AliA First Tour「AliAliVe Tour2019」TOUR FINAL / 2019.5.20@ 渋谷CLUB QUATTRO イベントレポート

取材・文・編集 / 宮久保仁貴写真 / cazrowAoki(青木カズロー)

2019年5月20日、新進気鋭のロックバンドAliAの初の全国ツアー「AliAliVe Tour2019」ツアーファイナル公演が渋谷CLIUB QUATTROにて開催された。バンド始動から1年足らずにして、全国数十箇所を周る……正直全体未聞の挑戦とも思われた本ツアーだが、見事ファイナル本公演は事前ソールドアウト。開演間際に場内に入場するも、あまりの人の多さにクアトロの場内に人が入りきらず、開演時間が押す事態に。裏を返せば、それほどこの記念すべき一日に注目するオーディエンスが多い証拠だろう。

ほどなくして、ダンディな声でユニークな場内アナウンスが入る。どこかで聞き覚えがあるような声……その声はすぐにBOB(Dr)の声だと判明。BOBに対する黄色い声援が場内から飛び交った。

その後、場内は暗転。この日の為に備え付けられたサイネージに、星空を思わせる幻想的な映像が映し出される。重ねて壮大なオープニングSEが流れ、オーディエンスの気持ちはどんどん高まりつつある中、メンバーが登場！

この日、彼らが頭に持ってきたのはスピードチューン「impulse」「limit」。初っ端から割れんばかりの拍手喝采に、AliAというバンドの愛され具合を感じ取れる。また、ステージ上のメンバーの表情はとても和やかで、この瞬間を一身に楽しんでいるかの様だ。これもロングツアーを経た経験からなる余裕だろうか。「Discord」では派手なレーザーが会場を彩る中、曲中TKT(Key)がショルダーキーボードを手にステージセンターに颯爽と登場、キーボードソロを弾き倒す。華のあるプレイに、場内が湧く。

「普段、素直な気持ちって中々言えないんだよ、私。でも、歌だったら言えるかなと思って……この曲を作りました！」とAYAME(Vo)が短いMCを挟み、続くはCD未収録の新曲「letter」がスタート。この曲は心地好いピアノをバックに、AYAMEの歌唱が光るパワーバラード。小さな身体ではあるけれど、この瞬間は彼女の姿が何倍も大きな存在に見えた。続く「simple」では、「皆行くよ！」とAYAMEが煽りやいなや、凄まじい音量のシンガロングが。そこから間髪入れずに、BOBによるドラムソロから、バンドは「シルエット」を演奏。

自然とオーディエンスの手が上がる所に、場内の「熱」の加速を感じさせられる。「simple」のシンガロングに続き、AYAMEが「渋谷飛ぶよ〜！」と掛け声を放ち、観客が一斉にジャンプ！数百人のジャンプに、思わずクアトロが大きく揺れる。

続くMCでは、メンバーによるゆるい掛け合いと共に、今年1月渡米時のエピソードが語られた。「EREN君が、ロサンゼルスで書きました！」とAYAMEが言い放ち、新曲「slide sunset」がスタート。爽やかなメロディに、青空を思わせるサイネージ映像がマッチ。曲中奏でられたRINAのバイオリンソロは、まるで天まで届くような極上のメロディを放っていた。

その後、雨音を思わせるSEが流れた後、「声」がスタート。意志の強いリリックもさることながら、AYAME自身の歌の表現力にも驚かされる。喜怒哀楽全ての要素が詰め込まれた声に、思わず琴線が触れる。「声」が終わり、続いては情熱的なRINAのバイオリオンとTKTのピアノから、インプロがスタート。続いて、SEIYA、BOB、ERENが合流。音のおもちゃ箱がドラマティックに展開されていく。

場が仕上がったところで、「ここにいる……あなたに届けます！」とAYAMEが叫び、続いて始まったのは「AliVe」と新曲「イドラ」。特に、「AliVe」の訴えかけてくるようなメロディは、正にAliA流激情的エモロック。オーディエンスの心がグイグイAliA色に染まっていく。

「6人なら出来るって……ツアーの初めに言ったんです。でも……今は違います！AliAが応援してくれるみんながいると思っています。みんなで、ここから進んで行きましょう！」とAYAMEがオーディエンスに感謝を述べ、バンドが本編最後に選んだのは「かくれんぼ」。サイネージに映り出すリリックに合わせ、クアトロにいる全員が大きくシンガロング。AYAMEが「もういいかい？」と問いかければ、「まーだだよ」と返すオーディエンス。圧倒的な声援の中、本編が終了した。

本編12曲があっとういう間に終わってしまった。既存曲、そして新曲も織り交ぜた本編だったが、まだまだ満足したりないオーディエンスによるアンコールが即時に鳴り響く。ほどなくして、メンバーがステージ上に再登場。アンコールに答えたAliAが持ってきた曲は新曲「fanfare」。新曲ながらも、AYAMEの手引きにより、再び場内から凄まじい大きさのシンガロングが！下手をすれば、この日一番の音量だったかもしれない。それほどまでに、凄まじい熱量、そして愛を感じた一夜が終幕した。

始動時から現在まで、圧倒的速度で駆け抜けているAliA。この日、更なる挑戦として、9月に2ndミニアルバムのリリース、台湾・香港と初の海外公演を含む全42公演のライブハウスツアー「AliAliVe 2019 -realize-」の開催を発表した。ツアーに関しては、香港・台湾と海外公演を含み、ツアーファイナルは12月18日(水)東京・恵比寿LIQUIDROOMで開催。ファイナル公演(恵比寿LIQUIDROOM)は、過去開催されたAliA主催のワンマンライブの中でも最大規模の公演となる。ただ、AYAMEがこの日のMCで言った通り、AliAの最終地点はもっと先、見えない未来まで続いているはず。来たるツアーもきっと大成功に収めるのでは……そう確信させてくれるような、可能性しか感じない最高の一夜だった。