取材・文・編集 / 宮久保仁貴 写真 / suguru saito / Red Bull Music Festival Tokyo 2018
2018年9月28日RED BULL MUSICとHER NAME IN BLOODによるメタルライブイベント「METAL MANIA」がTSUTAYA O-EASTで開催された。
今回のイベントは、2018年9月22日より開催されているレッドブル主催の都市型音楽フェス「RED BULL MUSIC FESTIVAL TOKYO 2018」のメタル特化DAY。現代メタルの旗手を担うHER NAME IN BLOODがキュレーターとなり、日本メタルシーンの黎明期からそびえ立つ巨匠LOUDNESS、国内外で破竹の快進撃を続けるガールズメロディックメタルバンドLOVEBITES、80’sスラッシュメタルの正統継承者HELL FREEZES OVERの合計4組が出演した。それぞれアウトプットや年齢、活動シーンは違えど、この4組の根底に流れているのは”メタルの血”。出演者は勿論、この日集結したオーディエンス達も真にメタルを愛する者達ばかり。そりゃ老若男女性別や年齢は違えど、皆が思い思いに着ているTシャツから、”メタルの血”を感じさせる。
また、この日場内では新旧メタルシーンの語り手として名を馳せる増田勇一氏がゲストDJとして参戦。クラシックメタルから10年代のモダンメタルまでをプレイする傍ら、この他、増田氏監修のメタルシーン年表が場内に展示されていた。
一足この空間に踏み入れれば最後、全感覚でメタルを味わえる間違いない空間がそこに存在した。HER NAME IN BLOODとRED BULLの事細かなイベント作り込みにメタル愛を感じられる。そして、時は開演時刻を迎え、熱狂のメタルの宴が幕を開けた。
【HER NAME IN BLOOD】 写真 / suguru saito / Red Bull Music Festival Tokyo 2018
この日のトップバッターはキュレーターであるHER NAME IN BLOODが出演。SURVIVORの「Eye of the Tiger」を入場曲に、メタルモンスター5人が登場!「初っ端から、楽しんで行こうぜ!」IKEPY(Vo)の咆哮がオーディエンスにこだまする!
彼らが初めにプレイしたのは「Last Day」。IKEPYの雄雄しくあり、キャッチーな骨太クリーンボイスに、オーディエンスも呼応する。掴みはバッチリだ。そして、「頭振ろうか!」とIKEPYが煽り、「Free Me」「Katana」を続けてプレイ。舌を出してオーディエンスを見渡すIKEPYその姿は、まさに獲物を求める野獣そのものだ。「Katana」では、「デッケェジャンプ見せてくれよ!」とIKEPYが叫ぶやいなや、オーディエンスも満場一致でジャンプし、O-EASTが大きく揺れ動く。
また、Daikiの80’sメタルを思わせるギターソロに、TJが合わせて掛け合いを行う。そうそう……これなんだよなぁ……ヘヴィメタルの正しい方程式ってやつは……!とでも言わんばかりに清々しい展開でオーディエンスの心を掴んでいく。続く「Kingslave」では今日初のサークルピットが発生、どんどん熱狂の渦は大きくなっていく。
MCでは、IKEPYが「愛とメタルと筋肉と翼を授けに参りました!」と力強く名乗りをあげた。そして、彼は今回レッドブルと共にMETAL MANIAを開催した理由として、オーディエンスにメタルを更に好きになってもらいたい事を力説した。こんな環境で、好きにならないオーディエンスを見つける方が難しい……彼の言葉には、メタルに対する愛が溢れていた。
そして、バンドはメロディアスな「Power」とエクストリームな「Forsaken」をプレイ。「Forsaken」では、ブラスト・2ビートから巻き起こる音圧がオーディエンスをなぎ倒すかの如く迫ってくる。そこから勢い落とさず、バンドが最後に選んだ曲は「GASOLINES」。なんと、この曲のゲストとして、TOTALFATからKuboty(Gt)が登場!
彼自身メタラーである事は有名だが、今日も背中にHELLOWEENを背負ったパッチGジャンで登場。異例のトリプルギター編成から奏でられる轟音は本当にデカイ。音を上げすぎだろ!このタコ!って感じだ。原曲に忠実に進みつつ、所々KubotyとDaikiのアドリブソロ・シュレッドが炸裂!のっけからコッテコテなメタルライブをぶちかまし、HER NAME IN BLOODの出番は終了した。一発目からこの本気具合、これから一体何が起こってしまうのだろうか……先ほどまでの興奮、そしてこれから起こりうる名演への期待に、思わず手に汗を握ってしまう。
-Set List-
1.LAST DAY
2.Free Me
3.KATANA
4.KINGSLAVE
5.POWER
6.FORSAKEN
7.GASOLINES
【LOVEBITES】写真 / So Hasegawa / Red Bull Music Festival Tokyo 2018
HER NAME IN BLOODに続くは、先日Wacken Open Air 2018にも出演し、日本の若手メタルシーンのトップを走るLOVEBITESが登場。ステージにスモークが立ち込め、神秘的な雰囲気が漂う中、メンバーが登場した。純白の衣装に身を包んだその姿は、まるで女神(アテナ)の様だ。1曲目に彼女たちが持ってきたのは、haruna(Dr)の暴れ馬の様なツーバスが光る「The Hammer Of Wrath」。一発目から疾走曲を持ってくるあたり、彼女達の攻めの姿勢が垣間見える。midori(Gt)が豪快にギターを引き倒す一方、miyako(Gt)の正確無比なタッピングがそれに応える。
そして、バンドはライブ定番曲の「THE CRUSADE」「DON’T BITE THE DUST」を続けてプレイ。芯の通ったasami(Vo)の美声、midoriとmiyakoのツインリードによる滝の如きメロディが、確実にオーディエンスの熱を高めていく。
モダンなサウンドメイキングがなされつつも、時折感じさせる80〜90’sライクな懐かしいメロディ。年齢こそ若かれど、彼女達もまた世代を超えた”METAL MANIA”なのだろう。
「今日はMETAL MANIAによる、METAL MANIAのイベント!このステージに立てて、光栄です!」とasamiがレッドブルとHER NAME IN BLOODにリスペクトを捧げた。短いMCのち、miyakoの哀愁溢れるギターソロから「Above The Black Sea」でライブを再開。序盤ではしっとりと歌い上げつつ、後半では力強い歌いっぷりを見せるasamiの変幻自在の歌声……楽器隊の堅さは勿論の事、このフロントマン無くしてLOVEBITESは成立しないに違い無い。
続くはキラーチューン「SHADOWMAKER」。泣きの要素をふんだんに詰め込んだドラマティックな展開に、スリリングな曲の速さ……!「メロディックメタルとは何ぞや……?」その答えはこの曲にある。
そして、この日バンドが最後に持って来た曲は「Bravehearted」。5人の女神(アテナ)達の美しさは勿論、溢れ出る美しいメロディの旋律に心を鷲掴みにされる。全オーディエンスが高らかにメロイックサインを掲げる中、LOVEBITESのライブは幕を閉じた。
-Set List-
1.The Hammer Of Wrath
2.The Crusade
3.Don’t Bite The Dust
4.Above The Black Sea
5.Shadowmaker
6.Bravehearted
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