取材・文・編集 / 宮久保仁貴 写真 / タクボク
2019年6月23日、大阪は道頓堀・TSUTAYA EBISUBASHIにてDJ&ライブイベント「VirtuaREAL.00」が開催された。
近年増えつつあるVTuberのリアルイベントだが、まだまだ都内を中心に開催されている節がある。そんな中、今回のような大阪での開催・かつ複数のDJ・VJ・VTuberによる混合対バンライブイベントは非常にレア。かつ、本イベントはUSAGI Productionが監修を手掛け、本イベント名も関しているコンピレーションアルバム「VirtuaREAL.00」のリリースイベント。
場内に一歩入れば、関西を中心に各地から集まった数多のVTuberファン達が勢揃い。彼らの熱気を全身に感じられた。
【天羽よつは】
主催者であるDJ tamu(USAGI Production)からの親しみやすい挨拶の後、この日先陣を切ったのはVGaming所属天羽よつは。
少し緊張した様子を見せつつある中、彼女のファンであるよつ派達が大きな声援でサポートする。今回のコンピレーション収録「この場所から」、そして彼女のオリジナル曲「いつも私が」を披露。
幼さを見せつつ、魅力的な天羽よつはの歌声によって場内は一つに。彼女の髪色にあったピンクのライトが場内を鮮やかに彩った。
【白百合リリィ】
続くVTuberはしらゆりヘブンちゃんねること、白百合リリィ(ViViD)。今回が初ライブイベント出演の彼女だが、これまでの彼女を追ってきたユーザーにとって、今回のような音楽活動は意外だったのではないだろうか。
白百合リリィのユニークなトークでオーディエンスはグイグイ引き込みつつ、ライブパートでは作曲者のtakashimaがステージに登場。 今回披露されたのはコンピレーション収録「天使であれたら」。曲中、恥ずかしがり屋故に、白百合リリィは画面から引っ込んだり、はたまた現れたり。ただ、確かな歌唱力を披露し、オーディエンスの心を奪った事は間違いない。
【takashima】
その後、続いてはtakashimaによるDJパートに突入。花鋏キョウ「蒼に躊躇う」やキズナアイ「AIAIAI」等のVTuberの音楽名チューンを選曲。安定感のあるプレイに、着実にフロアの熱量が上がっていく。
中でも、星宮とと×TEMPLIME「ネオンライト」がtakashimaによるセルフリミックスverでプレイされた事は見逃せない。オンライン・オフライン問わず、耳ざといリスナーを中心に近年話題を呼びつつある本楽曲。2019年代を代表するVTuneになる事を予感させた。
【AZKi】
本編は早くも中盤戦に。3番目のVTuberとして登場したのはAZKi(イノナカミュージック/ホロライブ)だ。OVERTURE(SE)が流れると共に、場の空気が一変する。
事前に体調の不調を発表していたAZKiだったが、ライブが始まるとなんのその。コンピレーション収録の「ハートビート」でオーディエンスの体を軽快に揺らし、短いMCを挟んだ後「リアルメランコリー」「フェリシア」をプレイ。アイドルテイストの強い「フェリシア」では、訓練された開拓者によるコールも発生。
そして、「Creating world」を最後に出番を締めくくった。この日の出演VTuberの中でも、AZKiが一番音楽ライブ経験を経てきたのではないだろうか。場数をこなし、着実にステップアップを重ねている彼女に、ライブ力の強さを感じた。
【somunia】
しばしの休憩タイムを挟み、後半戦はsomunia(Ficty)の出番からスタート。
オリジナル曲「放課後のダンスフロア」「Connected World」に続き、コンピレーション収録の「夏を待ちわびて」をプレイ。儚さの中に美しさをたたえたヴィジュアル、そして透明感のある歌声に、多数のオーディエンスからは思わず感嘆のため息が。
「summer leap」カバー曲「だんご大家族(※CLANNAD)」と続き、ラストはnyankobrq & yaca(ワニのヤカ)楽曲の「twinkle night feat. somunia」。ここで同じく出演者であるワニのヤカが客演として参加、これぞイベントならではの醍醐味と言うべきか。
【Batsu feat. ワニのヤカ】
