムン伝わってくる。そんな熱気に当てられては、興奮しないわけがない。オーディエンス一同がアホになって、THE 冠のライブにグイグイ引き込まれて行く。冠の煽りに続く オーディエンスの大合唱は、大きくホール全体に鳴り響く。

「初めて人に曲書きました!」と冠が言い放ち、冠が先日 120600mAhに向けて書き下ろした「HITOME VOLTAGE」 がスタート!事前にYouTube上で公開されていたMVではべっち(Gt)、春輝(Ba)、YOUTH-K!!!(Dr)の3人が楽器陣を努めていたが、本日はK-A-Z(Gt)も加わった特別編成。空 間を曲げるようなうねるリズムに、雷鳴のようなギターが 絡みつく。

そして、12Vシンガーソケットことソケたん(Vo) がゲスト参戦!おや……あの姿は有名声優の田村ゆかりに よく似ているが……よく似た空似もあるものだ。ソケたん の甘い歌声、そして冠の厳格なシャウトが美女と野獣を思 わせる。

「俺らに残された時間はあと1曲!」と冠は続け、HER NAME IN BLOODのIKEPY(Vo)を召喚!そして、THE冠 は最後に「奪冠」をプレイ!IKEPYも加わったTHE冠はいつもにまして漢臭さが増している。日本の現行のメタルビー ストVSメタルゴッドの対決がステージ上で繰り広げられる!

龍虎争うようなステージに、固唾を飲んで見守るオーディエンスの腕は満場一致でメロイックサインを掲げていた。守り?そんなの関係ねぇ!と言わんばかりに攻めの姿勢を押し通し、THE冠は濃密な15分のステージを終えた。

「マジで悔しい……お前らにホンマに悪いと思って る……。」白熱の名演を繰り広げた冠だが、やはり彼自身 今回の台風に関しては納得がいかない模様。ただ、勿論それで終わる冠では無い。「なので、近々無料ライブ開きます!”大冠祭2018の続き”っていうタイトルでやるから!」 と嬉しいお知らせを冠は発表した。

その無料振替公演は11月13日吉祥寺 CLUB SEATAで行われるようだ。 改めて、今日やりきった出演バンド達は勿論の事、今回の 開催を決めた冠の大英断に拍手を送りたい。そして、11月13日に開催されるこの宴の続きを見届けようではないか。

大冠祭2018のつづき 特設サイト : https://www.hipjpn.co.jp/live/daikanmurimatsuri2018/%E5%A4%A7%E5%86%A0%E7%A5%AD2018%E3%81%AE%E3%81%A4%E3%81%A5%E3%81%8D.html

-Set List-
1.帰って来たヘビーメタル
2.HITOME VOLTAGE(120600mAh)
3.奪冠

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