後半戦初のDJはBatsuが登場。
続いてワニのヤカも現れると思いきや、登場が遅れるとの事。ただ、Batsuのユーモア溢れるMCとプレイが場を繋ぐ。「IFIF – YACA IN DA HOUSE feat. KMNZ LITA LIZ」「Auto Save [YACA IN DA HOUSE]」や、KMNZ LITA with YACA verの「水星」とワニのヤカに関連した楽曲が続き、オーディエンスはヤカの登場を心待ちに。
また、バーチャルクラブシンガーEMMAのカバー「愛を伝えたいだとか(あいみょん)」も流れるあたり、音楽系VTuberリスナーのツボを確実にくすぐってくる。
そして、ワニのヤカ登場後、「Vanta (feat. ワニのヤカ)/Batsu」「Jacked Fruity luv」等の名チューンがプレイされた。ヤカの熱くて巧みなフロウに、オーディエンスは着実にノックアウト。バイブスが伝播し、フロア全体に広がっていった。
【いるはーと】
その後現れたのは、株式会社コンパイルハートの(非)公式VTuberいるはーと。正直うるさいと思うくらいに元気で大きな声のいるはーとのMCは非常に輝かしい。今回のコンピレーションで初のオリジナル曲をリリース、そしてライブイベント出演も果たした彼女の姿は、それは本当に嬉しそうに感じられた。
ライブでは「トワイライト・ハート」を披露。初のオリジナル曲とは思えないほどに、力強く綺麗な歌声が映える。これもまた、「VirtuaREAL.00」が生み出した貴重な縁と言うべきか。曲中、いるはーとのコール「あなたの心に~?」に、力強く「いるはーと!」と答えるオーディエンス達。この日の最大瞬間的な盛り上がりを飾ったのは、間違いなくこの瞬間だった。
【エルセとさめのぽき】
VTuberのトリを務めたのはエルセとさめのぽき。彼女達の始まりの曲である「BLUE」からこの日はスタート。コンピレーション収録&エルセソロ曲の「Sprint Sky」 「そして、物語は続いていく」をプレイし、MCへ。
実はこの日が初のリアルライブだった彼ら。緊張を見せつつもイベントを楽しんでいる事、こうしてこの日を迎えられた事への感謝をエルセが述べると、会場は大きく湧いた。
そして、最後に彼らが選んだのは「UnderWater」。純真で可憐な歌声のエルセ、そこに寄り添うさめのぽきの暖かなコーラス、そして限りなく透明感を感じさせるバックサウンド。音の遊園地がそこには存在した。
【tamu】
あっという間に楽しい時間も過ぎ、いよいよこの日のトリのtamuの出番がスタート。
YuNi「透明声彩」から始まり、KMNZ「VR(Virtual Reality)」とVTuberの音楽シーンを代表する楽曲をプレイ。また、星街すいせい「comet」やLimpid,あるか,X’Flare「拡散性マジョリティ」といった実力派VTuberソングもフックアップ。
この他、おめがシスターズ「Don’t say “Lazy”」やryo「初音ミク メルト(DJ TEKINA SOMETHING Remix)」も流れる辺り、アニクラシーンの出自であるtamu、そしてVTuberを愛するファンとしてのこだわりが見られるセットリストだった。
バーチャルと現実を織り交ぜた非日常的な空間で、異例の盛り上がりを見せたこの一日。まだまだ大阪でのVTuberイベント・かつ対バン/複合イベントが少ない中、今回のイベント成功は必ずや未来のリアルイベントに繋がる一歩だと確信させられた内容だった。また、VTuberを愛する気持ちステージ・フロア両方に感じられた事も非常に大きい。
そして現在『VirtuaREAL』は、今回に引き続き第二弾アルバムの制作が決定。参加VTuber1組をオーディション形式にて募集している。後日開催された東京公演の熱狂しかり、このムーブメントは必ず続いていくはず。気になったVTuber各位は是非応募して欲しい。
応募フォーム : https://www.virtuareal.net/
※応募期限 : 2019年7月16日(火)迄
※東京編レポートは近日中に公開!
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